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役員の死亡と登記やくいんのしぼうととうき

商業登記 第5章 役員の変更 過去問で8肢

役員が死亡すると委任が終了して当然に退任し、死亡を証する書面を添付して「死亡」を原因とする退任の登記をします。権利義務が生じないこと、代表取締役を兼ねる場合や権利義務取締役の死亡での原因の書き分け、残った取締役による後任の選定が肢で突かれます。

役員の死亡と登記は、取締役や監査役などが死亡したときに申請する退任の登記です。民法653条の委任の終了により当然に退任し、商業登記法54条4項の退任を証する書面として死亡を証する書面を添付します。死亡による退任には会社法346条1項の権利義務が生じないので、員数を欠いてもそのまま登記できます。代表取締役を兼ねる者の死亡は取締役と代表取締役の両方について「死亡」を原因とし、権利義務取締役の死亡では取締役は「退任」、代表取締役は「死亡」と書き分けます。肢で突かれるのは、原因の書き方、添付書面、そして残った取締役が後任を選べるかです。

商業登記法 第54条第4項

第一項又は第二項に規定する者の退任による変更の登記の申請書には、これを証する書面を添付しなければならない。

遺影の前で手を合わせる家族と、戸籍の書面を登記所に差し出す社長。係員が登記簿の氏名に線を引く
役員の死亡は当然に退任で、死亡を証する書面を添付し、員数を欠いてもそのまま登記できます
法定相続情報一覧図の写しでも可権利義務は生じない権利義務取締役の死亡は退任と死亡を書き分ける

死亡を証する書面は戸籍のほか法定相続情報一覧図の写しでも足ります

死亡を証する書面には戸籍事項証明書や除籍の記載事項証明書、住民票の除票、死亡診断書、家族から会社への死亡届などが使えます。「取締役の死亡による変更の登記を申請する場合には,当該取締役の死亡の事実が記載された法定相続情報一覧図の写しをもって,取締役の死亡を証する書面とすることができる」という肢は正しい肢です。登記官が確かめたいのは死亡の事実と日付だけなので、相続人が誰かを示す必要はありません。登記期間は死亡の日から2週間で、会社が知った日ではありません。

員数を欠いても死亡の登記はでき、残った取締役で後任を選べます

死亡による退任には権利義務が生じないので、定款や法律の員数を欠いてもすぐに退任の登記ができます。代表取締役が死亡して定款の員数を欠いた取締役会でも、現に在任する取締役で決議ができます。「定款に定める取締役及び代表取締役の員数が取締役 3 名及び代表取締役 1 名である取締役会設置会社において、代表取締役である取締役が死亡し、残りの取締役 2 名が出席した取締役会の決議によって後任の代表取締役を選定した場合には、後任の代表取締役は、前任の代表取締役の死亡による変更の登記と後任の代表取締役の就任による変更の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。唯一の取締役が死亡したときは、株主総会で後任を選ぶか、裁判所が一時取締役を選任します。

権利義務取締役の死亡は取締役と代表取締役で原因を分けます

任期満了や辞任の後に権利義務を負っていた者が死亡すると、取締役としての退任の日はもとの任期満了や辞任の日なので、原因は「退任」でその日付を記載します。代表取締役の地位は死亡で初めて失うので、代表取締役については「死亡」と死亡の日を記載します。「任期の満了による退任後もなお取締役としての権利義務を有する者を代表取締役に選定し,その後,当該代表取締役が死亡した場合には,「死亡」を原因とする取締役及び代表取締役の退任の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。

特例有限会社で取締役が1名になると代表取締役の氏名を抹消します

特例有限会社では取締役が2名以上いて代表取締役を定めたときだけ代表取締役の氏名を登記します。取締役の一人が死亡して1名になれば残った取締役が当然に会社を代表するので、代表取締役の登記は「取締役が1名となったため抹消」として抹消する扱いです。「取締役がA及びBであり,代表取締役がAである場合において,取締役Bの死亡により代表取締役の氏名抹消の登記を申請するときは,その登記すべき事項は,会社を代表しない取締役の不存在による代表取締役Aの氏名抹消及びその年月日である」という肢は誤りで、登記すべき事項の書き方が違うからです。合資会社の社員の死亡は退社の登記で、定款に相続人が持分を承継する定めがあるときは相続人全員の加入の登記が要るものです。

会社法 第346条第1項

役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。

試験ではこう問われる

  1. 死亡を証する書面として法定相続情報一覧図の写しや家族の死亡届が使えるかを問う肢
  2. 死亡で員数を欠くときに退任の登記ができるか、残った取締役で代表取締役を選定できるかを問う肢
  3. 権利義務取締役が死亡したときの取締役と代表取締役の登記原因を問う肢
  4. 特例有限会社で取締役が1名になったときの代表取締役の抹消の登記すべき事項を問う肢

この用語が問われた肢

R3 問29 エ正しい

取締役の死亡による変更の登記を申請する場合には,当該取締役の死亡の事実が記載された法定相続情報一覧図の写しをもって,取締役の死亡を証する書面とすることができる。

R5 問31 ア正しい

定款に定める取締役及び代表取締役の員数が取締役 3 名及び代表取締役 1 名である取締役会設置会社において、代表取締役である取締役が死亡し、残りの取締役 2 名が出席した取締役会の決議によって後任の代表取締役を選定した場合には、後任の代表取締役は、前任の代表取締役の死亡による変更の登記と後任の代表取締役の就任による変更の登記を申請することができる。

R3 問29 オ誤り

取締役会設置会社が,任期の満了による退任後もなお取締役としての権利義務を有する者を代表取締役に選定した場合において,その後当該代表取締役が死亡したときは,退任を原因とする取締役及び代表取締役の変更の登記を申請しなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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