設立の無効と登記せつりつのむこうととうき
会社の設立の無効を会社成立の日から2年以内に訴えをもってのみ主張できる制度と、無効判決の確定で裁判所書記官の嘱託によりされる登記です。誰がいつまで訴えられるか、判決の効力と登記の形が肢で突かれます。
設立の無効は、会社の設立手続に重大な瑕疵があるときに、会社の成立の日から2年以内に訴えをもってのみ主張できる制度です。会社法828条1項1号が期間を、2項1号が原告を株主等に限っており、誰でもいつでも無効を主張できる一般の無効とは違います。請求を認容する判決が確定すると第三者にも効力が及びますが、設立は将来に向かって効力を失うだけで、それまでの会社の行為は有効なままです。無効判決の確定後は会社が清算に入り、登記は裁判所書記官の嘱託でされます。肢で突かれるのは、原告と期間、判決の効力、そして無効後の登記の形と持分会社の継続です。
会社法 第828条第1項第1号会社の設立 会社の成立の日から二年以内

訴えられるのは株主等で、期間は成立の日から2年です
株式会社の設立の無効の訴えを提起できるのは、設立する株式会社の株主、取締役、清算人で、監査役設置会社なら監査役、指名委員会等設置会社なら執行役も含みます。持分会社では社員または清算人です。債権者は原告になれず、期間は会社の成立の日から2年以内です。株式会社の設立の無効原因は、定款の絶対的記載事項の欠缺や認証の欠如のような客観的で重大な瑕疵に限られます。発起人一人の引受けの意思表示の瑕疵は、成立後に取消しが制限されているので無効原因になりません。持分会社では定款の認証が無く、社員個人の設立行為の瑕疵も無効や取消しの原因になる点が違います。
無効判決は第三者に及びますが遡及しません
請求を認容する判決が確定すると、その判決は第三者に対しても効力を持ちます。しかし会社法839条により、無効とされた設立は将来に向かって効力を失うだけで、会社の成立から判決確定までの間にした取引や登記は有効なままです。設立の無効を主張する側が敗訴したときは、悪意または重過失があれば会社に対して連帯して損害賠償責任を負います。会社は無効判決の確定により清算をしなければならず、清算株式会社として清算人が置かれます。
無効の登記は裁判所書記官の嘱託でします
会社の設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは、裁判所書記官が職権で、会社の本店の所在地を管轄する登記所にその登記を嘱託します。会社が自ら申請する登記ではなく、設立の登記を抹消する登記ではありません。嘱託により設立無効の旨が登記され、会社は清算に入り、清算人の登記は清算人が申請します。株式の発行の無効の訴えについても嘱託で登記がされますが、その場合に登記官が発行済株式の総数と資本金の額の登記を抹消する記号を記録し、抹消された登記を回復するわけではありません。
持分会社では他の社員の全員の同意で継続できます
持分会社の設立の無効または取消しの判決が確定した場合に、その原因が一部の社員のみにあるときは、他の社員の全員の同意によって会社を継続できます。継続したときは原因がある社員は退社したものとみなされるので、その社員が退社に同意したことを証する書面は要りません。「その無効の原因が一部の社員のみにあるときであって他の社員の全員の同意によって当該合名会社を継続したときは,その継続の登記の申請書に,当該無効の原因がある社員が退社に同意したことを証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。継続の登記の申請書に添付するのは、無効原因のある社員を除く他の社員全員の同意があったことを証する書面と、商業登記法103条が定める判決の謄本などです。
会社法 第839条(無効又は取消しの判決の効力)
会社の組織に関する訴え(第八百三十四条第一号から第十二号の二まで、第十八号及び第十九号に掲げる訴えに限る。)に係る請求を認容する判決が確定したときは、当該判決において無効とされ、又は取り消された行為(当該行為によって会社が設立された場合にあっては当該設立を含み、当該行為に際して株式又は新株予約権が交付された場合にあっては当該株式又は新株予約権を含む。)は、将来に向かってその効力を失う。
試験ではこう問われる
- 設立の無効は訴え以外の方法で主張できるか(できない)
- 設立無効の訴えの原告と期間は何か(株主等、成立の日から2年)
- 無効判決は設立の時に遡って効力を失わせるか(失わせない。将来に向かって)
- 無効の登記は誰がするか(裁判所書記官の嘱託)
- 持分会社の継続の登記に無効原因のある社員の退社同意書は要るか(要らない。みなし退社)
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