募集株式の登記の添付書面ぼしゅうかぶしきのとうきのてんぷしょめん
募集株式の発行による変更の登記の申請書に添付する書面の一覧で、商業登記法56条の固有の書面と、議事録・株主リスト・計上証明書などの通則の書面からなります。要る書面と要らない書面の線引きが肢で突かれます。
募集株式の登記の添付書面は、募集株式の発行による変更の登記の申請書に添付する書面の束です。商業登記法56条が、申込みまたは総数引受契約を証する書面、払込みがあったことを証する書面、現物出資の書面、検査役の報告に関する裁判の謄本、支配株主の異動に関する書面を定めています。56条の書面に、添付書面の通則として、募集事項と割当てを決めた議事録、株主リスト、資本金の額の計上に関する証明書が加わります。肢は、この一覧に無い書面を添付させる形で作られるので、一覧を覚えるのが対策です。
商業登記法 第56条(募集株式の発行による変更の登記)
募集株式(会社法第百九十九条第一項に規定する募集株式をいう。第一号及び第五号において同じ。)の発行による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
一 募集株式の引受けの申込み又は会社法第二百五条第一項の契約を証する書面
二 金銭を出資の目的とするときは、会社法第二百八条第一項の規定による払込みがあつたことを証する書面
三 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、次に掲げる書面
イ 検査役が選任されたときは、検査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類
ロ 会社法第二百七条第九項第三号に掲げる場合には、有価証券の市場価格を証する書面
ハ 会社法第二百七条第九項第四号に掲げる場合には、同号に規定する証明を記載した書面及びその附属書類
ニ 会社法第二百七条第九項第五号に掲げる場合には、同号の金銭債権について記載された会計帳簿
四 検査役の報告に関する裁判があつたときは、その謄本
五 会社法第二百六条の二第四項の規定による募集株式の引受けに反対する旨の通知があつた場合において、同項の規定により株主総会の決議による承認を受けなければならない場合に該当しないときは、当該場合に該当しないことを証する書面

決議の書面は募集事項と割当ての二段で考えます
募集事項を定めた株主総会議事録または取締役会議事録を添付し、株主総会の決議なら株主リストも添付します。委任に基づく発行では、委任の株主総会議事録と、募集事項を定めた取締役会議事録または取締役の決定を証する書面の両方が要ります。募集株式が譲渡制限株式なら、定款に別段の定めがない限り、割当てまたは総数引受契約の承認を決めた株主総会議事録か取締役会議事録も要ります。一度の取締役会で複数回の募集事項を定めたときは同じ議事録を使い回せ、「2回目以降の募集株式の発行による変更の登記の申請書の添付書面とすることはできない」という肢は誤りです。種類株式発行会社の第三者割当てで募集株式が譲渡制限株式なら、定款で決議を要しないと定めた場合と議決権を行使できる種類株主がいない場合を除いて、種類株主総会議事録も添付します。
申込みの書面は常に要り、払込みの書面は金銭出資のとき要ります
募集株式の引受けの申込みを証する書面は申込者が会社に交付した申込書で、総数引受契約を締結したときは契約書です。金銭出資なら払込みがあったことを証する書面として、払込取扱機関の証明書か、代表者の証明書に通帳の写しを合てつしたものを添付します。現物出資なら検査役の報告書と附属書類、市場価格を証する書面、弁護士等の証明書と附属書類、会計帳簿のいずれかを場合に応じて添付します。不動産なら不動産鑑定士の鑑定評価も加え、割当てが発行済株式の1割以内か総額500万円以内なら何も添付しません。資本金の額の計上に関する証明書は、出資が金銭だけで全額を資本金にする場合でも添付します。
支配株主の異動では株主総会議事録か該当しないことを証する書面です
公開会社で引受人が総株主の議決権の過半数を持つことになる募集では、親会社等への割当てや株主割当てを除き、株主にその引受人を通知または公告します。通知または公告の後2週間以内に議決権の10分の1以上の株主から反対の通知があると、株主総会の普通決議による承認が要ります。「総株主の議決権の10 分の1以上の議決権を有する株主から反対の通知があったときは,当該会社の財産状況が著しく悪化している場合において,当該会社の事業継続のため緊急の必要があるときを除き,募集株式の発行による変更の登記の申請書には,当該割当ての承認を決議した株主総会の議事録を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。反対の通知があったのに緊急の必要で承認が要らないときは、承認を受けなければならない場合に該当しないことを証する書面を添付します。
通知・公告・基準日・引受人側の事情の書面は要りません
公開会社が取締役会で募集事項を定めたときの株主への通知、株主割当てでの株主への通知、基準日の公告は、会社法上の手続であって登記の添付書面ではありません。公告で代えたり、定款の定めや金融商品取引法の届出で省けたりする点も登記には現れません。「株主に対して払込期日の 2 週間前までに当該募集事項の通知をしたときであっても,募集株式の発行による変更の登記の申請書には,当該通知をしたことを証する書面を添付することを要しない」という肢は正しい肢です。株主割当ての通知を証する書面を添付させる肢、基準日の公告を証する書面を添付させる肢、基準日を定めた株主総会議事録を添付させる肢はいずれも誤りです。引受人となる会社の側で利益相反取引の承認を受けたことを証する議事録も、発行会社の登記には添付しません。
商業登記規則 第61条第9項設立の登記又は資本金の額の増加若しくは減少による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)の規定に従つて計上されたことを証する書面を添付しなければならない。
試験ではこう問われる
- 一度の取締役会決議の議事録を2回目以降の募集の登記に使えるか(使える)
- 金銭出資のみで全額資本金のとき計上証明書は要るか(要る)
- 支配株主の異動で反対の通知があったとき何を添付するか(承認の株主総会議事録。承認が要らない場合は該当しないことを証する書面)
- 株主への通知や基準日の公告を証する書面は要るか(要らない)
- 引受会社側の利益相反承認の議事録は要るか(要らない)
この用語が問われた肢
出資の目的が金銭のみである場合において、その全額を資本金の額に計上するときは、募集株式の発行による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付しなければならない。
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