募集事項の決定機関ぼしゅうじこうのけっていきかん
募集株式の数や払込金額などの募集事項を、株主総会・取締役会・取締役のどれが決めるかという区分です。会社の型と割当ての型の組合せで決定機関が変わり、添付する議事録もそれに従います。
募集事項の決定機関は、募集株式の数・払込金額・払込期日などの募集事項を定める権限が、株主総会・取締役会・取締役のどこにあるかという区分です。会社法199条が株主総会の決議を原則とし、公開会社では201条が取締役会に読み替え、株主割当てでは202条3項が定款の定めによって取締役または取締役会に委ねます。登記の申請書には決定機関の議事録を添付するので、機関を取り違えると添付書面もまとめて違えます。肢は、会社の型と割当ての型を組み合わせて、どの議事録が要るかを問う形です。
会社法 第199条第2項前項各号に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)の決定は、株主総会の決議によらなければならない。

第三者割当ての募集事項は会社の型で決定機関が分かれます
株主に割当てを受ける権利を与えない募集では、公開会社でない会社は株主総会の特別決議で募集事項を定めます。公開会社では取締役会の決議で足り、払込金額が特に有利な場合だけ株主総会の特別決議に戻ります。申請書には、公開会社でない会社なら株主総会議事録と株主リスト、公開会社なら取締役会議事録を添付します。取締役会設置会社では、定款に別段の定めがない限り、株主総会が募集事項と割当てを同時に決めても割当ての決定は取締役会の権限です。「株主総会の特別決議により募集事項の決定と申込みがされることを条件とする申込者に対する募集株式の割当てに関する事項の決定を同時に行ったときは,当該株主総会の議事録を添付して募集株式の発行による変更の登記を申請することができる」という肢は誤りです。
取締役会への委任は上限と下限を定め、効力は1年です
株主総会は、募集株式の数の上限と払込金額の下限を定めたうえで、募集事項の決定を取締役または取締役会に委任できます。委任の決議は、払込期日または払込期間の末日が決議の日から1年以内の募集についてだけ効力を持ちます。「払込期日又は払込期間の末日が当該委任の決議の日から1年を経過しているときであっても,募集株式の発行による変更の登記の申請をすることができる」という肢は誤りです。委任に基づく発行の申請書には、委任をした株主総会の議事録と株主リスト、募集事項を定めた取締役会議事録、取締役会設置会社でない会社なら取締役の決定を証する書面を添付します。
株主割当ての決定機関は定款の定めと会社の型で決まります
株主に割当てを受ける権利を与える募集では、募集事項とともに割当てを受ける権利を与える旨と申込期日を定めます。取締役会設置会社でない会社で定款に取締役の決定による旨の定めがあれば取締役の決定、取締役会の決議による旨の定款の定めがあれば取締役会の決議です。公開会社は定款の定めがなくても取締役会の決議で、どれにも当たらなければ株主総会の決議になります。公開会社でない取締役会設置会社が定款の定めに基づいて取締役会で決めたときは、申請書に定款を添付します。公開会社は定款の定めがなくても取締役会で決められるので、定款の添付は要りません。「取締役会設置会社が募集事項を取締役会の決議により決定したときは,募集株式の発行による変更の登記の申請書に,取締役会の議事録に加え,定款を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。
募集株式が譲渡制限株式なら種類株主総会の決議も要ります
種類株式発行会社の第三者割当てで募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、その種類の株式の種類株主総会の決議がなければ募集事項の決定は効力を生じません。決議を要しない旨の定款の定めがある場合と、議決権を行使できる種類株主がいない場合は除かれます。株主割当てにはこの規定は適用されず、ある種類の株主に損害を及ぼすおそれがあるかどうかで種類株主総会の要否を判断します。申請書には種類株主総会の議事録を添付し、「当該種類の種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合を除き,募集株式の発行による変更の登記の申請書には,募集事項の決定に係る当該種類株主総会の議事録を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。公開会社でない取締役会設置会社でも同じで、「募集事項の決定に係る当該種類の種類株主総会議事録を添付しなければならない」という肢も正しい肢です。
会社法 第201条第1項第百九十九条第三項に規定する場合を除き、公開会社における同条第二項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。この場合においては、前条の規定は、適用しない。
試験ではこう問われる
- 公開会社でない会社の第三者割当てで募集事項を決めるのはどこか(株主総会の特別決議)
- 取締役会への委任の決議はいつまでの募集に効力があるか(払込期日または期間の末日が決議から1年以内)
- 株主割当てで定款の定めに基づき取締役会が決めたとき定款の添付は要るか(要る)
- 第三者割当てで募集株式が譲渡制限株式のとき種類株主総会の議事録は要るか(要る。定款で不要と定めた場合と議決権ある種類株主がいない場合は不要)
この用語が問われた肢
会社法上の公開会社でない取締役会設置会社が株主に株式の割当てを受ける権利を与えないでする募集株式の発行の場合において,株主総会の特別決議により募集事項の決定と申込みがされることを条件とする申込者に対する募集株式の割当てに関する事項の決定を同時に行ったときは,当該株主総会の議事録を添付して募集株式の発行による変更の登記を申請することができる。
種類株式発行会社が株主に株式の割当てを受ける権利を与えないでする募集株式の発行の場合において,当該募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは,当該種類の種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合を除き,募集株式の発行による変更の登記の申請書には,募集事項の決定に係る当該種類株主総会の議事録を添付しなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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