会則の遵守義務かいそくのじゅんしゅぎむ
会則の遵守義務とは、司法書士がその所属する司法書士会と日本司法書士会連合会の会則を守らなければならないという義務です(23条)。試験では、会則違反がそのまま司法書士法23条の違反になり、法務大臣の懲戒処分の対象になることが問われています。
会則の遵守義務は、23条が定めています。司法書士会の会則には、会員の品位保持・執務・研修・紛議の調停などに関する規定が置かれ(53条)、その制定と変更には原則として法務大臣の認可が要ります(54条1項)。司法書士法人にも23条が準用されます(46条1項)。

司法書士法 第23条第1項司法書士は、その所属する司法書士会及び日本司法書士会連合会の会則を守らなければならない。
会則に違反すると、司法書士法23条の違反として懲戒の対象になります
47条と48条1項は、司法書士・司法書士法人が「この法律又はこの法律に基づく命令に違反したとき」に法務大臣が懲戒処分をすることができると定めています。会則そのものは法律でも命令でもありませんが、会則を守ることが23条で法律上の義務とされているので、会則違反は23条違反として懲戒事由になります。「司法書士又は司法書士法人がその所属する司法書士会又は日本司法書士会連合会の会則に違反する行為を行った場合には、これらの会則の遵守義務を定めた司法書士法違反を理由に懲戒処分を受けることがある」という肢(R5 午後 問8 オ)は正しい記述です。
司法書士法 第47条第1項司法書士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、法務大臣は、当該司法書士に対し、次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 二年以内の業務の停止
三 業務の禁止
会則には記載事項が法定され、変更には原則として法務大臣の認可が要ります
53条は、司法書士会の会則に記載しなければならない事項として、名称と事務所の所在地、役員、会議、会員の品位保持、会員の執務、入会と退会(入会金その他の特別の負担を含む)、司法書士の研修、会員の業務に関する紛議の調停、情報の公開、資産と会計、会費などを挙げています。会則を定め又は変更するには法務大臣の認可が要り、法務大臣は連合会の意見を聞いて処分をします(54条1項本文・2項)。ただし、名称・事務所の所在地(1号)と、研修・紛議の調停・情報の公開・資産と会計・会費(7号から11号まで)に係る変更には認可が要りません(54条1項ただし書)。連合会の会則も、制定と変更に原則として法務大臣の認可が要ります(64条。63条1号・4号の事項に係る変更を除きます)。
司法書士法 第54条第1項司法書士会の会則を定め、又はこれを変更するには、法務大臣の認可を受けなければならない。ただし、前条第一号及び第七号から第十一号までに掲げる事項に係る会則の変更については、この限りでない。
事務所の表示や職印など、施行規則が会則に委ねている事項もあります
施行規則は、司法書士の執務の一部を会則に委ねています。事務所の表示は「会則の定めるところにより」しなければならず(施行規則20条1項)、職印も会則の定めるところにより定めます(施行規則21条)。司法書士会が所属の会員に注意勧告をするのも会則の定めるところによります(61条)。会則を守ることが法律上の義務とされているので、こうした事項の違反も懲戒につながります。司法書士は、所属する司法書士会と連合会が実施する研修を受け、資質の向上を図るように努めなければなりません(25条)。
司法書士法 第25条第1項司法書士は、その所属する司法書士会及び日本司法書士会連合会が実施する研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない。
司法書士法人も会則を守らなければならず、違反すれば法人として懲戒を受けます
23条は46条1項で司法書士法人に準用されます。法人は成立の時に主たる事務所の所在地の司法書士会の会員となり(58条1項)、従たる事務所を他の管轄区域に設ければその地の会の会員にもなる(58条4項)ので、所属するそれぞれの会の会則と連合会の会則を守る義務を負います。法人が会則に違反したときは48条1項の懲戒の対象になり、違反行為をした社員である司法書士も47条の懲戒の対象になります。
会の側では、懲戒とは別に注意勧告ができます
司法書士会は、所属の会員が法律又は命令に違反するおそれがあると認めるときは、会則の定めるところにより、注意を促し、又は必要な措置を講ずべきことを勧告することができます(61条)。違反すると思料するときは、法務大臣に報告しなければなりません(60条)。注意を促し又は勧告をしたときは、その旨を事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長に報告しなければなりません(施行規則41条)。司法書士会は、60条の報告や61条の注意勧告に必要な範囲で、所属の会員に事件簿その他の関係資料の提供を求めることができます(施行規則42条の2)。法務大臣も、懲戒処分に関し、司法書士会に資料や執務状況の調査を委嘱することができ、委嘱を受けた司法書士会は結果に意見を付けて報告します(施行規則42条2項・3項)。会の自治による指導と、法務大臣による懲戒が、調査の面でもつながっています。
試験ではこう問われる
- 会則に違反した司法書士・司法書士法人は、会則の遵守義務を定めた司法書士法違反を理由に懲戒処分を受けることがある(23条・46条1項・47条・48条。R5 午後 問8 オ ○)
- 司法書士会の会則の制定・変更には、一部の事項を除き法務大臣の認可が要る(54条1項)
- 司法書士会は、違反のおそれがある会員に注意勧告ができる(61条)
- 司法書士会の会則のうち名称・事務所の所在地や研修・紛議の調停・会費などに係る変更には、法務大臣の認可は要らない(54条1項ただし書)
- 事務所の表示は、司法書士会の会則の定めるところによりしなければならない(施行規則20条1項。R3 午後 問8 ウ ○)
この用語が問われた肢
司法書士又は司法書士法人がその所属する司法書士会又は日本司法書士会連合会の会則に違反する行為を行った場合には、これらの会則の遵守義務を定めた司法書士法違反を理由に懲戒処分を受けることがある。
司法書士は,司法書士会に入会したときは,当該司法書士会の会則の定めるところにより,事務所に司法書士の事務所である旨を表示しなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。

