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判決の種類(終局判決・一部判決・追加判決・中間判決)はんけつのしゅるい

民事訴訟法 第8章 判決 過去問で1肢

判決の種類とは、判決がその審級の審理を終わらせるか(終局判決)、途中の争点に決着を付けるだけか(中間判決)、事件の全部に答えるか一部に答えるか(全部判決・一部判決)による区別です。裁判所が請求の一部の判断を落としたときにその部分についてする判決を追加判決といいます。

一つの訴訟に請求が二つあり、片方だけ先に結論が出せる状態になったとき、全部が出そろうまで待たせるのは当事者に酷です。逆に、損害額の審理に入る前に、そもそも被告に責任があるかを先に決めておけば審理に無駄が出ません。判決の種類は、こうした審理の整理の道具として、どこまでを判決で決めるかの区別を定めたものです。どの種類かで、その判決に独立して上訴できるかが変わります。

教室の場面。先生が教師役(札「先生」)で黒板の前に立つ。黒板に左から右へ時間の矢印。矢印の途中に小さな箱「中間判決(責任あり)」、さらに先に箱「一部判決(甲建物の請求)」、終点に大きな箱「残部判決(乙建物の請求)」。「中間判決」の箱の上には

終局判決はその審級の審理を終わらせる判決で、事件の一部についてする一部判決も終局判決なので独立して上訴できます

裁判所は、訴訟が裁判をするのに熟したときは、終局判決をします(243条1項)。熟したかどうかは裁判所が判断するので、「裁判所は,当事者が審理の続行を求めたとしても,訴訟が裁判をするのに熟したと判断したときには,口頭弁論を終結し,終局判決をすることができる」という肢(R3 午後 問5 ア)は正しいです。訴訟の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局判決をすることができ(同条2項)、弁論を併合した数個の訴訟の一つや、本訴又は反訴の一方が熟したときも同じです(同条3項)。一部判決をするかどうかは裁判所の裁量で、実務では弁論を分離してからするのが通常です。一部判決も終局判決なので、それに対して独立して上訴でき、残りの部分の判決(残部判決)とは手続が別々になります。

  • 必要的共同訴訟・独立当事者参加当事者ごとに矛盾した判断になるおそれがあるので、一部判決はできません
  • 同時審判の申出がある共同訴訟弁論と裁判の分離が禁止されている(41条1項)ので、一部判決はできません
  • 請求の予備的併合主位的請求を棄却するときは予備的請求も同時に判断しなければならず、主位的請求だけを棄却する一部判決はできません(最判昭和38年3月8日)。主位的請求を認容すれば全部判決です
  • 単純併合の数個の請求原則として一部判決ができます

判断を脱漏した請求の部分はなおその裁判所に係属するので、控訴が提起された後でも、その裁判所が追加判決をします

裁判所が全部判決のつもりで請求の一部について判断を落としたことを裁判の脱漏といいます。脱漏した請求の部分は、なおその裁判所に係属します(258条1項)。判決をしていない部分が残っているので、その裁判所はその部分について改めて判決をしなければならず、この判決を追加判決といいます。脱漏した部分は控訴の対象になっていないので、言い渡された部分に控訴が提起されても、脱漏部分は第一審に係属したままで、第一審裁判所が追加判決をします。訴訟費用の負担の裁判を脱漏したときは、追加判決ではなく、申立てにより又は職権で決定で裁判します(258条2項)。

法廷の場面。法壇の先生(札「第一審裁判所」)の机の上に、判決書(札「言い渡した判決」)と、その横に取り残された書類の束(札「脱漏した請求」)が置かれている。法廷の出口から、控訴状を持った男性(札「控訴人」)が控訴裁判所の方へ歩いて行く。先生

中間判決は終局判決の前に争点の一部に決着を付ける判決で、訴訟要件の存否のような中間の争いについてもできます

裁判所は、独立した攻撃又は防御の方法その他中間の争いについて裁判をするのに熟したときは、中間判決をすることができます(245条前段)。請求の原因及び数額について争いがある場合のその原因についても同じで(同条後段)、損害額の審理の前に責任の有無を確定するものを原因判決といいます。中間の争いとは、訴訟手続に関する事項の争いで口頭弁論に基づいて判断すべきものをいい、訴訟要件の存否や、訴えの取下げ・訴訟上の和解による訴訟の終了の有無がこれに当たります。中間判決をするかどうかは裁判所の裁量です。訴訟の係属中に先決関係にある権利の確認を求める中間確認の訴え(145条)は、名前が似ていますが新たな請求の追加であり、それに対する裁判は中間判決ではなく終局判決です。

中間判決をした裁判所はその判断に拘束され、当事者はその前に存在した事実を後で主張して中間判決の判断を争うことができません

中間判決をした裁判所は、その主文の判断に拘束され、それを前提に終局判決をしなければなりません。そのため当事者は、中間判決の直前の口頭弁論の終結時までに提出できた攻撃防御方法を、その後に提出して中間判決の判断を争うことはできません。判例も、過失相殺の抗弁は請求の原因に関する抗弁なので原因判決の前に主張しておかなければならないとしました(大判昭和9年7月5日)。主張しなかったことに相当の理由があっても同じです。また、中間判決は終局判決の準備にすぎないので独立して上訴することはできず、終局判決に対する上訴の中で控訴裁判所の判断を受けます(283条)。

民事訴訟法 第243条第2項

裁判所は、訴訟の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局判決をすることができる。

民事訴訟法 第245条

(中間判決)
裁判所は、独立した攻撃又は防御の方法その他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間判決をすることができる。請求の原因及び数額について争いがある場合におけるその原因についても、同様とする。

民事訴訟法 第258条第1項

裁判所が請求の一部について裁判を脱漏したときは、訴訟は、その請求の部分については、なおその裁判所に係属する。

試験ではこう問われる

  1. 訴訟が裁判をするのに熟したと判断すれば、当事者が審理の続行を求めても口頭弁論を終結して終局判決ができる(243条1項。R3 午後 問5 ア ○)
  2. 同時審判の申出がある共同訴訟では弁論と裁判を分離できず、一部判決はできない(41条1項。R5 午後 問2 エ ○)
  3. 単純併合の数個の請求は、原告が申し出ても弁論と裁判を分離できる(R6 午後 問2 ウ ×)
  4. 一部判決(243条2項)も終局判決であり、独立して上訴できる
  5. 判断を脱漏した請求の部分はなおその裁判所に係属し、控訴の提起後も追加判決をする(258条1項)
  6. 中間判決は訴訟要件の存否のような中間の争いにもでき、その前に存在した事実は相当の理由があっても後で主張して争えない(245条、大判昭和9年7月5日)
  7. 中間判決には独立して上訴できず、中間確認の訴えに対する裁判は終局判決である

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