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保全命令の申立ての取下げほぜんめいれいのもうしたてのとりさげ

民事保全法 第1章 保全命令の申立てと審理 過去問で3肢

保全命令の申立ての取下げとは、債権者が保全命令の申立てを撤回することで、保全命令が発せられた後や、保全異議又は保全取消しの申立てがあった後でも、債務者の同意を得ることを要しません(18条)。

保全命令の申立ての取下げは、債権者がいつでもできます。保全命令は債権者を仮に守るためのもので、取り下げて保全命令がなくなっても、債務者は財産を押さえられた状態から解放されるだけで不利益を受けないからです。

発令済み・異議申立て済みの札の前で、債権者が取下書を差し出す窓口
保全命令の発令後でも、保全異議・保全取消しの申立て後でも、取下げに債務者の同意は要りません
債務者の同意は不要発令後でも同じ保全異議の後でも同じ
民事保全法 第18条第1項

保全命令の申立てを取り下げるには、保全異議又は保全取消しの申立てがあった後においても、債務者の同意を得ることを要しない。

保全命令の発令後でも、保全異議・保全取消しの申立て後でも、債務者の同意は要りません

18条は、保全命令の申立てを取り下げるには、保全異議又は保全取消しの申立てがあった後においても、債務者の同意を得ることを要しないとしています。「保全命令の申立てを取り下げるには,保全異議又は保全取消しの申立てがあった後においても,債務者の同意を得ることを要しない」という肢(R2 午後 問6 オ)は正しい記述です。発令後でも同じで、「保全命令が発せられた後であっても、保全命令の申立てを取り下げるには、債務者の同意を得ることを要しない」という肢(R6 午後 問6 ウ)も正しい記述です。仮の地位を定める仮処分でも例外はなく、保全異議の申立て後の取下げに債務者の同意を要するとした肢(H26 午後 問6 オ)は誤りでした。

訴えの取下げと違い、相手方が応訴した後でも同意が要りません

民事訴訟では、被告が本案について準備書面を提出するなどした後に訴えを取り下げるには、被告の同意が要ります(民事訴訟法261条2項)。被告には請求棄却の判決を得る利益があるからです。民事保全では、債務者に保全命令の申立てについて却下の裁判を得る利益を認める必要がないので、18条が民事訴訟法の規律を外しています。保全異議の申立ての取下げも、反対に債権者の同意は要りません(35条)。

黒板の左右に訴えの取下げと保全命令の申立ての取下げを並べ、同意の要否を比べる教室
訴えの取下げと違い、保全命令の申立ての取下げには相手方が応訴した後でも同意が要りません
訴えは応訴後に同意保全は同意不要債務者は解放されるだけ

取下げは原則として書面でし、裁判所書記官が債務者に通知します

保全命令の申立ての取下げは、口頭弁論又は審尋の期日においてする場合を除き、書面でしなければなりません(民事保全規則4条1項)。取下げがあったときは、裁判所書記官は、期日の呼出し又は保全命令の送達を受けた債務者にその旨を通知します(民事保全規則4条2項)。

取下げで保全命令がなくなると、担保の取戻しや執行の取消しの手続に進みます

保全執行としてする登記や第三債務者への送達ができなかった場合など、債務者に損害が生じないことが明らかなときは、申立ての取下げの後、債権者は保全命令を発した裁判所の許可を得て担保を取り戻すことができます(民事保全規則17条1項)。保全異議、保全取消し、保全抗告の申立てが取り下げられたときは、裁判所書記官は、申立書の写しの送付を受けた相手方にその旨を通知します(民事保全規則4条3項)。保全執行裁判所に対する保全執行の申立てが取り下げられたときは、保全執行を開始する決定の送達を受けた債務者に通知します(民事保全規則4条4項)。

保全取消しの申立ての取下げも、債権者の同意は要りません

35条は保全取消しに関する裁判にも準用されるので(40条1項)、債務者が事情の変更などによる保全取消しの申立てを取り下げるときも、債権者の同意は要りません。民事保全では、保全命令の申立て(18条)、保全異議の申立て(35条)、保全取消しの申立て(40条1項・35条)のいずれも、相手方の同意なしに取り下げられます。

試験ではこう問われる

  1. 保全異議又は保全取消しの申立て後でも、保全命令の申立ての取下げに債務者の同意は要らない(18条。R2 午後 問6 オ ○)
  2. 保全命令が発せられた後でも、取下げに債務者の同意は要らない(18条。R6 午後 問6 ウ ○)
  3. 保全異議の申立ての取下げにも債権者の同意は要らない(35条。R8 午後 問6 エ ○)
  4. 訴えの取下げは被告の応訴後は同意が要るが、保全命令の申立ての取下げは要らない(民事訴訟法261条2項、18条)
  5. 取下げは期日においてする場合を除き書面でする(民事保全規則4条1項)

この用語が問われた肢

R2 問6 オ正しい

保全命令の申立てを取り下げるには,保全異議又は保全取消しの申立てがあった後においても,債務者の同意を得ることを要しない。

R6 問6 ウ正しい

保全命令が発せられた後であっても、保全命令の申立てを取り下げるには、債務者の同意を得ることを要しない。

R8 問6 エ正しい

保全異議の申立てを取り下げるには、債権者の同意を得ることを要しない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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