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登記官の過誤と職権抹消(71条)とうきかんのかごとしょっけんまっしょう

不動産登記 第13章 登記手続の流れと登記官の処分 過去問で2肢

完了した登記が管轄違い・登記事項でない事項・既登記・政令で定める却下事由に当たると分かったときに、登記官が通知と異議の手続を経て職権で抹消する仕組みと、登記官の過誤による錯誤・遺漏を職権で更正する仕組みです。職権抹消の事由はどれか、通知の期間と異議の方式、更正に要る許可と承諾が肢で突かれます。

登記官の過誤と職権抹消は、登記官の側の誤りで登記記録が実体や法令に合わなくなったときに、申請を待たずに登記官が自ら正す二つの手続です。不動産登記法71条の職権抹消は、完了した権利に関する登記が25条1号から3号までまたは13号に当たることを発見したときに、通知と異議の手続を経て抹消します。67条2項の職権更正は、登記の錯誤や遺漏が登記官の過誤によるときに、監督する法務局または地方法務局の長の許可を得て更正します。肢で突かれるのは、職権で動ける事由の範囲と、動くまでの手続です。

不動産登記法 第71条

(職権による登記の抹消)
登記官は、権利に関する登記を完了した後に当該登記が第二十五条第一号から第三号まで又は第十三号に該当することを発見したときは、登記権利者及び登記義務者並びに登記上の利害関係を有する第三者に対し、一月以内の期間を定め、当該登記の抹消について異議のある者がその期間内に書面で異議を述べないときは、当該登記を抹消する旨を通知しなければならない。
登記官は、通知を受けるべき者の住所又は居所が知れないときは、法務省令で定めるところにより、前項の通知に代えて、通知をすべき内容を公告しなければならない。
登記官は、第一項の異議を述べた者がある場合において、当該異議に理由がないと認めるときは決定で当該異議を却下し、当該異議に理由があると認めるときは決定でその旨を宣言し、かつ、当該異議を述べた者に通知しなければならない。
登記官は、第一項の異議を述べた者がないとき、又は前項の規定により当該異議を却下したときは、職権で、第一項に規定する登記を抹消しなければならない。

職員が自分の書いた帳簿の行を見つめて額に手を当て、上司の机に許可の書面を差し出す。外では夫婦と債権者が通知の封筒を受け取り、壁のカレンダーに一か月分の印
職権抹消は25条1〜3号・13号に限り、一月以内の期間を定めた通知と書面の異議の手続を経ます
1〜3号と13号一月以内・書面で異議過誤の更正は局長の許可

職権抹消の事由は25条1号から3号までと13号です

登記官が職権で抹消できる登記は四つの類型です。完了した登記が管轄違い(1号)、登記事項以外の事項の登記(2号)、既に登記されている登記(3号)、政令で定める登記すべきでないもの(13号)に当たると分かったときに限られます。「職権による登記の抹消がされるのは,管轄違いの登記又は登記事項以外の事項の登記を目的とする登記がされている場合に限られます」という解答は誤りで、既登記と13号が抜けています。申請権限のない者の申請による登記(4号)や添付情報の不足(9号)は、完了してしまえば職権抹消の対象ではなく、抹消を求める者が申請や訴えで争うことになるのです。

抹消の前に一月以内の期間を定めて通知し、異議は書面で述べます

登記官は、登記権利者と登記義務者、登記上の利害関係を有する第三者に対し、一月以内の期間を定め、その期間内に書面で異議を述べないときは登記を抹消する旨を通知します。通知を受けるべき者の住所や居所が知れないときは、通知に代えて公告することになっています。異議が述べられたときは、理由がなければ決定で却下し、理由があれば決定でその旨を宣言して異議を述べた者に通知しなければなりません。異議を述べた者がないとき、または異議を却下したときに、登記官が職権で登記を抹消する流れです。期間は一月以内で、異議の方式は書面に限られる点が数字と方式の両面で問われます。

登記官の過誤による錯誤・遺漏は許可を得て職権で更正します

登記官は、権利に関する登記に錯誤や遺漏があることを発見したときは、遅滞なく登記権利者と登記義務者に通知しなければなりません。錯誤や遺漏が登記官の過誤によるものであれば、監督する法務局または地方法務局の長の許可を得て、職権で更正の登記をします。登記上の利害関係を有する第三者がいるときは、その承諾があるときに限ります。「職権による登記の更正がされるのは,登記官が,権利に関する登記に登記官の過誤による錯誤又は遺漏があることを発見した場合に限られます」という部分は正しい説明で、申請人側の誤りによる錯誤は当事者の申請で更正します。更正をしたときは登記権利者と登記義務者に通知し、代位者がいれば代位者にも通知する決まりです。

登録免許税の過誤納は登記官の通知を経て税務署が還付します

申請の際に納めた登録免許税に過誤納があったときは、登記官が税務署長に通知し、還付は税務署が行います。申請代理人が還付金を受け取る旨の委任を受けたときは、その委任状は税務署に直接出すのではなく、登記所に提出して登記官から税務署長への通知に添えてもらいます。「当該代理人は,当該委任に係る委任状を,直接,当該登記の申請人の住所地を管轄する税務署に提出しなければならない」という肢は誤りです。登記官の処分に起因する金銭の手続も、登記官を経由する作りになっている点で職権更正や審査請求と同じ筋です。

不動産登記法 第67条

(登記の更正)
登記官は、権利に関する登記に錯誤又は遺漏があることを発見したときは、遅滞なく、その旨を登記権利者及び登記義務者(登記権利者及び登記義務者がない場合にあっては、登記名義人。第三項及び第七十一条第一項において同じ。)に通知しなければならない。ただし、登記権利者、登記義務者又は登記名義人がそれぞれ二人以上あるときは、その一人に対し通知すれば足りる。
登記官は、前項の場合において、登記の錯誤又は遺漏が登記官の過誤によるものであるときは、遅滞なく、当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得て、登記の更正をしなければならない。ただし、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の更正につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この項において同じ。)がある場合にあっては、当該第三者の承諾があるときに限る。
登記官が前項の登記の更正をしたときは、その旨を登記権利者及び登記義務者に通知しなければならない。この場合においては、第一項ただし書の規定を準用する。
第一項及び前項の通知は、代位者にもしなければならない。この場合においては、第一項ただし書の規定を準用する。

試験ではこう問われる

  1. 登記官が職権で抹消できる登記はどの却下事由に当たるものか(25条1号から3号までと13号)
  2. 職権抹消の前の通知で定める期間と異議の方式は何か(一月以内、書面)
  3. 登記官の過誤による更正に何が要るか(監督する法務局または地方法務局の長の許可。利害関係人がいればその承諾)
  4. 還付金受領の委任状はどこに出すか(登記所。税務署に直接ではない)

この用語が問われた肢

R3 問27 ア誤り

登記の申請の際に納付した登録免許税に過誤納があったため過誤納金の還付を受ける場合において,当該登記の申請代理人が還付金を受領する旨の委任を受けたときは,当該代理人は,当該委任に係る委任状を,直接,当該登記の申請人の住所地を管轄する税務署に提出しなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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