登記済証とうきずみしょう
平成17年の不動産登記法改正前に、登記が済んだ証として登記所が申請書の副本などに登記済の印を押して名義人に交付した書面です。登記識別情報が通知されていない登記でこれの交付を受けていれば、今もこれを提供して申請します。
登記済証は、現在の不動産登記法が施行される前に、登記所が登記を完了した申請書の副本などに登記済の印を押して登記名義人に交付していた書面で、権利証と呼ばれてきたものです。平成17年3月7日の新法施行後は登記識別情報の通知に切り替わりましたが、登記識別情報がまだ通知されていない登記については、登記済証を登記識別情報の代わりに提供して申請できることが不動産登記法の附則で定められています。登記識別情報が情報そのものであるのに対し、登記済証は書面そのものに意味があります。肢では、どの登記で登記済証の提供が要るか、紛失したときどうするかが問われます。
不動産登記法 第22条(登記識別情報の提供)
登記権利者及び登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合その他登記名義人が政令で定める登記の申請をする場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記義務者(政令で定める登記の申請にあっては、登記名義人。次条第一項、第二項及び第四項各号において同じ。)の登記識別情報を提供しなければならない。ただし、前条ただし書の規定により登記識別情報が通知されなかった場合その他の申請人が登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由がある場合は、この限りでない。

登記識別情報の代わりに提供します
経過措置により、登記済証の交付を受けている登記名義人が登記義務者となるときは、登記識別情報の代わりに登記済証を提供します。登記済証もなく登記識別情報の通知も受けていない登記では、提供できない場合の手続によります。提供が要る場面と要らない場面の区別は登記識別情報と同じで、共同申請の登記義務者と政令で定める登記の名義人が提供し、登記権利者側は提供しません。提供した登記済証は、登記官が登記済みの処理をしたうえで還付されます。一つの登記済証で複数の不動産を登記していた場合や、抵当権設定のように権利が残る登記に使った場合は、残りの不動産や権利について引き続き使えます。登記済証を出して申請した登記で新たに登記名義人になる人には登記識別情報が通知されますが、登記済証を出したこと自体が通知の理由になるわけではありません。
紛失したときは提供できない場合の手続によります
登記済証を紛失したときは再発行されません。登記識別情報を提供できない場合と同じく、事前通知、資格者代理人の本人確認情報、公証人の認証のどれかで本人であることを担保して申請します。登記済証と登記識別情報のどちらを持っているかで手続の入口は変わらないと整理します。登記済証の場合は失効の申出や有効証明の制度がないので、紛失に気づいたら次の申請で提供できない旨を申請情報に書くことになります。
提供が要らない登記もあります
工場財団に新たに機械を所属させる工場財団目録の記録の変更の登記のように、登記名義人の申請でも登記済証や登記識別情報の提供が要らない登記があります。「当該工場財団の所有権の登記名義人に通知された登記済証又は登記識別情報を提供しなければならない」という肢は誤りです。提供が要るのは、共同申請で登記義務者になる申請(抵当権設定者のように負担を受ける側も含みます)と、政令で列挙された合筆や順位変更などの申請に限られます。
相続や判決による登記では登記済証も要りません
登記識別情報の提供が要らない登記では、登記済証の提供も要りません。相続登記では被相続人名義の登記済証を添付する必要はなく、登記権利者である相続人が単独で申請します。判決による登記や官公署の嘱託でも同じです。逆に、共同申請で登記義務者になる場面と、合筆や仮登記名義人の単独抹消のように政令で定められた単独申請では、登記済証しか持っていない名義人はそれを提供します。
新法施行後も登記済証は今も現役です
登記識別情報の通知は、新法施行後に登記所ごとに順次始まりました。施行前に登記名義人になった人の多くは登記識別情報の通知を受けていないので、令和の今でも登記済証を提供する申請は珍しくありません。登記済証は登記官が押した登記済の印と受付年月日、受付番号で特定され、申請書の副本や登記原因証書に押されたものがそれにあたります。被相続人名義の登記済証は相続登記には要らず、相続人が相続登記を終えると相続人に登記識別情報が通知されるので、次の世代からは登記識別情報の世界になります。
試験ではこう問われる
- 登記済証の交付を受けている登記では何を提供するか(登記済証)
- 登記済証を紛失したときはどうするか(事前通知などの提供できない場合の手続)
- 登記済証を提供するのは誰か(登記義務者。権利者側は不要)
- 工場財団目録の変更登記に登記済証は要るか(要らない)
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