本人確認(登記官による)とうきかんによるほんにんかくにん
申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があるとき、登記官が申請人に出頭を求め、質問し、文書の提示を求めて調査する手続です。事前通知や資格者代理人の確認とは別の、登記官自身の調査です。
登記官による本人確認は、登記の申請があった場合に、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるとき、登記官が申請人やその代表者、代理人に対して出頭を求め、質問し、文書の提示その他必要な情報の提供を求めて、申請人の申請権限の有無を調査する手続です。登記識別情報や事前通知は申請人側の手続ですが、これは登記官が職権で行う調査です。前住所通知に異議が出た場合や、書類に不自然な点がある場合に発動します。肢では、要件、調査の方法、結果としての却下が問われます。
不動産登記法 第24条第1項登記官は、登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、次条の規定により当該申請を却下すべき場合を除き、申請人又はその代表者若しくは代理人に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請の権限の有無を調査しなければならない。

疑うに足りる相当な理由があるときに調査します
本人確認の調査は、すべての申請で行われるものではなく、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があるときに行われます。事前通知に対する申出があっても、前住所通知を受けた人から異議があれば、登記官はこの調査で本人かどうかを確かめます。異議があっただけで申請を却下する肢は誤りです。登記官が相当な理由があると認める場面としては、申請書の印影や筆跡が過去の申請と食い違う、添付書類に偽造の疑いがある、前住所通知への異議がある、などが典型です。登記官には申請を形式的に審査する権限しかないのが原則ですが、この条文はその例外として実質的な調査を認めています。
出頭を求め、質問し、文書の提示を求めます
調査の方法は、申請人またはその代表者もしくは代理人に対して出頭を求めること、質問すること、文書の提示その他必要な情報の提供を求めることです。申請人が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に調査を嘱託できます。却下すべき場合が明らかなときは、調査をせずに却下します。電話や資料の提出で確認できるときは出頭は要らず、出頭に応じないというだけで直ちに却下されるわけではなく、調査の結果を踏まえて却下事由にあたるかを判断します。調査は申請人本人だけでなく、法人の代表者や代理人に対しても行えます。調査の結果は登記官が記録し、申請人が本人だと確認できれば登記は通常どおり実行されます。
なりすましが判明すれば却下されます
調査の結果、申請人となるべき者以外の者が申請していることが判明したときは、申請は却下されます。資格者代理人が本人確認情報を提供していても、登記官が相当と認めないときは事前通知に移りますが、その後の調査でなりすましが分かれば同じく却下です。「登記官が当該情報の内容を相当と認めないときは、登記官は、本件登記の登記義務者に対して事前通知をすることなく、本件登記の申請を却下しなければならない」という肢は誤りで、認めないことと却下は直結しません。
却下事由と対になっています
申請の権限を有しない者の申請は、不動産登記法25条の却下事由に挙げられています。登記官による本人確認は、この却下事由にあたるかどうかを確かめるための調査です。調査の結果として権限がないと分かれば却下し、権限があると分かれば登記を進めます。却下すべき場合が他の理由で明らかなときは調査に入らずに却下するので、本人確認の調査はあくまで疑いを解消するための手段です。
登記識別情報の仕組みとは役割が違います
登記識別情報と事前通知は、申請人が本人であることを申請人側が示す仕組みです。登記官による本人確認は、それでも疑いが残るときに登記官が自ら確かめる仕組みで、両者は重なって働きます。登記識別情報が提供されていても、疑うに足りる相当な理由があれば調査はできます。ただし、この調査で本人だと分かっても、登記識別情報を提供できない場合の事前通知などの手続が代わりに済んだことにはならず、両方の手続は別々に進みます。
不動産登記法 第24条第2項登記官は、前項に規定する申請人又はその代表者若しくは代理人が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に同項の調査を嘱託することができる。
試験ではこう問われる
- 登記官が本人確認の調査をする要件は何か(申請人以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由)
- 調査の方法は何か(出頭要求・質問・文書の提示要求)
- 遠隔地の申請人について誰に調査を嘱託できるか(他の登記所の登記官)
- なりすましが判明したときの結果は何か(却下)
この用語が問われた肢
本件登記の申請代理人である司法書士から本人確認情報の提供がされたが、登記官が当該情報の内容を相当と認めないときは、登記官は、本件登記の登記義務者に対して事前通知をすることなく、本件登記の申請を却下しなければならない。
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