代理人が登記識別情報を受領する場合だいりにんがとうきしきべつじょうほうをじゅりょうするばあい
登記識別情報は申請人本人に通知するのが原則で、委任による代理人が受け取るには通知を受けるための特別の委任が要ります。法定代理人や支配人は特別の委任なしに受け取れる点と、送付先の扱いが肢で突かれます。
代理人が登記識別情報を受領する場合とは、登記識別情報の通知を、登記名義人となった申請人本人ではなく代理人が受ける場面です。登記識別情報は本人しか知らないはずの情報なので、申請の代理を委任しただけでは代理人は受け取れず、通知を受けるための特別の委任が要ります。一方、法定代理人や支配人その他法令の規定により通知を受けるべき者を代理できる人は、特別の委任がなくても受け取ります。特別の委任は委任状に通知を受領する権限を明記することで与えます。肢では、誰がどんな根拠で受け取れるか、送付の方法と宛先はどうなるかが問われます。
不動産登記規則 第62条第1項次の各号に掲げる場合における登記識別情報の通知は、当該各号に定める者に対してするものとする。
一 法定代理人(支配人その他の法令の規定により当該通知を受けるべき者を代理することができる者を含む。)によって申請している場合 当該法定代理人
二 申請人が法人である場合(前号に規定する場合を除く。) 当該法人の代表者

申請の委任だけでは代理人は受け取れません
司法書士が登記の申請を代理しても、登記識別情報の通知を受けるための特別の委任がなければ通知は代理人にはされません。「当該司法書士は、登記識別情報の通知を受けるための特別の委任を受けていないときであっても、当該登記に係る登記識別情報の通知を受けることができる」という肢は誤りです。特別の委任がないときは本人に通知されるので、本人が受領できないと通知を受けないまま期間が過ぎることもあります。書面申請で3か月以内に受け取られなかった通知書は登記官が廃棄でき、その後に受け取ることはできません。
法定代理人や支配人は特別の委任なしに受け取ります
申請人の法定代理人や、支配人その他法令の規定により通知を受けるべき者を代理できる人は、特別の委任がなくても通知を受けます。成年後見人が法定代理人として自ら申請して登記が完了したときは、登記識別情報は成年後見人に通知されます。申請人が法人であれば、その代表者が受け取ります。「Bに成年後見人が選任されている場合において、当該成年後見人が法定代理人として自ら本件申請をし、その登記が完了したときは、登記識別情報は当該成年後見人に通知される」という肢は正しい肢として出ています。未成年者の親権者や、会社の支配人も同じ扱いです。申請人が法人で、代表者ではなく従業員が窓口に来る場合は、法人からの特別の委任がなければ受け取れません。
特別の委任を受けた資格者代理人なら事務所へ送れます
書面申請で送付による交付を求めるときは、本人限定受取郵便で申請人の住所へ送るのが原則です。特別の委任を受けた資格者代理人が通知を受ける場合は、送付先を代理人の事務所の所在地にすることができ、書留郵便などで送られます。送付を求めるときは送付に要する費用を納付します。「登記識別情報の通知を受けるための特別の委任を受けた申請代理人である司法書士が申請をする場合において、送付の方法による登記識別情報を記載した書面の交付を希望するときは、当該申請代理人の住所を送付先とすることができる」という肢は正しい肢として出ています。
受け取った書面はそのまま本人に引き渡します
代理人が受け取った登記識別情報の書面は、秘匿部分を開かずにそのまま本人へ引き渡すのが実務の基本です。代理人が中身を見てしまうと、本人しか知らないという前提が崩れるからです。通知書は登記完了後に交付されるので、司法書士が受領してから買主に引き渡す段取りを決めておけば、通知書が代理人の手元に残り続けることもありません。特別の委任を受けていない委任による代理人が窓口で受け取ろうとしても、登記所は交付しません。法定代理人など法令の規定で受け取れる人は、特別の委任なしに受け取り、その住所への送付も受けられます。法人が申請人なら代表者個人の住所への送付もできます。
不動産登記規則 第63条第5項前項の規定にかかわらず、前条第二項の規定により代理人が登記識別情報の通知を受ける場合であって、当該代理人が法第二十三条第四項第一号に規定する代理人(以下「資格者代理人」という。)であるときは、登記識別情報を記載した書面の送付は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法によってするものとする。
一 当該代理人が自然人である場合において当該代理人の住所に宛てて書面を送付するとき、又は当該代理人が法人である場合において当該代理人である法人の代表者の住所に宛てて書面を送付するとき 日本郵便株式会社の内国郵便約款の定めるところにより名宛人本人に限り交付し、若しくは配達する本人限定受取郵便又はこれに準ずる方法
二 当該代理人が自然人である場合において当該代理人の事務所の所在地に宛てて書面を送付するとき、又は当該代理人が法人である場合において当該代理人である法人の住所に宛てて書面を送付するとき 書留郵便又は信書便の役務であって信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うもの
試験ではこう問われる
- 申請の委任を受けた司法書士は当然に登記識別情報を受け取れるか(受け取れない。特別の委任が要る)
- 特別の委任なしに受け取れるのは誰か(法定代理人・支配人など)
- 成年後見人が自ら申請したとき通知は誰にされるか(成年後見人)
- 特別の委任を受けた資格者代理人への送付先はどこにできるか(代理人の事務所)
この用語が問われた肢
司法書士が申請人を代理して所有権の移転の登記を申請し、当該登記が完了した場合には、当該司法書士は、登記識別情報の通知を受けるための特別の委任を受けていないときであっても、当該登記に係る登記識別情報の通知を受けることができる。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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