根抵当権の債務者の変更・被担保債権の範囲の変更ねていとうけんのさいむしゃのへんこう・ひたんぽさいけんのはんいのへんこう
元本の確定前に限って、根抵当権が担保する債権の範囲と債務者を契約で変えられ、確定前に登記しなければ変更しなかったものとみなされます。承諾が要らない点と、この契約による変更が確定前に限られる点が肢の軸です。
根抵当権の債務者の変更と被担保債権の範囲の変更は、元本の確定前であれば根抵当権者と根抵当権設定者の契約で自由にできる変更です。根抵当権は極度額という枠で第三者を保護しているので、枠の中身である債権の範囲や債務者を入れ替えても後順位者の不利益にならず、承諾は要りません。ただし変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなされます。極度額の変更が利害関係人の承諾を要するのと対照的で、肢では承諾の要否と登記の期限が入れ替えて出されます。会社分割や相続で債務者が変わる場面では、法律上当然に担保される債務と、合意で加える債務を分けて登記する点も問われます。
民法 第398条の4(根抵当権の被担保債権の範囲及び債務者の変更)
元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする。
前項の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。
第一項の変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。

承諾は要らず、登記が変更の効力要件です
債権の範囲や債務者を変更する契約には、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しません。転抵当権者がいても同じです。その代わり、変更を元本の確定前に登記しなかったときは変更をしなかったものとみなされるので、登記が実質的に効力要件になります。申請は根抵当権者と根抵当権設定者の共同申請で、債権の範囲を縮める変更でも同じ形です。誰が権利者で誰が義務者になるかは変更の内容によって変わり、債権の範囲を広げる変更では根抵当権者が権利者です。
会社分割では債務者の変更の後に債権の範囲を変更します
債務者に会社分割があると、根抵当権は分割の時に存する債務のほか、分割会社と承継会社が分割後に負担する債務を担保します。法律上当然に承継会社が債務者に加わるので、会社分割を原因とする債務者の変更の登記をします。根抵当権者が分割前から承継会社に対して有していた債権を担保させたいときは、それは債権の範囲の変更なので、債務者の変更の登記の後に債権の範囲の変更の登記を申請します。「会社分割を登記原因とする債務者の変更の登記の後、債権の範囲の変更の登記を申請しなければならない」という肢は正しい肢です。
敷地権である旨の登記がされた後でも変更できます
土地に根抵当権の設定の登記がされた後、その土地を敷地とする区分建物が新築されて敷地権である旨の登記がされても、既にある根抵当権の債務者の変更の登記は申請できます。敷地権の登記後に土地だけを目的とする担保権の設定は制限されますが、登記済みの根抵当権の内容を変える登記までは制限されません。「当該土地に敷地権である旨の登記がされた後であっても、当該根抵当権の債務者の変更の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。
処分禁止に後れる変更の登記は仮処分債権者が抹消できません
所有権の処分禁止の仮処分の登記がされた後に根抵当権の債権の範囲の変更の登記がされても、その変更の登記は仮処分債権者への所有権移転と抵触する処分ではありません。仮処分債権者が単独で抹消できるのは、処分禁止の登記に後れる登記のうち自分の権利と抵触するものに限られます。「Bは、Bへの所有権の移転の登記の申請と同時に当該根抵当権の変更の登記の抹消を単独で申請することができる」という肢は誤りです。
民法 第398条の8(根抵当権者又は債務者の相続)
元本の確定前に根抵当権者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債権のほか、相続人と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に取得する債権を担保する。
元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。
第三百九十八条の四第二項の規定は、前二項の合意をする場合について準用する。
第一項及び第二項の合意について相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。
試験ではこう問われる
- 債権の範囲の変更に後順位抵当権者の承諾は要るか(要らない)
- 確定前に登記しなかった変更はどうなるか(変更をしなかったものとみなされる)
- 会社分割で承継会社への既存債権を担保させるには何を申請するか(債務者の変更の後に債権の範囲の変更)
- 敷地権の登記がされた土地の根抵当権の債務者を変更できるか(できる)
- 処分禁止の登記に後れる債権の範囲の変更の登記を仮処分債権者が単独抹消できるか(できない)
この用語が問われた肢
元本確定前の根抵当権の設定の登記がされた土地を敷地権の目的として区分建物が属する一棟の建物が新築され、当該土地に敷地権である旨の登記がされた後であっても、当該根抵当権の債務者の変更の登記を申請することができる。
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