登記の申請に関する不正登記防止申出とうきのしんせいにかんするふせいとうきぼうしもうしで
登記識別情報や印鑑を盗まれるなどして自分の知らない登記がされるおそれがあるとき、登記名義人が登記所に出頭して申し出ておく制度です。申出の方法と、申出があった後の申請がどう扱われるかが肢で突かれます。
不正登記防止申出は、登記名義人の知らないうちに登記がされるおそれがあるときに、登記名義人またはその相続人などが登記所に申し出ておく制度です。登記識別情報や実印・印鑑証明書を盗まれたとき、成りすましの疑いがあるときが典型です。法律ではなく不動産登記事務取扱手続準則に定められ、申出から3か月以内にその不動産について登記の申請があると、登記官は申出人に通知し、不動産登記法24条の本人確認の調査を行います。申出は申請を止める効力を持つものではなく、登記官の調査を確実に起動させる仕組みです。肢で突かれるのは、申出の方法と、申出の後の申請の扱いの二点です。
不動産登記法 第24条(登記官による本人確認)
登記官は、登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、次条の規定により当該申請を却下すべき場合を除き、申請人又はその代表者若しくは代理人に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請の権限の有無を調査しなければならない。
登記官は、前項に規定する申請人又はその代表者若しくは代理人が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に同項の調査を嘱託することができる。

申出は登記名義人などが登記所に出頭してします
不正登記防止申出は、登記名義人またはその相続人その他の一般承継人が、登記所に出頭してするのが原則です。やむを得ない事情があって出頭できないときは、委任による代理人が出頭してすることができます。申出には、申出人が登記名義人本人であることと、申出をする理由を示し、盗難や成りすましの疑いについては警察に届け出たことを証する書面などを添えます。「不正登記防止申出は,電子情報処理組織を使用する方法によってすることができますか」という問いに「はい。電子情報処理組織を使用する方法によってすることができます」と答える解答は誤りです。本人が出頭して確かめることが制度の要なので、オンラインでの申出は認められていません。
申出があっても申請は却下されず、本人確認の調査に進みます
登記官が申出を相当と認めると、申出の日から3か月以内にその不動産について申出に係る登記の申請があったときの扱いが変わります。登記官は申出人にその旨を通知し、申請人について不動産登記法24条の本人確認の調査をします。「当該登記の申請は,不正登記防止申出がされていることを理由として却下されることになります」という解答は誤りです。申出があること自体は不動産登記法25条の却下事由のどれにも当たらず、調査の結果として申請の権限がないと分かれば25条4号で却下されます。3か月を過ぎると申出の効力は終わるので、必要なら改めて申し出ることになるでしょう。
登記識別情報の失効の申出とは目的が違います
登記識別情報が盗まれたときは、不動産登記規則65条の失効の申出をすれば、その登記識別情報は使えなくなります。以後、登記識別情報の提供が要る申請は事前通知か、資格者代理人の本人確認情報または公証人の認証によることになるでしょう。不正登記防止申出は登記識別情報に限らず、印鑑や印鑑証明書の盗難、成りすましの疑いなど、不正の申請が見込まれる場面全般に使え、特定の鍵に限りません。認知症の親の名義が勝手に動かされるおそれがある場面でも使われており、鍵の無効化だけでは足りません。失効の申出が特定の鍵を無効にする手当てであるのに対し、不正登記防止申出は登記官の目を向けさせる手当てで、両方を同時にすることもできます。
不正な申請が見つかれば、登記官は申請の権限を調べて却下します
本人確認の調査の結果、申請人となるべき者以外の者が申請していると判明すれば、登記官は申請の権限を有しない者の申請として却下します。調査に応じないことも、申請の権限がないと認める判断の材料になります。登記が完了した後に判明した場合は、申請権限のない者の申請は職権抹消の事由ではないので、真の権利者が抹消の登記を申請するか訴えで争うことになるでしょう。司法書士が本人確認と意思確認を行う実務は、こうした不正を登記官の審査より前の段階で止める役目を担っています。
不動産登記法 第25条第1項第4号申請の権限を有しない者の申請によるとき。
試験ではこう問われる
- 不正登記防止申出はオンラインでできるか(できない。登記所に出頭する)
- 申出から3か月以内に申請があったら申出を理由に却下されるか(却下されない。申出人に通知し本人確認の調査)
- 申出の効力はいつまで続くか(申出の日から3か月)
- 登記識別情報の失効の申出と不正登記防止申出はどう違うか(前者は鍵の無効化、後者は登記官の調査の起動)
この用語が問われた肢
【問】この他に登記識別情報の不正利用を防止するために不正登記防止申出の制度も設けられています。不正登記防止申出は,電子情報処理組織を使用する方法によってすることができますか。 はい。電子情報処理組織を使用する方法によってすることができます。
【問】登記官が不正登記防止申出を相当と認めた場合において,当該不正登記防止申出の日から 3 か月以内に申出に係る登記の申請があったときは,どのように取り扱われますか。 当該登記の申請は,不正登記防止申出がされていることを理由として却下されることになります。
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