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筆界特定ひっかいとくてい

不動産登記 第11章 表示に関する登記

隣り合う土地の筆界の現地における位置を、法務局の筆界特定登記官が調査のうえで特定する行政上の手続です。筆界と所有権界の違い、誰が申請できるか、筆界確定訴訟との関係が肢で突かれます。

筆界特定は、一筆の土地とこれに隣接する他の土地について、筆界の現地における位置を特定する手続です。筆界とは、表題登記がある一筆の土地とこれに隣接する他の土地との間で、その土地が登記された時に境を構成するものとされた二以上の点とこれらを結ぶ直線です。当事者の合意では動かせない公法上の線です。不動産登記法123条以下が定め、対象土地の所在地を管轄する法務局または地方法務局の筆界特定登記官が、筆界調査委員の意見を踏まえて特定します。平成18年に始まった制度で、訴訟より早く安く筆界を明らかにする道として置かれ、肢で突かれるのは、筆界と所有権界の違い、申請人、手続の流れ、判決との関係です。

不動産登記法 第123条第1項第2号

筆界特定 一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について、この章の定めるところにより、筆界の現地における位置を特定すること(その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)をいう。

境界杭を挟んで向かい合う二軒の持ち主の間に法務局の職員が立ち、図面を見ながら地面に線を引いている
筆界特定は法務局の筆界特定登記官が筆界の現地の位置を特定する手続で、所有権の範囲は決めません
筆界と所有権界は別申請人は所有権登記名義人等判決と抵触する範囲で失効

筆界は登記された時の線で、所有権界とは別のものです

筆界は一筆の土地が登記された時に境とされた線で、分筆や合筆の登記でしか動きません。隣地の一部を時効取得しても筆界は動かず、所有権の範囲を示す所有権界と筆界がずれることになります。筆界特定はこの筆界の位置を明らかにするだけで、所有権の範囲を決めるものではなく、筆界特定がされても当事者はその線と違う所有権界を主張できます。位置を特定できないときは、その位置の範囲を特定することもできます。

申請できるのは所有権登記名義人等で、相手方の同意は要りません

筆界特定の申請ができるのは、対象土地の所有権登記名義人等です。所有権の登記がある土地では所有権の登記名義人、所有権の登記がない土地では表題部所有者、表題登記がない土地では所有者をいい、それらの相続人その他の一般承継人も含みます。隣地の所有者の同意は申請の要件ではなく、一方の土地の名義人だけで申請できます。地方公共団体も、その区域内の対象土地の所有権登記名義人等のいずれかの同意を得れば、不動産登記法14条1項の地図に表示されない筆界について申請できます。手続費用のうち測量の費用などは申請人の負担です。

筆界調査委員の意見を踏まえて筆界特定登記官が特定します

申請があると、筆界特定登記官はその旨を公告し、申請人以外の対象土地の所有権登記名義人等と関係土地の所有権登記名義人等である関係人に通知するところから手続が始まります。法務局の長が筆界調査委員を指定し、委員が必要な事実の調査を行う段取りです。筆界特定登記官は申請人と関係人に期日を通知して、意見を述べ資料を出す機会を与えます。委員が意見を提出すると、登記記録や地図、現地の状況、工作物や境界標の経緯などを総合して筆界特定をする運びです。結論と理由の要旨を記載した筆界特定書を作成し、申請人に写しを交付して公告と関係人への通知をするところまでが手続です。

筆界特定は判決と抵触する範囲で効力を失い、不服は訴訟で争います

筆界特定の後に、同じ筆界について筆界の確定を求める訴えの判決が確定したときは、筆界特定はその判決と抵触する範囲で効力を失います。筆界特定は行政上の判断であって裁判ではないので、確定判決のような既判力はなく、不服がある者は筆界確定訴訟を提起して争う形です。筆界特定自体に対する審査請求の制度はなく、申請の却下だけが登記官の処分とみなされて不服申立ての対象になる建付けです。訴訟が起きたときは裁判所が登記官に筆界特定手続記録の送付を嘱託でき、記録は対象土地を管轄する登記所で保管される決まりです。

筆界特定の後の分筆や地積更正では筆界特定書の写しが使われます

筆界特定がされた土地について分筆や地積の更正の登記を申請するときは、筆界特定書の写しと図面を使って地積測量図を作ることができます。筆界特定の申請とその手続の代理は土地家屋調査士の業務で、対象土地の価額を基準とする上限の範囲なら認定司法書士も相談と代理ができます。筆界特定がされた旨は登記記録の表題部に記録され、登記事項証明書で確認できます。隣地との境界が曖昧な土地の売買では、決済前に筆界特定か境界確認を済ませることが実務の手順です。

不動産登記法 第148条

(筆界確定訴訟の判決との関係)
筆界特定がされた場合において、当該筆界特定に係る筆界について民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えに係る判決が確定したときは、当該筆界特定は、当該判決と抵触する範囲において、その効力を失う。

試験ではこう問われる

  1. 筆界と所有権界はどう違うか(筆界は登記された時の公法上の線で合意や時効で動かない。所有権界は所有権の範囲)
  2. 筆界特定を申請できるのは誰か(所有権登記名義人等。隣地所有者の同意は不要)
  3. 筆界特定をするのは誰か(法務局の筆界特定登記官。筆界調査委員の意見を踏まえる)
  4. 筆界特定の後に筆界確定訴訟の判決が確定したらどうなるか(抵触する範囲で筆界特定は効力を失う)
  5. 筆界特定に不服があるときどうするか(審査請求はできず、筆界確定訴訟で争う)
不動産登記を肢別で解く

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