登録免許税の還付とうろくめんきょぜいのかんぷ
納めすぎた登録免許税や、取下げ・却下で目的を失った登録免許税を国から返してもらう手続です。誰に何を請求するか、登記が完了した後に抹消しても戻るか、代理人が受け取るときの委任状をどこに出すかが肢で突かれます。
登録免許税の還付は、登録免許税法31条が定める、過大に納付した税や登記を受けなかった申請に係る税を国が返す手続です。登記官が過誤納の事実を税務署長に通知し、税務署長が国税通則法に基づいて還付します。申請人は登記所に対して還付通知をすべき旨の請求をし、取下げや却下のときは還付と再使用証明のどちらかを選びます。登記が完了して効力が生じた後に、その登記を抹消したり申請の原因が消えたりしても、納めた税は戻りません。肢で突かれるのは、手続の窓口が登記所であること、還付される場合とされない場合の線引きです。
不動産登記法 第25条第1項第12号登録免許税を納付しないとき。

還付の窓口は登記所で、登記官が税務署長に通知します
登録免許税を納めすぎたときや、申請が取り下げられまたは却下されたときは、登記官がその事実を申請人の納税地の税務署長に通知し、税務署長が還付します。申請人は登記官に対して還付通知をすべき旨の請求をするので、手続の窓口は登記所です。代理人が還付金を受け取る委任を受けたときも、その委任状は登記所に提出します。「当該代理人は,当該委任に係る委任状を,直接,当該登記の申請人の住所地を管轄する税務署に提出しなければならない」という肢は誤りです。
取下げと却下のときは還付を受けられ、再使用証明と選べます
申請を取り下げたときや却下されたときは、登記を受けないまま税を納めた状態になるので還付の対象です。書面申請で領収証書や印紙を貼っていたときは、還付に代えて再使用証明を受けることもできます。電子申請でも、印紙や領収証書で納めていれば取下げによって還付を受けられます。「電子情報処理組織を使用する方法により行った登記の申請を取り下げた場合において,当該申請の際に印紙をもって登録免許税を納付していたときは,当該印紙の額に相当する額の還付を受けることはできない」という肢は誤りです。
登記が完了した後は、抹消しても税は戻りません
登録免許税は登記を受けることに対して課される税なので、登記が完了して効力が生じた時点で納税の目的を果たしています。登記原因が錯誤で無効だったとして後から移転の登記を抹消しても、納めた税は還付されません。「AからBへの所有権の移転の登記の申請がされた後に,錯誤を登記原因として当該登記の抹消の申請をするときは,当該所有権の移転の登記の際に納付した登録免許税に相当する額の還付を受けることができる」という肢は誤りです。還付されるのは、過大納付と登記を受けなかった場合に限られます。
過大納付は登記の後でも還付を請求できます
税率や課税標準を誤って本来より多く納めたときは、登記が完了した後でも過誤納として還付の対象です。再使用証明を受けた印紙を使った申請で、新しい登記の税額が印紙の額より少なかったときも、「当該登記の完了後にその差額について還付を受けることができる」という肢のとおり差額が還付されます。還付通知の請求には期限があるので、過大納付に気づいたら早めに登記所に請求します。登記官が職権で過大納付を見つけたときも税務署長に通知します。
還付と原本還付は別の制度です
登録免許税の還付は税金を返す手続で、添付書面の原本還付は申請書に添えた書面の原本を返してもらう手続です。原本還付は不動産登記規則55条が定め、申請のためにだけ作られた委任状や登記原因証明情報、申請書や委任状に押した印鑑についての印鑑証明書は還付されません。遺産分割協議書に添えた印鑑証明書や戸籍などは、謄本を添えて原本の還付を請求できます。肢の問題文で「還付」とあるときは、税の話か書面の話かを先に見分けるのが近道です。登録免許税の還付は登録免許税法31条、原本還付は規則55条と根拠が別です。
不動産登記規則 第189条第6項登記官の認定した課税標準の金額が申請情報の内容とされた課税標準の金額による税額を超える場合において、申請人がその差額を納付するときは、差額として納付する旨も申請情報の内容として追加しなければならない。
試験ではこう問われる
- 登録免許税の還付の手続はどこにするか(登記所。登記官が税務署長に通知する)
- 代理人が還付金を受け取る委任状はどこに出すか(登記所。税務署ではない)
- 完了した登記を錯誤で抹消したら納めた税は戻るか(戻らない)
- 電子申請で印紙納付した申請を取り下げたら還付されるか(される)
- 登録免許税の還付と添付書面の原本還付は同じ制度か(違う。税は登録免許税法31条、原本は規則55条)
この用語が問われた肢
登記の申請の際に納付した登録免許税に過誤納があったため過誤納金の還付を受ける場合において,当該登記の申請代理人が還付金を受領する旨の委任を受けたときは,当該代理人は,当該委任に係る委任状を,直接,当該登記の申請人の住所地を管轄する税務署に提出しなければならない。
電子情報処理組織を使用する方法により行った登記の申請を取り下げた場合において,当該申請の際に印紙をもって登録免許税を納付していたときは,当該印紙の額に相当する額の還付を受けることはできない。
AからBへの所有権の移転の登記の申請がされた後に,錯誤を登記原因として当該登記の抹消の申請をするときは,当該所有権の移転の登記の際に納付した登録免許税に相当する額の還付を受けることができる。
再使用証明を受けた印紙を使用して申請した登記の登録免許税の額が,再使用証明を受けた印紙の額より少額であるときは,当該登記の完了後にその差額について還付を受けることができる。
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