登記原因についての第三者の許可(未成年・成年後見)とうきげんいんについてのだいさんしゃのきょか
未成年者や成年被後見人の財産を親権者・後見人が処分するときに要る、特別代理人の選任や家庭裁判所の許可などがあったことを証する情報です。誰の許可がどの場面で要るか、登記申請そのものは誰ができるかが肢で突かれます。
登記原因についての第三者の許可は、登記原因である法律行為をするのに家庭裁判所や監督人などの許可・同意が要るとき、それがあったことを証する情報として提供するものです。親権者と子の利益が相反する行為には民法826条の特別代理人が要り、成年後見人が居住用不動産を処分するには民法859条の3の家庭裁判所の許可が要ります。不在者の財産管理人や相続財産清算人が権限を超える行為をするときも、家庭裁判所の許可が要ります。肢で突かれるのは、許可が要る場面と要らない場面の見分け、そして法律行為の許可と登記申請の代理を混同させるすり替えです。
民法 第826条(利益相反行為)
親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

親権者と子の利益相反には特別代理人の選任審判書が要ります
親権者と未成年の子の利益が相反する行為は、特別代理人が子を代理し、その選任の審判書を許可を証する情報として提供します。「相続によるBへの所有権の移転の登記がされた後,Cを債務者とする民法第398条の8第2項の合意の登記を申請するときは,Bについて特別代理人の選任の審判があったことを証する情報を提供しなければならない」という肢は正しい肢です。親権者が父母二人のときは、利益が相反しない側の親権者と特別代理人が共同で子を代理するので、その親権者の印鑑証明書も要り、「添付情報としてCの印鑑に関する証明書を提供することを要しない」という肢は誤りです。民法826条の特別代理人は親権者と子の間の仕組みで、一般社団法人の理事との利益相反は社員総会や理事会の承認で扱うため、「同法人について特別代理人の選任があったことを証する情報を提供しなければならない」という肢は誤りです。
法律行為は特別代理人がしても、登記申請は親権者ができます
利益相反に当たるのは法律行為であって、それに基づく登記の申請は子の利益を害さないので、親権者が子を代理して申請できます。「家庭裁判所が未成年者Aのために選任した特別代理人Bが,Aを代理して,Aとその親権者Cとの利益が相反する法律行為をした場合であっても,Cは,Aを代理して当該法律行為に基づく登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。親権者が代理権限を証する情報として提供する戸籍は公務員が作成したものなので、作成後3か月以内のものに限られ、「当該証明書は、作成後 3 か月以内のものであることを要しない」という肢は誤りです。
成年後見人は居住用の処分に家庭裁判所の許可が要ります
成年後見人が成年被後見人の居住の用に供する建物や敷地を売却するときは、家庭裁判所の許可書を提供します。「Aの居住の用に供する建物につき本件申請をするときは,家庭裁判所の許可があったことを証する情報を提供しなければならない」という肢は正しい肢で、居住の用に供しない建物なら許可書は要りません。ただし後見監督人が選任されていれば、不動産の処分には監督人の同意が要り、「後見監督人が選任されているときであっても,後見監督人の同意があったことを証する情報を提供することを要しない」という肢は誤りです。成年後見人が申請するときの本人確認情報は後見人についてのものを作り、後見人の住所証明情報は要らず、登記識別情報は後見人に通知されます。
管理人の権限外の行為には許可が要ります
不在者の財産管理人や相続財産清算人が保存・利用を超える処分をするときは、家庭裁判所の許可書を提供します。許可書は第三者の許可を証する情報なので、「その許可があったことを証する情報は,その作成の日から3か月以内のものを提供しなければならない」という肢は誤りです。被相続人が生前に売った不動産の移転登記は既に成立した売買の履行なので許可は要らず、「Aが生前に売却したA を所有権の登記名義人とする不動産の所有権の移転の登記を申請するときは,家庭裁判所の許可があったことを証する情報を提供することを要しない」という肢は正しい肢です。相続財産清算人が建物以外の工作物の所有を目的として土地に存続期間10年の賃借権を設定するのは、短期賃貸借の期間(この目的では5年)を超える処分なので許可が要り、許可書の提供を要しないとする肢は誤りです。
法定代理人の代理権が後で消えても、司法書士への委任は生きています
成年後見人が司法書士に登記申請を委任した後に破産手続開始の決定を受けて後見人でなくなっても、不動産登記法17条により登記申請の代理権は消滅しません。申請はそのまま進み、委任状に押印した元後見人の印鑑証明書を提供するので、「Bの印鑑に関する証明書を提供しなければなりません」という解答は正しい解答です。会社が取締役と取引するときの取締役会の承認を証する議事録には、出席した取締役と監査役の印鑑証明書を添えます。取締役会を置かない会社の株主総会議事録に出席取締役全員の記名押印と印鑑証明書を求める肢は誤りです。
民法 第864条(後見監督人の同意を要する行為)
後見人が、被後見人に代わって営業若しくは第十三条第一項各号に掲げる行為をし、又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。ただし、同項第一号に掲げる元本の領収については、この限りでない。
試験ではこう問われる
- 親権者と子の利益相反行為に基づく登記に特別代理人の審判書は要るか(要る。共同親権なら他方の親権者の印鑑証明書も要る)
- 特別代理人が法律行為をした後の登記申請を親権者ができるか(できる)
- 非居住用の建物の売却に家庭裁判所の許可書は要るか(要らない。後見監督人がいれば同意書は要る)
- 被相続人が生前に売った不動産の移転登記に相続財産清算人の許可書は要るか(要らない)
- 家庭裁判所の許可書に作成後3か月の制限はあるか(ない)
この用語が問われた肢
未成年者Aの親権者がB及びCである場合において、家庭裁判所がAのために特別代理人Dを選任した上で、A所有の甲不動産がBに売却され、売買を登記原因とするAからBへの所有権の移転の登記を申請するときは、添付情報としてCの印鑑に関する証明書を提供することを要しない。
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