外国人・外国法人の添付情報がいこくじんがいこくほうじんのてんぷじょうほう
日本に住所や登記のない外国人・外国法人が申請人になるときに、印鑑証明書や住所証明情報、資格証明情報の代わりに提供する署名証明書や宣誓供述書などです。日本に住む外国人と外国に住む人で何が使えるかが肢で突かれます。
外国人・外国法人の添付情報は、印鑑登録や法人登記の制度が使えない申請人について、日本の制度を前提にした添付情報をどう代替するかという論点です。不動産登記令16条の印鑑証明書は市町村長または登記官が作成するものに限られるので、日本で印鑑登録ができない人は本国や在外公館の署名証明書で代えます。住所証明情報や法人の代表者の資格を証する情報も、本国の官公署の証明書や宣誓供述書で代えることが登記実務で認められています。肢で突かれるのは、日本に住んでいるかどうかで使える書面が変わる点と、代替書面に期間制限が及ぶかです。
不動産登記令 第16条(申請情報を記載した書面への記名押印等)
申請人又はその代表者若しくは代理人は、法務省令で定める場合を除き、申請情報を記載した書面に記名押印しなければならない。
前項の場合において、申請情報を記載した書面には、法務省令で定める場合を除き、同項の規定により記名押印した者(委任による代理人を除く。)の印鑑に関する証明書(住所地の市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、市長又は区長若しくは総合区長とする。次条第一項において同じ。)又は登記官が作成するものに限る。以下同じ。)を添付しなければならない。
前項の印鑑に関する証明書は、作成後三月以内のものでなければならない。
官庁又は公署が登記の嘱託をする場合における嘱託情報を記載した書面については、第二項の規定は、適用しない。
第十二条第一項及び第十四条の規定は、法務省令で定めるところにより申請情報の全部を記録した磁気ディスクを提出する方法により登記を申請する場合について準用する。

日本に住む外国人は市区町村の印鑑証明書を使えます
日本に住所を持つ外国人は住民票の対象で印鑑登録もできるので、市区町村長が発行した印鑑証明書をそのまま添付情報にできます。「日本に居住する外国人Aが甲土地の所有権の登記名義人であるとき,Aが居住している市の長が発行したAの印鑑に関する証明書は,甲土地についてAを登記義務者とする登記の申請の添付情報とすることができない」という肢は誤りです。国籍ではなく、日本の市区町村で印鑑登録ができる立場かどうかで決まります。
外国に住む人は署名証明書で代え、3か月制限は及びません
外国に住所を持つ人は印鑑登録ができないので、登記実務では、本国の官公署や日本の在外公館が作成した署名証明書を印鑑証明書に代えて添付できるとされています。日本人でも同じで、「在外公館において作成される登記義務者の署名が本人によるものである旨の証明書を添付するときは,当該証明書は,作成後 3 か月以内のものであることを要しない」という肢は正しい肢です。印鑑証明書の3か月制限は不動産登記令16条3項の印鑑証明書に付いたもので、代替の署名証明書には及びません。外国の公証人が委任状の署名を認証した場合も同様で、「Aが署名した委任状自体に,外国の公証人が委任事項及びAの署名が真正である旨を証明し,その認証のための印章を押なつしたものを提供することができる」という肢は正しい肢です。
住所証明情報と資格証明情報も本国の証明書や宣誓供述書で代えます
外国に住む人が所有権の登記名義人になるときの住所証明情報は、本国の官公署が発行した住所の証明書で代えます。登記実務では、日本の在外公館の在留証明書や、公証人の認証を受けた宣誓供述書も認められている扱いです。令和6年4月1日からは、外国に住む外国人が公証人の認証を受けた宣誓供述書を使うときは、旅券の写しも併せて提供するのが原則です。外国法人の代表者の資格を証する情報も、本国の官公署や公証人の証明で代えます。会社法人等番号を持たない法人に当たるので、この資格証明情報を提供し、公務員が作成したものは作成後3か月以内という不動産登記令17条の制限が及びます。
国内に住所がない所有権の名義人には国内連絡先が登記事項です
令和6年4月1日から、所有権の登記名義人が国内に住所を持たないときは、国内における連絡先となる者の氏名と住所などが登記事項になりました。外国に住む人が所有権の保存や移転の登記で登記名義人になるときは、申請情報に国内連絡先を書き、連絡先となる者の氏名や住所を証する情報とその者の承諾を証する情報を添えるのが実務の扱いです。連絡先となる者がいないときは、その旨を申請情報に書きます。同じ日から、日本の国籍を持たない所有権の登記名義人については、氏名の表音をローマ字で併記する申出を申請と併せてすることになり、ローマ字氏名を証する情報を提供します。
不動産登記令 第17条(代表者の資格を証する情報を記載した書面の期間制限等)
第七条第一項第一号ロ又は第二号に掲げる情報を記載した書面であって、市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成したものは、作成後三月以内のものでなければならない。
前項の規定は、官庁又は公署が登記の嘱託をする場合には、適用しない。
試験ではこう問われる
- 日本に居住する外国人の市の長が発行した印鑑証明書を添付情報にできるか(できる)
- 外国に住む人の署名証明書に作成後3か月の制限は及ぶか(及ばない)
- 外国の公証人が署名を認証した委任状を印鑑証明書なしで使えるか(使える)
- 外国に住む人が所有権の登記名義人になるとき国内連絡先の記載は要るか(要る。令和6年4月1日から)
この用語が問われた肢
国外に住所を有する日本人を登記義務者として所有権の移転の登記を申請する場合において、当該申請書に添付すべき登記義務者の印鑑に関する証明書に代えて、在外公館において作成される登記義務者の署名が本人によるものである旨の証明書を添付するときは、当該証明書は、作成後 3 か月以内のものであることを要しない。
外国に住所を有する日本人であるAが日本国内に所在する甲不動産を売却し、委任による代理人によって売買を登記原因とする所有権の移転の登記を申請する場合において、Aの印鑑に関する証明書を添付情報として提供することができないときは、Aが署名した委任状自体に、外国の公証人が委任事項及びAの署名が真正である旨を証明し、その認証のための印章を押なつしたものを提供することができる。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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