地役権の登記事項(目的・範囲)ちえきけんのとうきじこう
不動産登記法80条1項が定める、要役地、地役権設定の目的及び範囲、民法上の別段の定めの三つです。図面が要る場面、登記できる特約の範囲、変更の登記の税額が肢で突かれます。
地役権の登記事項は、不動産登記法80条1項が定める、要役地、地役権設定の目的及び範囲、民法上の別段の定めの三つです。地役権者の氏名や住所は登記せず、代わりに要役地の表示で権利者を特定するのが地役権の登記の特徴です。範囲が承役地の一部のときは地役権図面を提供し、登記の末尾に図面番号が記録されます。肢で突かれるのは、図面が要る場面、登記できる特約の範囲、変更の登記の税額です。
不動産登記法 第80条第1項承役地(民法第二百八十五条第一項に規定する承役地をいう。以下この条において同じ。)についてする地役権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 要役地(民法第二百八十一条第一項に規定する要役地をいう。以下この条において同じ。)
二 地役権設定の目的及び範囲
三 民法第二百八十一条第一項ただし書若しくは第二百八十五条第一項ただし書の別段の定め又は同法第二百八十六条の定めがあるときは、その定め

目的と範囲は必ず書き、範囲が一部なら地役権図面が要ります
地役権設定の目的は「通行」「引水」「観望」「電線路の障害となる工作物を設置しない」のように、承役地をどう使うかが読める具体的なものにします。範囲が全部なら図面は要らず、「範囲 全部」と記載するだけです。範囲は承役地の「全部」か「東側何平方メートル」のような一部で、一部のときは不動産登記令別表の添付情報として地役権図面を提供します。「一筆の土地の一部分を承役地として通行地役権を設定する旨の地役権の設定の登記の申請をする場合には、地役権図面の提供を要する」という肢は正しい肢です。区分地上権は上下の数値で範囲を特定するので図面が要らず、「その範囲を明らかにする図面を提供しなければならない」という肢は誤りで、対比して出る組合せです。
地役権図面には範囲・方位・地番・申請人の氏名を記録します
地役権図面には、地役権設定の範囲を明確にし、方位、縮尺、地番と隣地の地番、申請人の氏名または名称を記録します。縮尺は適宜でよく、作成の年月日を記録し、書面のときは地役権者の署名または記名押印が要る書面です。土地家屋調査士が作る地積測量図と違い、申請人の側で作成する図面で、電子申請では電磁的記録で提供できます。書面申請で提出する地役権図面は、日本産業規格B列4番の丈夫な用紙を用いて作成します。登記官は範囲が一部の設定の登記をするとき、登記の末尾に地役権図面番号を記録し、範囲の変更や更正で一部になるときも同じです。
登記できる特約は民法が列挙する三つに限られます
登記事項になる別段の定めは三つです。一つ目は地役権が要役地の所有権とともに移転しない旨の定めで、民法281条1項ただし書に根拠があります。二つ目は用水地役権の水の使用に関する285条1項ただし書の定め、三つ目は承役地の所有者が工作物の設置や修繕の義務を負う286条の定めです。随伴しない定めは「地役権は要役地と共に移転しない」、工作物設置義務は「承役地の所有者は自己の費用で工作物を設け、修繕する義務を負う」のように記載します。列挙にない特約は登記できず、「承役地の所有者は承役地の浸冠水その他の影響について一切異議求償等を申立てない」旨の特約を申請情報にした申請は却下されます。地役権者の氏名を登記しないので持分も登記事項にならず、「地役権者ごとの持分を申請情報の内容としなければならない」という肢は誤りです。
範囲や目的の変更の登録免許税は不動産1個につき1000円です
地役権設定の範囲を一部から全部に広げる変更や、目的を変える変更は、要役地の所有者と承役地の所有者の共同申請による変更の登記です。登録免許税は設定の1500円ではなく、変更の登記として承役地1個につき1000円で、「承役地である土地 1 筆につき 1500 円である」という肢は誤りです。要役地の地番が土地区画整理で変わったときも、要役地の表示を直す変更の登記を共同で申請できます。範囲が全部から一部に変わるときは変更後の範囲を示す地役権図面を提供し、登記官が図面番号を記録します。承役地での変更や抹消は、要役地の登記記録にも登記官が職権で反映する仕組みです。
不動産登記規則 第79条(地役権図面の内容)
地役権図面には、地役権設定の範囲を明確にし、方位、縮尺、地番及び隣地の地番並びに申請人の氏名又は名称を記録しなければならない。
地役権図面は、適宜の縮尺により作成することができる。
地役権図面には、作成の年月日を記録しなければならない。
地役権図面(書面である場合に限る。)には、地役権者が署名し、又は記名押印しなければならない。
試験ではこう問われる
- 地役権の必要的な登記事項は何か(要役地、目的、範囲)
- 範囲が承役地の一部のとき図面は要るか(地役権図面が要る。区分地上権には要らない)
- 登記できる特約はどれか(随伴しない定め・用水の定め・工作物設置義務の三つ)
- 地役権の範囲の変更の登録免許税はいくらか(不動産1個につき1000円)
この用語が問われた肢
一筆の土地の一部分を承役地として通行地役権を設定する旨の地役権の設定の登記の申請をする場合には、地役権図面の提供を要する。
「承役地の所有者は承役地の浸冠水その他の影響について一切異議求償等を申立てない」旨の特約を申請情報として地役権の設定の登記を申請した場合には、当該申請は却下される。
地役権の設定の登記を申請する場合において、地役権者が複数名いるときは、地役権者ごとの持分を申請情報の内容としなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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