登記期間の起算と附属書類の閲覧ふぞくしょるい
登記事項に変更が生じてから登記を申請するまでの2週間の期間と、申請書や添付書面である登記簿の附属書類を利害関係人が閲覧する仕組みです。閲覧に利害関係を証する書面が要ること、閲覧の却下にも審査請求ができることが肢で突かれます。
登記期間は、会社法915条1項により、登記事項に変更が生じた日から2週間以内に本店の所在地で変更の登記をしなければならないとされる期間です。附属書類の閲覧は、商業登記法11条の2により、登記簿の附属書類である申請書や添付書面について利害関係を有する者が手数料を納めて閲覧を請求できる仕組みです。登記事項証明書は誰でも取れますが、附属書類は会社の内部書類を含むので利害関係人に限られます。肢で突かれるのは、期間の起算点、閲覧請求の要件、却下されたときの争い方です。
商業登記法 第11条の2(附属書類の閲覧)
登記簿の附属書類の閲覧について利害関係を有する者は、手数料を納付して、その閲覧を請求することができる。この場合において、第十七条第三項に規定する電磁的記録又は第十九条の二に規定する電磁的記録に記録された情報の閲覧は、その情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものを閲覧する方法により行う。

登記期間は2週間で、効力発生日の翌日から数えます
会社法915条1項の2週間は、登記事項の変更の効力が生じた日の翌日から数えるのが原則です。民法140条の初日不算入が適用され、株主総会の決議の日に効力が生じれば翌日が1日目ですが、効力が午前零時に生じるときは初日を算入します。登記すべき事項につき官庁の許可を要するときは、許可書が到達した日から登記期間を数える扱いで、商業登記法17条2項5号が申請書に到達の年月日を書かせるのはそのためです。期間内に申請しなくても申請は受理されますが、代表者が過料の対象になります。設立の登記の期間は会社法911条が別に定めています。発起設立では設立時取締役の調査が終了した日(指名委員会等設置会社では設立時代表執行役が通知を受けた日)か発起人が定めた日の遅い方から2週間です。
附属書類の閲覧には利害関係を証する書面を添付します
商業登記法11条の2は、登記簿の附属書類について利害関係を有する者が閲覧を請求できると定めます。商業登記規則21条により、申請書には閲覧しようとする部分と利害関係を明らかにする事由を書き、利害関係を証する書面を添付します。「いいえ,利害関係を証する書面については,提示では足りず,添付をする必要があります」という答えは正しい肢です。閲覧できる範囲は利害関係のある部分に限られ、添付書面の全部を見られるわけではありません。
閲覧請求の却下にも審査請求ができます
閲覧請求を却下する処分も登記官の処分なので、商業登記法142条の審査請求の対象です。「登記の申請をした者は,当該申請を却下した処分に対して審査請求をすることができるが,登記簿の附属書類の閲覧を請求した者は,当該請求を却下した処分に対して審査請求をすることができない」という肢は誤りです。審査請求は登記官を経由して監督法務局または地方法務局の長にします。登記の申請の却下と閲覧請求の却下は、どちらも同じ経路で争えます。
調査報告書の附属書類は別の意味の附属書類です
肢に出る「附属書類」には、登記簿の附属書類とは別に、検査役や設立時取締役の調査報告を記載した書面に付ける附属書類があります。「当該設立が発起設立であり、定款にいわゆる変態設立事項についての定めがない場合には、設立時取締役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付することなく、設立の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。「現物出資財産が,会社に対する弁済期が到来している金銭債権であり,募集事項として定められた価額が 500 万円を超える場合であっても,当該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えないときは,募集株式の発行による変更の登記の申請書には,当該金銭債権についての現物出資財産の価額に関する検査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付することを要しない」という肢も正しい肢です。「株式会社の設立が募集設立であり、当該設立の登記の申請書に設立時取締役及び設立時監査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類の添付を要する場合において、設立時取締役のうちの 1 名が創立総会に欠席したときは、創立総会に出席した設立時取締役及び設立時監査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付すれば足りる」という肢は誤りで、調査は設立時取締役全員の職務です。
会社法 第915条第1項会社において第九百十一条第三項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
試験ではこう問われる
- 登記期間の起算点(効力発生日の翌日、許可書の到達日)と、期間を過ぎた申請の扱いを問う肢
- 附属書類の閲覧に利害関係を証する書面の添付が要るか、提示で足りるかを問う肢
- 閲覧請求の却下に審査請求ができるかを問う肢
- 検査役や設立時取締役の調査報告書とその附属書類の添付の要否を問う肢
この用語が問われた肢
【問】次に,登記簿の附属書類の閲覧の制度について質問します。登記簿の附属書類の閲覧について利害関係を有する者は,手数料を納付して,その閲覧を請求することができますが,その際,閲覧しようとする部分について利害関係を証する書面を提示して,請求することができますか。 いいえ,利害関係を証する書面については,提示では足りず,添付をする必要があります。
当該設立が発起設立であり、定款にいわゆる変態設立事項についての定めがない場合には、設立時取締役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付することなく、設立の登記を申請することができる。
現物出資財産が,会社に対する弁済期が到来している金銭債権であり,募集事項として定められた価額が 500 万円を超える場合であっても,当該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えないときは,募集株式の発行による変更の登記の申請書には,当該金銭債権についての現物出資財産の価額に関する検査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付することを要しない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。