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本店移転(管轄外・経由申請)ほんてんいてんかんかつがいけいゆしんせい

商業登記 第10章 本店・商号・目的の変更 過去問で9肢

本店を他の登記所の管轄区域内に移すときに、旧所在地宛てと新所在地宛ての2通の申請書を旧所在地の登記所に同時に出す仕組みです。2通の中身と添付書面の違い、却下と抹消の扱いで肢が作られます。

本店移転(管轄外)は、本店を他の登記所の管轄区域内に移転することです。商業登記法51条は、新所在地における登記の申請を旧所在地の登記所を経由してすることと、旧所在地における登記の申請と同時にすることを定めています。旧所在地宛ての申請書は本店を移転した旨の変更登記、新所在地宛ての申請書は会社の登記記録を新しく起こすための登記で、内容も添付書面も違います。令和7年4月の改正で新所在地への印鑑の届出は要らなくなり、申請書2通と委任状の構成はいっそう単純になりました。肢で突かれるのは、2通それぞれの中身と、片方が却下されたときの扱いです。

商業登記法 第51条

(本店移転の登記)
本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記の申請は、旧所在地を管轄する登記所を経由してしなければならない。
前項の登記の申請と旧所在地における登記の申請とは、同時にしなければならない。
第一項の登記の申請書には、第十八条の書面を除き、他の書面の添付を要しない。

代表者が窓口に二通の封筒を同時に差し出し、職員が一通を帳簿に、もう一通を別の登記所へ向かう筒に入れる。窓の外に引っ越しの荷車
管轄外への本店移転は旧所在地宛てと新所在地宛ての2通を旧所在地の登記所に同時に出し、新所在地宛ては委任状だけです
2通を旧所在地へ同時に新所在地宛ては委任状のみ新所在地で却下なら旧所在地もみなし却下印鑑届は令和7年4月から不要

旧所在地宛ては本店移転の登記、新所在地宛ては登記事項の全部です

旧所在地宛ての申請書に載るのは、登記の事由としての本店移転と、登記すべき事項としての移転後の本店と移転の年月日です。新所在地宛ての申請書に記載するのは、新しい登記記録に載せる登記事項の全部に加えて、会社成立の年月日、本店を移転した旨とその年月日です。新所在地の登記には、取締役、監査役、代表取締役などの就任の年月日も載ります。登録免許税は本店移転の登記として旧所在地分と新所在地分がそれぞれ3万円で、合計6万円を旧所在地の登記所で納めます。

添付書面は旧所在地宛てに付け、新所在地宛ては委任状だけです

本店移転を決めた株主総会議事録と株主リスト、取締役会議事録または取締役の決定を証する書面は、旧所在地宛ての申請書に添付します。新所在地宛ての申請書には、代理人の権限を証する書面を除いて他の書面の添付を要しません。代理申請のときは、2通のどちらにも委任状を添付します。「本店を甲県所在のA登記所の管轄区域内から乙県所在のB登記所の管轄区域内に移転する本店移転の登記を代理人によって申請する場合には,A登記所宛ての申請書及びB登記所宛ての申請書のいずれにも,代理人の権限を証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。

新所在地で却下されると旧所在地の申請も却下とみなされます

旧所在地の登記所は、2通のどちらかに却下事由があれば両方を共に却下します。却下事由がなければ、新所在地宛ての申請書と添付書面を新所在地の登記所に送付し、新所在地で登記をした旨の通知を受けるまで旧所在地の登記はできません。新所在地の登記所が新所在地における登記の申請を却下したときは、旧所在地における登記の申請は却下されたものとみなされ、旧所在地の登記官が別に却下の決定をするのではありません。「新所在地を管轄する登記所の登記官が新所在地における登記の申請を却下したときは、旧所在地における登記の申請は、却下されたものとみなされる」という肢は正しい肢です。「その旨の通知を受けたA登記所の登記官は,旧所在地における登記の申請を却下しなければならない」という肢は誤りです。

送付後の取下げは新所在地の登記所に、抹消も経由で申請します

申請書が新所在地の登記所に送付された後に取り下げるときは、新所在地の登記所に2通の取下書を提出します。「既に新所在地を管轄する登記所に申請書等が送付された後に当該登記の申請を取り下げるには」という問いに「旧所在地を管轄する登記所に,取下書 2 通を提出しなければなりません」と答える肢は誤りです。本店移転の無効を原因として登記を抹消するときも、新所在地における抹消の申請は旧所在地の登記所を経由します。「新所在地における本店移転の登記の抹消の申請は、旧所在地を管轄する登記所を経由してしなければならない」という肢は正しい肢です。移転の決議の取消しの判決が確定したときは、裁判所書記官が職権で嘱託し、新所在地の登記所への嘱託は旧所在地の登記所を経由してする扱いなので、「新所在地を管轄する登記所を経由して旧所在地を管轄する登記所にその登記を嘱託しなければならない」という肢は誤りです。

新所在地への印鑑の届出は令和7年4月から要りません

令和7年4月の改正前は、新所在地の登記所にも印鑑を提出する扱いで、その届出は旧所在地の登記所を経由してしました。「新所在地を管轄する登記所にする印鑑の提出は,旧所在地を管轄する登記所を経由してすることを要しない」という肢は、改正前の扱いを前提に誤りとされたものです。令和7年4月以降は、本店移転に伴う新所在地への印鑑の届出そのものが要らず、旧所在地の登記所に届け出ていた印鑑が引き継がれます。旧所在地の登記所は、新所在地で登記がされた後に自分の登記記録を閉鎖します。

商業登記法 第52条

旧所在地を管轄する登記所においては、前条第二項の登記の申請のいずれかにつき第二十四条各号のいずれかに掲げる事由があるときは、これらの申請を共に却下しなければならない。
旧所在地を管轄する登記所においては、前項の場合を除き、遅滞なく、前条第一項の登記の申請書及びその添付書面を新所在地を管轄する登記所に送付しなければならない。
新所在地を管轄する登記所においては、前項の申請書の送付を受けた場合において、前条第一項の登記をしたとき、又はその登記の申請を却下したときは、遅滞なく、その旨を旧所在地を管轄する登記所に通知しなければならない。
旧所在地を管轄する登記所においては、前項の規定により登記をした旨の通知を受けるまでは、登記をすることができない。
新所在地を管轄する登記所において前条第一項の登記の申請を却下したときは、旧所在地における登記の申請は、却下されたものとみなす。

試験ではこう問われる

  1. 管轄外への本店移転の申請書は何通をどこに出すか(2通を旧所在地の登記所に同時に)
  2. 新所在地宛ての申請書に添付するものは何か(委任状だけ)
  3. 新所在地で却下されたら旧所在地の申請はどうなるか(却下されたものとみなされる)
  4. 送付後の取下書はどこに出すか(新所在地の登記所に2通)
  5. 新所在地への印鑑の届出は要るか(令和7年4月から要らない)

この用語が問われた肢

R8 問30 オ正しい

他の登記所の管轄区域内への本店移転の登記を申請した場合において、新所在地を管轄する登記所の登記官が新所在地における登記の申請を却下したときは、旧所在地における登記の申請は、却下されたものとみなされる。

R2 問28 オ誤り

【問】最後に,会社が本店を他の登記所の管轄区域内に移転した旨の本店移転の登記を申請した場合について,既に新所在地を管轄する登記所に申請書等が送付された後に当該登記の申請を取り下げるには,どのようにしなければなりませんか。 会社は,旧所在地を管轄する登記所に,取下書 2 通を提出しなければなりません。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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