本店移転(管轄内)ほんてんいてんかんかつない
同じ登記所の管轄区域内で本店の所在場所を移すときの変更の登記です。移転の日をいつにするか、定款変更が要るか、登録免許税が掛かるかで肢が作られます。
本店移転は、会社の本店の所在場所を別の場所に移すことで、本店の所在場所は会社法911条3項3号の登記事項なので、移転から2週間以内に変更の登記を申請します。移転先が同じ登記所の管轄区域内なら、申請は1通で済み、他の登記所を経由する手続はありません。本店の所在地は定款の絶対的記載事項でもあるので、定款に定めた最小行政区画の外へ出るときは定款変更の決議も要ります。肢で突かれるのは、移転の日をどう決めるか、何を添付するか、登録免許税をどう扱うかです。
会社法 第911条第3項第3号本店及び支店の所在場所

定款の範囲内の移転は取締役会で決め、範囲外なら定款変更も要ります
定款には本店の所在地を最小行政区画まで定めるのが通常で、その範囲内の移転なら定款変更は要らず、具体的な所在場所と移転の時期を取締役会で決めます。取締役会設置会社でない会社では、取締役の過半数の一致です。定款に定めた市区町村の外へ移すときは、株主総会の特別決議で定款を変更し、あわせて具体的な場所と時期を取締役会で決めます。定款に番地まで書いてある会社は、同じ市区町村内の移転でも定款変更が要ります。
移転の日は決議の日と現実の移転の日の先後で決まります
変更の年月日は、取締役会で定めた移転日に現実に移転したならその日です。登記実務では、定めた日より早く移転したときは定めた日、定めた日より遅く移転したときは現実に移転した日を移転日とする扱いです。定款変更を要しない移転で、現実に移転した後に取締役会が承認したときは、承認の決議の日に移転があったものとして登記を申請できます。「本店の移転に当たり定款の変更を要しない場合において,現実に本店を移転した後に取締役会で当該本店の移転を承認する決議をしたときは,当該決議の日に本店の移転があったものとみなして本店移転の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。
添付書面は決議の議事録で、登録免許税は3万円です
申請書には、取締役会議事録または取締役の過半数の一致を証する書面を添付し、定款変更を伴うときは株主総会議事録と株主リストも添付します。定款そのものの添付は要りません。登録免許税は本店移転の登記として申請1件につき3万円で、管轄内の移転なら1件分だけです。本店移転と同時に他の登記事項の変更を一の申請書で申請するときは、それぞれの区分の税額を合算します。
表示の変更だけなら非課税ですが、移転そのものは課税です
住居表示の実施や行政区画の変更で本店の表示が変わっただけの登記は、登録免許税が課されません。しかし現実に本店を移転した登記は、移転後の表示が住居表示の実施で改められたものであっても本店移転の登記そのものなので、3万円が掛かります。「本店の移転後その登記前に住居表示の実施に伴い本店の表示が変更した場合において、住居表示の実施により改められた本店の所在地の表示をもって本店移転の登記を申請するときは、登録免許税は課されない」という肢は誤りです。市町村の合併で市の名称が変わったときは、登記簿に変更の登記があったものとみなされ、会社に申請の義務はありません。「会社の本店の所在場所において、市町村の合併により、A市がB市と名称を変更した場合には、会社は変更の登記の申請をする義務がありますか」という問いに「その場合、会社に変更の登記を申請する義務はありません」と答える肢は正しい肢です。
会社法 第27条(定款の記載又は記録事項)
株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所
試験ではこう問われる
- 定款の範囲内の本店移転は誰が決めるか(取締役会。非設置会社は取締役の過半数)
- 現実の移転後に取締役会が承認したとき移転日はいつか(承認の決議の日)
- 住居表示の実施で表示が変わった本店移転の登記に登録免許税は掛かるか(掛かる。表示変更だけなら非課税)
- 市町村合併で名称が変わったとき変更登記の義務はあるか(ない。みなし変更)
- 本店移転の登記の添付書面に定款は要るか(要らない)
この用語が問われた肢
本店の移転後その登記前に住居表示の実施に伴い本店の表示が変更した場合において、住居表示の実施により改められた本店の所在地の表示をもって本店移転の登記を申請するときは、登録免許税は課されない。
【問】会社の本店の登記について質問します。会社の本店の所在場所において、市町村の合併により、A市がB市と名称を変更した場合には、会社は変更の登記の申請をする義務がありますか。 その場合、会社に変更の登記を申請する義務はありません。
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