取得請求権付株式・取得条項付株式・全部取得条項付種類株式しゅとくせいきゅうけんつきかぶしきしゅとくじょうこうつきかぶしきぜんぶしゅとくじょうこうつきしゅるいかぶしき
株主の請求で会社が取得する株式、一定の事由で会社が取得する株式、株主総会の決議で会社が全部を取得する種類株式の三つで、取得と引換えに株式を交付すると変更の登記が要ります。登記期間と添付書面の違いが肢で突かれます。
取得請求権付株式は株主が会社に取得を請求できる株式、取得条項付株式は一定の事由を条件に会社が取得できる株式です。全部取得条項付種類株式は、株主総会の決議で会社がその全部を取得できる種類株式です。会社法107条と108条が株式の内容として定め、取得と引換えに他の種類の株式や新株予約権を新たに発行して交付すると、発行済株式の数や新株予約権の登記に変更が生じます。既にある自己株式を交付しただけなら変更はありません。三つは取得のきっかけが株主・事由・決議と違うので、登記の期間と添付書面も別々に定められ、肢はこの三つを並べて違いを突く形です。
会社法 第166条(取得の請求)
取得請求権付株式の株主は、株式会社に対して、当該株主の有する取得請求権付株式を取得することを請求することができる。ただし、当該取得請求権付株式を取得するのと引換えに第百七条第二項第二号ロからホまでに規定する財産を交付する場合において、これらの財産の帳簿価額が当該請求の日における第四百六十一条第二項の分配可能額を超えているときは、この限りでない。
前項の規定による請求は、その請求に係る取得請求権付株式の数(種類株式発行会社にあっては、取得請求権付株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
株券発行会社の株主がその有する取得請求権付株式について第一項の規定による請求をしようとするときは、当該取得請求権付株式に係る株券を株券発行会社に提出しなければならない。ただし、当該取得請求権付株式に係る株券が発行されていない場合は、この限りでない。

取得請求による交付の登記は月末から2週間以内です
取得請求権付株式の株主からの請求は定款で定めた請求期間内に個々に行われます。取得と引換えに他の種類の株式を発行する登記はその都度ではなく、毎月末日現在により末日から2週間以内にすれば足ります。「数回にわたり,当該取得請求権付株式の取得と引換えに当該会社の他の種類の株式を発行した場合には,その都度,取得請求権付株式の取得と引換えにする株式の発行の登記の申請をしなければならない」という肢は誤りです。発行の日から2週間以内とする肢も誤りで、起算点は月末です。申請書には取得の請求があったことを証する書面を添付し、対価が新株予約権のときは請求日に新株予約権の帳簿価額以上の分配可能額があることを証する書面も要ります。「当該請求の日において当該新株予約権の帳簿価額以上の分配可能額が当該会社に存在することを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。
取得条項を後から設けるにはその種類の株主全員の同意が要ります
発行後の株式の内容に取得条項を設け、または取得条項を変更する定款変更には、その種類の株主全員の同意が要り、廃止する変更だけは除かれます。「ある種類の株式について株式の内容を取得条項付株式とする定款変更による株式の内容の変更の登記を申請するときは、当該登記の申請書には、当該種類株主全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。取得の日を会社が定める型では、定款に別段の定めがなければ株主総会または取締役会で日を決めて2週間前までに通知または公告します。取得する株式を会社が選ぶ型では、同じ機関で対象を決めて直ちに通知または公告しなければなりません。取得と引換えに株式を交付したときの申請書に添付するのは、取得の事由の発生を証する書面と、株券発行会社なら株券提出公告をしたことを証する書面です。
全部取得条項付種類株式の取得は特別決議と株券提出公告です
全部取得条項付種類株式の全部を取得するには、株主総会の特別決議で取得対価、割当てに関する事項、取得日を定め、取締役は取得を必要とする理由を説明します。株券発行会社では取得日の1か月前までに株券提出の公告と通知をします。取得と引換えに株式を交付する登記の申請書には、公告をしたことを証する書面、または株式の全部について株券を発行していないことを証する書面を添付します。「全部取得条項付種類株式の取得と引換えにする株式の交付による変更の登記の申請書には,当該全部取得条項付種類株式につき株券を発行しているときであっても,株券の提出に関する公告をしたことを証する書面を添付することを要しない」という肢は誤りです。種類株式の内容として全部取得条項を後から設けるには、その種類の種類株主総会の特別決議が要り、全員の同意までは求められていないのが取得条項との違いです。
対価が株式以外なら分配可能額の枠があり、取得株式は自己株式です
取得請求権付株式と取得条項付株式の取得対価が金銭や社債など株式以外の財産のときは、その帳簿価額が分配可能額を超えていると取得できません。対価が会社の株式なら財産の流出がないので、この枠はかかりません。会社が取得した株式は自己株式になり、発行済株式の総数は減らないので、取得そのものでは発行済株式の総数の登記に変更は生じません。取得と引換えに新たに発行した他の種類の株式の分だけ発行済株式の種類ごとの数が変わり、その変更を登記します。
会社法 第915条第3項第一項の規定にかかわらず、次に掲げる事由による変更の登記は、毎月末日現在により、当該末日から二週間以内にすれば足りる。
一 新株予約権の行使
二 第百六十六条第一項の規定による請求(株式の内容として第百七条第二項第二号ハ若しくはニ又は第百八条第二項第五号ロに掲げる事項についての定めがある場合に限る。)
試験ではこう問われる
- 取得請求権付株式の取得と引換えの株式発行の登記期間はいつからか(毎月末日から2週間以内)
- 対価が新株予約権のとき取得請求権付株式の登記に何を添付するか(分配可能額の存在を証する書面)
- 発行後に取得条項を設けるときの要件は何か(その種類の株主全員の同意)
- 全部取得条項付種類株式の取得に株券提出公告の書面は要るか(株券発行会社なら要る。全部不発行の証明でもよい)
- 取得した株式はどうなるか(自己株式になり、発行済株式の総数は減らない)
この用語が問われた肢
会社が取得請求権付株式の株主から請求を受け当該取得請求権付株式の取得と引換えに当該会社の他の種類の株式を発行した場合には、取得請求権付株式の取得と引換えにする当該他の種類の株式の発行による変更の登記の申請は、当該他の種類の株式の発行の日から 2 週間以内にしなければならない。
ある種類の株式について株式の内容を取得条項付株式とする定款変更による株式の内容の変更の登記を申請するときは、当該登記の申請書には、当該種類株主全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。
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