種類株主総会しゅるいかぶぬしそうかい
種類株式発行会社で、ある種類の株式の株主だけで構成する決議機関です。譲渡制限株式の募集、種類株主に損害を及ぼすおそれがある定款変更、取締役選任種類株式の場面で、その議事録を登記の申請書に添えるかどうかが肢で突かれます。
種類株主総会は、種類株式発行会社において、ある種類の株式の種類株主を構成員とする機関です。会社法321条により、決議できるのは法律と定款で定めた事項に限られます。会社法322条1項は、ある種類の株主に損害を及ぼすおそれがある定款変更や募集株式の発行、組織再編などに種類株主総会の決議を要求します。会社法199条4項は、譲渡制限株式の募集事項の決定にも種類株主総会の決議を要求します。登記すべき事項に種類株主総会の決議を要するときは、商業登記法46条2項により議事録を添え、肢で突かれるのはその要否と、種類株主総会で選んだ役員の登記です。
会社法 第321条(種類株主総会の権限)
種類株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。

譲渡制限株式の募集には種類株主総会の特別決議の議事録を添えます
会社法199条4項により、株主割当て以外の募集で募集する種類の株式が譲渡制限株式なら、その種類の種類株主総会の決議がなければ募集事項の決定は効力を生じません。株主割当てでは会社法202条5項によりこの決議は要りません。会社法324条2項により特別決議です。例外は、決議を要しない旨の定款の定めがある場合と、議決権を行使できる種類株主がいない場合です。「種類株式発行会社が株主に株式の割当てを受ける権利を与えないでする募集株式の発行の場合において,当該募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは,当該種類の種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合を除き,募集株式の発行による変更の登記の申請書には,募集事項の決定に係る当該種類株主総会の議事録を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。定款で決議を要しない旨を定めているときは、商業登記規則61条1項により定款を添えて省略します。
損害を及ぼすおそれのある定款変更には種類株主総会が要ります
会社法322条1項は、株式の種類の追加・株式の内容の変更・発行可能株式総数や発行可能種類株式総数の増加の定款変更、株式の併合・分割、株式無償割当て、株主割当てによる募集株式や新株予約権の募集、合併などの組織再編を列挙します。ある種類の株主に損害を及ぼすおそれがあれば、種類株主総会の決議がなければ効力を生じません。同条2項により定款で決議を要しない旨を定められますが、同条3項ただし書により1項1号の定款変更(単元株式数を除く)については外せません。登記申請では株主総会議事録のほかに種類株主総会議事録を添え、損害を及ぼすおそれがないとして添えないなら、登記官が疑義を持てば補正を求められます。種類株主総会の議事録を添えるときは、商業登記規則61条3項によりその種類の株主についての株主リストも添付します。
取締役選任種類株式は非公開会社だけが設けられます
会社法108条1項9号の種類株主総会で取締役や監査役を選任する種類株式は、同項ただし書により指名委員会等設置会社と公開会社は発行できません。「現にA種種類株式及びB種種類株式を発行し,B種種類株式につき譲渡により取得するためには会社の承認を要する旨の定款の定めを設けている会社が,新たな種類の株式として,…種類株主総会において取締役を選任することができる種類株式についての定款の定めを設けた場合には,発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の変更の登記の申請をしなければならない」という趣旨の肢は誤りです。A種に譲渡制限がない公開会社だからです。株式の内容として議決権の個数に差を付けることはできず、「議決権の個数をA種類株式 1 株につき 1 個,B種類株式 1 株につき 2 個とする旨を追加する定款の変更の決議をした場合は,発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の変更の登記を申請することができる」という趣旨の肢も誤りです。
種類株主総会で選んだ取締役の解任には選任の議事録も添えます
会社法347条1項により、取締役選任種類株式がある会社では、その取締役の選任と解任を種類株主総会で行います。定款に別段の定めがある場合や、その種類株主総会で議決権を行使できる株主がいなくなった場合は株主総会で解任します。解任の登記には解任した種類株主総会の議事録に加え、その取締役を選任した種類株主総会の議事録も添えて、解任の権限がその種類株主総会にあることを示します。「種類株主総会によって選任された取締役を当該種類株主総会の決議によって解任した場合における変更の登記の申請書には,当該取締役を解任した種類株主総会の議事録のほか,当該取締役を選任した種類株主総会の議事録を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。会社法112条1項により員数を欠いて選任できないときは定めが廃止されたものとみなされ、定款に員数の別段の定めがあるときはその廃止の登記に定款が添付書面です。
種類株主総会の決議の省略も株主総会と同じ型で登記できます
会社法325条が319条を準用するので、提案につきその事項について議決権を行使できる種類株主の全員が書面か電磁的記録で同意すれば種類株主総会の決議があったものとみなす扱いです。登記の申請書には、商業登記法46条3項により議事録に代えて、その場合に該当することを証する書面(同意書やみなし決議の議事録)を添付します。種類株主総会の議事録には、株主総会と同じく会社法318条の準用で、出席した種類株主の議決権の数などを記載します。登記官は議事録と株主リストの記載から、決議の種類に応じた定足数と賛成の割合で決議要件を審査します。
会社法 第322条第1項種類株式発行会社が次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該行為は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
一 次に掲げる事項についての定款の変更(第百十一条第一項又は第二項に規定するものを除く。)
イ 株式の種類の追加
ロ 株式の内容の変更
ハ 発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数の増加
一 第百七十九条の三第一項の承認
二 株式の併合又は株式の分割
三 第百八十五条に規定する株式無償割当て
四 当該株式会社の株式を引き受ける者の募集(第二百二条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
五 当該株式会社の新株予約権を引き受ける者の募集(第二百四十一条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
六 第二百七十七条に規定する新株予約権無償割当て
七 合併
八 吸収分割
九 吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継
十 新設分割
十一 株式交換
十二 株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得
十三 株式移転
十四 株式交付
試験ではこう問われる
- 譲渡制限株式の募集に種類株主総会議事録は要るか(要る。議決権を行使できる種類株主がいない場合などを除く)
- 定款変更について定款で種類株主総会の決議を不要にできるか(単元株式数以外はできない)
- 公開会社は取締役選任種類株式を発行できるか(できない)
- 種類株主総会で選任した取締役の解任の登記に選任の議事録は要るか(要る)
- 議決権を行使できる種類株主全員の書面同意で決議を省略したときの添付書面は何か(該当することを証する書面)
この用語が問われた肢
種類株式発行会社が株主に株式の割当てを受ける権利を与えないでする募集株式の発行の場合において,当該募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは,当該種類の種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合を除き,募集株式の発行による変更の登記の申請書には,募集事項の決定に係る当該種類株主総会の議事録を添付しなければならない。
現に種類株式を発行している種類株式発行会社において、募集株式の発行による変更の登記の申請書には、当該募集株式の種類の種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合を除き、募集事項の決定に係る当該種類の種類株主総会議事録を添付しなければならない。
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