司法書士法人の社員の常駐しほうしょしほうじんのしゃいんのじょうちゅう
社員の常駐とは、司法書士法人がその事務所に、事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された司法書士会の会員である社員を常駐させなければならないという義務です(39条)。試験では、この義務が主たる事務所だけでなく従たる事務所にも及ぶことが問われています。
社員の常駐は、39条が定める法人の義務です。個人の司法書士は二以上の事務所を設けられません(施行規則19条)が、法人は従たる事務所を設けられます。そのかわり、どの事務所にも、その地の司法書士会の会員である社員を常駐させなければなりません。

司法書士法 第39条第1項司法書士法人は、その事務所に、当該事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された司法書士会の会員である社員を常駐させなければならない。
主たる事務所にも従たる事務所にも、社員を常駐させなければなりません
39条は「その事務所に」と定め、主たる事務所に限っていません。常駐する社員は、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された司法書士会の会員でなければなりません。「司法書士法人は、その事務所に、当該事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された司法書士会の会員である社員を常駐させなければならない」という肢(R4 午後 問8 オ)は正しく、「司法書士法人は、従たる事務所に社員を常駐させることを要しない」という肢(R6 午後 問8 ウ)は誤りです。法人が管轄区域外に従たる事務所を設けると、その事務所の地の司法書士会の会員になります(58条4項)。
常駐する社員は、その事務所の地の司法書士会の会員でなければなりません
39条は、常駐させる社員を「当該事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された司法書士会の会員である社員」に限っています。主たる事務所が東京にあり、従たる事務所を大阪に設ける法人なら、大阪の事務所には大阪の司法書士会の会員である社員を常駐させます。法人自身も、管轄区域外に従たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地でその旨の登記をした時に、その事務所の地の司法書士会の会員となり(58条4項)、会員となった日から2週間以内に、登記事項証明書と定款の写しを添えてその会と連合会に届け出ます(58条6項)。事務所の移転又は廃止で管轄区域内に事務所がなくなったときは、登記をした時にその会を退会し、2週間以内に届け出ます(58条5項・7項)。
司法書士法 第58条第6項司法書士法人は、第四項の規定により新たに司法書士会の会員となつたときは、会員となつた日から二週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を、当該司法書士会及び日本司法書士会連合会に届け出なければならない。
法人名簿には、事務所ごとに常駐する社員の氏名が記録されます
連合会が備える司法書士法人名簿には、主たる事務所の所在地とそこに常駐する社員の氏名、従たる事務所の所在地とそこに常駐する社員の氏名、簡裁訴訟代理等関係業務を行う事務所の所在地とそこに常駐する特定社員の氏名が記載されます(施行規則33条2項3号から5号まで)。連合会は、法人名簿に登録をしたときは登録事項を、事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長に通知します(施行規則36条1項)。どの事務所に誰が常駐しているかは、名簿を通じて法務局にも把握されています。
簡裁訴訟代理等関係業務は、特定社員が常駐する事務所でしか取り扱えません
40条は、簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的とする法人は、特定社員(認定司法書士である社員)が常駐していない事務所では、簡裁訴訟代理等関係業務を取り扱うことができないと定めています。依頼者からこの業務の委託を受けたときは、法人は依頼者に、社員又は使用人である認定司法書士のうちから代理人を選任させます(30条1項)。39条の常駐社員がいても、その社員が特定社員でなければ、その事務所でこの業務は扱えません。

司法書士法 第40条第1項簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的とする司法書士法人は、特定社員が常駐していない事務所においては、簡裁訴訟代理等関係業務を取り扱うことができない。
常駐の義務に反すると法人の懲戒の対象になり、個人の事務所の規律とは仕組みが違います
39条は法人の義務なので、社員を常駐させていない事務所があれば、法人は「この法律に違反したとき」として48条1項の懲戒の対象になります。法務大臣は、業務の一部の停止を命じることもできます。個人の司法書士は、施行規則19条で二以上の事務所を設けること自体が禁じられ、事務所の数で規律されています。法人は、事務所の数は定款で定めるところによりますが、事務所ごとに社員の常駐が求められ、人の配置で規律されています。肢では、主たる事務所と従たる事務所で扱いを変える記述が誤りとされています。
司法書士法 第48条第1項司法書士法人がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、法務大臣は、当該司法書士法人に対し、次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 二年以内の業務の全部又は一部の停止
三 解散
試験ではこう問われる
- 法人は、その事務所に、その地の司法書士会の会員である社員を常駐させなければならない(39条。R4 午後 問8 オ ○)
- 従たる事務所にも社員を常駐させなければならない(39条。R6 午後 問8 ウ ×)
- 主たる事務所だけに常駐させればよいとするのは誤り(39条。H26 午後 問8 エ ×・出題当時)
- 法人が管轄区域外に従たる事務所を設けたときは、登記をした時にその地の司法書士会の会員となり、2週間以内に届け出る(58条4項・6項)
- 特定社員が常駐していない事務所では、簡裁訴訟代理等関係業務を取り扱えない(40条)
この用語が問われた肢
司法書士法人は、従たる事務所に社員を常駐させることを要しない。
司法書士法人は、その事務所に、当該事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された司法書士会の会員である社員を常駐させなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。

