公共嘱託登記司法書士協会こうきょうしょくたくとうきしほうしょしきょうかい
公共嘱託登記司法書士協会とは、社員である司法書士・司法書士法人がその専門的能力を結合して、官公署等による不動産の権利に関する登記の嘱託又は申請の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的とする一般社団法人です(68条1項)。試験では、協会の業務を監督し財産の状況を検査するのは主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長であり、司法書士会は助言ができるにとどまることが問われています。
公共嘱託登記司法書士協会は、官公署等が行う不動産の権利に関する登記の嘱託や申請を、司法書士が組織として受託するための一般社団法人です。「官公署等」は、官庁、公署その他政令で定める公共の利益となる事業を行う者をいいます(68条1項)。協会の名称中には「公共嘱託登記司法書士協会」という文字を使用し、目的と定款の内容が法定の要件を満たす一般社団法人に限って設立できます。68条1項は、社員を主たる事務所の地の管轄区域内に事務所を有する司法書士・司法書士法人に限ること、それらの者が社員になろうとするときは正当な理由がなければ拒めないこと、理事の員数の過半数を社員とすることを定款で定めることを求め、これらの定めは変更できません(同条2項)。

司法書士法 第69条第1項協会は、第六十八条第一項に規定する目的を達成するため、官公署等の嘱託を受けて、不動産の権利に関する登記につき第三条第一項第一号から第五号までに掲げる事務を行うことをその業務とする。
協会は成立から2週間以内に、法務局又は地方法務局の長と司法書士会に届け出ます
協会は、成立したときは、成立の日から2週間以内に、登記事項証明書と定款の写しを添えて、主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長と、その管轄区域内に設立された司法書士会に届け出ます(68条の2)。司法書士法人の成立の届出先が司法書士会と連合会である(34条)のと違い、協会の届出先には監督官庁である法務局又は地方法務局の長が入ります。定款の変更や解散などをしたときも、遅滞なく法務局又は地方法務局の長と司法書士会に届け出ます(施行規則50条)。
司法書士法 第68条の2第1項前条第一項の一般社団法人(以下「協会」という。)は、成立したときは、成立の日から二週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長及びその管轄区域内に設立された司法書士会に届け出なければならない。
協会の業務は官公署等の嘱託による不動産の権利に関する登記に限られ、範囲外の業務は罰せられます
協会の業務は、官公署等の嘱託を受けて、不動産の権利に関する登記について3条1項1号から5号までの事務を行うことです(69条1項)。協会は、その業務の範囲を超えて3条1項1号から5号までの業務を行ってはならず(73条2項)、違反したときは違反行為をした理事又は職員が1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処せられます(78条2項)。業務に係る事務を司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者に取り扱わせたときも、理事又は職員が6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処せられます(69条2項・77条)。協会でない者が公共嘱託登記司法書士協会又はこれに紛らわしい名称を用いることも禁じられています(73条5項)。協会の事件簿の保存期間は5年間です(施行規則49条2項)。

司法書士法 第73条第2項協会は、その業務の範囲を超えて、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。
協会の業務の監督と検査は、法務局又は地方法務局の長が行います
協会の業務は、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長の監督に属します(69条の2第1項)。その長は、業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、いつでも業務と財産の状況を検査し、監督上必要な命令をすることができます(同条2項)。司法書士会ができるのは、所属の会員が社員である協会に対し、業務の執行に関して必要な助言をすることです(71条)。
司法書士法 第69条の2第2項前項の法務局又は地方法務局の長は、協会の業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、いつでも、当該業務及び協会の財産の状況を検査し、又は協会に対し、当該業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
協会の領収証・事件簿・懲戒の通知は、施行規則に個別の定めがあります
協会は、嘱託人から報酬を受けたときは、その年月日、件名並びに報酬額及びその内訳を記載した領収証を正副2通作成し、正本を嘱託人に交付し、副本を作成の日から3年間保存します(施行規則48条1項)。事件簿には、嘱託を受けた事件について件名・嘱託人・受託年月日・事件を取り扱う司法書士を記載し(施行規則49条1項)、閉鎖後5年間保存します(同条2項)。依頼誘致の禁止(施行規則26条)と依頼の拒否の理由書(施行規則27条)は協会の業務に準用されます(施行規則51条)。法務局又は地方法務局の長が協会に懲戒処分をしたときは、その協会の社員が会員として所属する司法書士会に通知します(施行規則50条の2)。
協会に対する懲戒も、法務局又は地方法務局の長が行います
70条は、法人に対する懲戒(48条1項)や懲戒の手続(49条)などを協会に準用し、「法務大臣」を「第六十九条の二第一項に規定する法務局又は地方法務局の長」と読み替えています。司法書士・司法書士法人の懲戒権者が法務大臣であるのと異なります。依頼に応ずる義務(21条)も協会の業務に準用されます。
試験ではこう問われる
- 協会の業務と財産の状況を検査できるのは法務局又は地方法務局の長で、司法書士会ではない(69条の2第2項。R1 午後 問8 エ ×・出題当時)
- 司法書士会は、所属の会員が社員である協会に業務の執行に関し必要な助言ができる(71条)
- 協会は、成立の日から2週間以内に、法務局又は地方法務局の長と司法書士会に届け出る(68条の2)
- 協会は業務の範囲を超えて3条1項1号から5号までの業務を行えない(73条2項・78条2項)
- 協会の定款には、社員の範囲・正当な理由なく加入を拒めないこと・理事の過半数を社員とすることを定め、変更できない(68条)
- 協会に対する懲戒は、主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長が行う(70条)

