補助参加人の地位ほじょさんかにんのちい
補助参加人とは、訴訟の結果について利害関係を有するため、当事者の一方を補助して訴訟に参加した第三者です。一切の訴訟行為をすることができますが、参加の時における訴訟の程度に従いすることができない行為と、被参加人の訴訟行為と抵触する行為は効力を有しません(45条1項・2項)。
補助参加人は、味方した当事者を勝たせるために訴訟に加わる人です。主張を出したり証拠を出したり、上訴をしたりと、できることは広く認められています。ただ、訴訟の主役はあくまで被参加人です。補助参加人が被参加人の意思に逆らったり、訴えを取り下げたりできるとすると、他人の訴訟を乗っ取ることになってしまいます。そこで民事訴訟法は、補助参加人に一切の訴訟行為を認めつつ、被参加人に従う立場からくる制限を置いています。

補助参加人は一切の訴訟行為ができますが、参加の時の訴訟の程度に従いできない行為は除かれます
補助参加人は、訴訟について、攻撃又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができます(45条1項本文)。ただし、補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができないものは除かれます(同項ただし書)。補助参加人は既に進んでいる他人の訴訟に途中から加わるので、被参加人自身がもうできなくなった行為は補助参加人にもできないからです。被参加人が参加前に自白してその撤回ができなくなっているときは、補助参加人がその事実を争うことも訴訟の程度に従いできない行為に当たり、保証人が補助参加しても自白に係る事実を争えません。上訴期間についても、判例は、補助参加人は被参加人のために定められた控訴期間内に限って控訴できるとしました(最判昭和37年1月19日)。上告も同じで、補助参加人の上告は被参加人が上告できる期間内にしなければなりません。被参加人の控訴期間が経過した後は、補助参加人への判決の送達から2週間以内であっても控訴できません。判決の効力が自分に及ぶ共同訴訟的補助参加人は扱いが異なり、その語で扱います。
被参加人の訴訟行為と抵触する補助参加人の訴訟行為は効力を有しません
補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しません(45条2項)。被参加人の行為が優先します。被参加人が自白した事実を補助参加人が否認しても抵触するので効力がありません。借主に連帯保証人が補助参加した場合も、保証人に主債務者が補助参加した場合も同じです。これらの制限は補助参加人が従属的な立場にあることから来るので、被参加人にとって有利な行為でも、参加時の訴訟の程度に従いできない行為や被参加人の行為と抵触する行為は効力を生じません。

補助参加人は被参加人の形成権を行使できませんが、既に行使された事実は主張できます
補助参加人は、被参加人の取消権・解除権・相殺権といった私法上の形成権を、自ら訴訟上行使することはできないと解されています。権利をどう使うかは被参加人が決めることだからです。もっとも、被参加人が訴訟外で既に解除権を行使し、その効果が生じているときは、その事実を補助参加人が主張することは攻撃防御方法の提出に当たり、被参加人が主張しなくても補助参加人が主張できることに争いはありません。被参加人がこの主張と抵触する主張をしたときは、45条2項により被参加人の主張が優先します。
補助参加人は訴えの取下げや反訴の提起など訴訟を処分・変更する行為はできず、被参加人の和解も妨げられません
補助参加人は当事者ではなく、訴訟物を処分する権限を持ちません。訴訟係属を前提に被参加人を補助する立場なので、訴えの取下げ、請求の放棄・認諾、訴訟上の和解、訴えの変更、反訴の提起のように、訴訟を終わらせたり新たな請求を持ち込んだりする行為はできません。被参加人に不利な行為である自白もできません。反対に、被参加人の処分権は補助参加によって制約されないので、被参加人は補助参加人の同意や出頭がなくても相手方と和解できます。
- できる攻撃防御方法の提出、異議の申立て、上訴の提起(被参加人の上訴期間内)、再審の訴えの提起、訴訟外で行使済みの形成権の効果の主張
- 効力を有しない参加時の訴訟の程度に従いできない行為(撤回できない自白を争う、時機後れで却下された主張)、被参加人の行為と抵触する行為(45条1項ただし書・2項)
- できない訴えの取下げ、請求の放棄・認諾、訴訟上の和解、訴えの変更、反訴の提起、自白、被参加人の形成権の訴訟上の行使
補助参加人は当事者ではないので証人になることができ、補助参加人に中断事由が生じても訴訟は止まりません
補助参加人は判決の名宛人となる当事者ではありません。そのため、補助参加をした訴訟で証人となることができます。当事者本人やその法定代理人が当事者尋問によるのとは違います。他方で補助参加人は訴訟に関与する者として、書類の送達や期日の呼出しを受け、自らの参加によって生じた訴訟費用を負担し、訴訟代理人を選任することもできます。補助参加人に死亡などの中断事由が生じても訴訟手続は中断せず、関与できなかったことは参加的効力の範囲で考慮されます。被参加人が敗訴したときに補助参加人が受ける拘束は、参加的効力の語で扱います。
民事訴訟法 第45条第1項補助参加人は、訴訟について、攻撃又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができる。ただし、補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができないものは、この限りでない。
民事訴訟法 第45条第2項補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しない。
最判昭和37年1月19日補助参加人は(略)被参加人(略)のために定められた控訴申立期間内に限って控訴の申立てをなしうるものと解する
試験ではこう問われる
- 補助参加人は当事者ではないので、補助参加をした訴訟で証人として尋問できる(H26 午後 問3 ア ○・出題当時)
- 補助参加人は攻撃防御方法の提出・異議・上訴・再審の訴えその他一切の訴訟行為ができる(45条1項本文)
- 参加前の撤回できない自白を補助参加人は争えない(45条1項ただし書)
- 補助参加人の上訴は被参加人の上訴期間内に限られる(最判昭和37年1月19日)
- 被参加人の自白と抵触する補助参加人の否認は効力を有しない(45条2項)
- 補助参加人は訴えの取下げ・反訴の提起・請求の放棄や認諾・和解ができず、被参加人は補助参加人が欠席した期日でも和解できる

