執行文付与の訴えと執行文付与に対する異議の訴えしっこうぶんふよのうったえ
執行文付与の訴えとは、条件成就執行文や承継執行文の付与に必要な文書又は電磁的記録を提出できないときに、債権者が執行文の付与を求めて提起する訴えです(33条1項)。執行文付与に対する異議の訴えは、これらの執行文が付与された場合に、事実の到来や承継を争う債務者が強制執行の不許を求める訴えです(34条1項)。
条件成就執行文と承継執行文(27条)は、事実の到来や承継を文書等で証明して付与を受けます。文書等による証明ができないときに判決手続で付与を求めるのが執行文付与の訴え、付与された執行文の前提を債務者が争うのが執行文付与に対する異議の訴えです。

民事執行法 第33条第1項第二十七条第一項又は第二項に規定する文書又は電磁的記録の提出をすることができないときは、債権者は、執行文(同条第三項の規定により付与されるものを除く。)の付与を求めるために、執行文付与の訴えを提起することができる。
執行文付与の訴えは、27条の文書等を提出できない債権者が提起します
33条1項は、27条1項又は2項に規定する文書又は電磁的記録の提出をすることができないときは、債権者は、執行文の付与を求めるために、執行文付与の訴えを提起することができると定めています。訴訟では、事実の到来や承継を文書以外の証拠でも証明できます。管轄は債務名義の種類ごとに定まり、確定判決などは第一審裁判所(33条2項1号)、執行証書は債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所(同項5号)です。27条3項の債務者を特定しない執行文は、この訴えの対象から除かれています(33条1項括弧書)。
判例は、非免責債権であることを理由とする執行文付与の訴えを許していません
免責許可の決定が確定すると、破産者は原則として破産債権について責任を免れますが、破産法253条1項各号の請求権(非免責債権)は免責の対象外です。そこで、破産債権者表に記載された非免責債権について、執行文付与の訴えで執行文を得られるかが争われました。最高裁は、33条1項は、執行文付与の訴えにおける審理の対象を、債権者の証明すべき事実の到来の有無又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し若しくはその者のために強制執行をすることの可否に限っており、破産債権が非免責債権に該当するか否かを審理することを予定していないとしました。そのうえで、非免責債権に該当することを理由とする執行文付与の訴えは許されないと判断しました(最判平成26年4月24日)。判決は、破産事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、記載内容等から非免責債権に該当すると認められるときには26条により執行文を付与できるので、債権者に支障はないとも述べています。「免責許可の決定が確定した債務者に対して確定した破産債権を有する債権者は、当該破産債権が非免責債権に該当するときは、当該破産債権が記載された破産債権者表について執行文付与の訴えを提起することができる」という肢(R8 午後 問7 ウ)は誤りです。
最判平成26年4月24日(民集68巻4号380頁)免責許可の決定が確定した債務者に対し確定した破産債権を有する債権者が,当該破産債権が破産法253条1項各号に掲げる請求権に該当することを理由として,当該破産債権が記載された破産債権者表について執行文付与の訴えを提起することは許されない。
執行文付与に対する異議の訴えは、債務者が事実の到来や承継を争う訴えです
27条の規定により執行文が付与された場合に、債権者の証明すべき事実の到来したこと又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることができることについて異議のある債務者は、執行文付与に対する異議の訴えを提起できます(34条1項)。異議の事由が数個あるときは、同時に主張しなければなりません(同条2項)。32条の異議の申立てが簡易な決定手続であるのに対し、この訴えは判決手続で事実の到来や承継の有無を確定させます。請求権そのものの消滅などは、請求異議の訴え(35条)で争います。

民事執行法 第34条第1項第二十七条の規定により執行文が付与された場合において、債権者の証明すべき事実の到来したこと又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることができることについて異議のある債務者は、その執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行の不許を求めるために、執行文付与に対する異議の訴えを提起することができる。
試験ではこう問われる
- 非免責債権に当たることを理由に、破産債権者表について執行文付与の訴えを提起することはできない(最判平成26年4月24日。R8 午後 問7 ウ ×)
- 27条の文書等を提出できないときは、債権者は執行文付与の訴えを提起できる(33条1項)
- 執行証書についての執行文付与の訴えは、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所が管轄する(33条2項5号)
- 条件成就執行文・承継執行文の前提を争う債務者は、執行文付与に対する異議の訴えを提起できる(34条1項)
- 執行文付与に対する異議の訴えでは、異議の事由が数個あるときは同時に主張しなければならない(34条2項)
この用語が問われた肢
免責許可の決定が確定した債務者に対して確定した破産債権を有する債権者は、当該破産債権が非免責債権に該当するときは、当該破産債権が記載された破産債権者表について執行文付与の訴えを提起することができる。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。

