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執行裁判所の管轄(不動産執行・債権執行・財産開示)しっこうさいばんしょのかんかつ

民事執行法 第1章 執行機関と不服申立て 過去問で2肢

執行裁判所の管轄とは、どの地方裁判所が執行処分を行うかの定めで、民事執行法に規定する裁判所の管轄はすべて専属管轄です(19条)。不動産執行は不動産の所在地を管轄する地方裁判所が(44条1項)、債権執行と財産開示手続は債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄します(144条1項、196条)。

執行裁判所の管轄は、執行の対象となる財産の種類ごとに決まります。19条は、この法律に規定する裁判所の管轄は専属とすると定めているので、当事者の合意や応訴によって別の裁判所に管轄を生じさせることはできません。

黒板の地図で、不動産の所在地の地方裁判所に○印、債務者の住所地の裁判所に×印
不動産執行は、不動産の所在地を管轄する地方裁判所だけが管轄します
不動産の所在地だけ債務者の住所地は不可管轄は専属
民事執行法 第19条第1項

この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。

不動産執行は、不動産の所在地を管轄する地方裁判所だけが管轄します

44条1項は、不動産執行については、その所在地を管轄する地方裁判所が執行裁判所として管轄すると定めています。43条2項で不動産とみなされる共有持分や登記された地上権などは、その登記をすべき地が基準になります。債務者の住所地は基準になりません。「不動産に対する強制執行については,その所在地を管轄する地方裁判所のほか,債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が,執行裁判所として管轄する」という肢(R3 午後 問7 ア)は誤りです。建物が数個の地方裁判所の管轄区域にまたがって存在する場合には、建物の存する土地の所在地を管轄する各地方裁判所が管轄します(44条2項)。

民事執行法 第44条第1項

不動産執行については、その所在地(前条第二項の規定により不動産とみなされるものにあつては、その登記をすべき地)を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

債権執行は、債権者ではなく債務者の普通裁判籍で決まります

144条1項は、債権執行については債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、この普通裁判籍がないときは差し押さえるべき債権の所在地を管轄する地方裁判所が管轄すると定めています。差し押さえるべき債権は、原則としてその債権の債務者(第三債務者)の普通裁判籍の所在地にあるものとされます(同条2項)。申立てをする債権者の住所地は、どの段階でも基準になりません。「債権に対する強制執行については、債権者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する」という肢(R7 午後 問7 ア)は誤りです。

黒板の地図で、債務者の住所地の裁判所に○印、債権者の住所地の裁判所に×印
債権執行は、債権者ではなく債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄します
債務者の普通裁判籍債権者の住所は不可財産開示も債務者基準
民事執行法 第144条第1項

債権執行については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、この普通裁判籍がないときは差し押さえるべき債権の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

財産開示手続と第三者からの情報取得手続も、債務者の普通裁判籍が基準です

財産開示手続は、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄します(196条)。第三者からの情報取得手続も同じで、普通裁判籍がないときは、情報の提供を命じられるべき者の所在地を管轄する地方裁判所が管轄します(204条)。第三者異議の訴えは執行裁判所が管轄し(38条3項)、これも19条により専属管轄です。

民事執行法 第196条第1項

この節の規定による債務者の財産の開示に関する手続(以下「財産開示手続」という。)については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

同じ財産に複数の執行裁判所が関わるときは、移送で調整します

建物が数個の地方裁判所の管轄区域にまたがる場合、執行裁判所は、必要があると認めるときは事件を他の管轄裁判所に移送することができます(44条3項)。債権執行でも、差し押さえられた債権について更に差押命令が発せられ、差押命令を発した執行裁判所が異なるときは、執行裁判所は事件を他の執行裁判所に移送することができます(144条3項)。どちらの移送の決定に対しても、不服を申し立てることはできません(44条4項、144条4項)。

民事執行法 第144条第3項

差押えに係る債権(差押命令により差し押さえられた債権に限る。以下この目において同じ。)について更に差押命令が発せられた場合において、差押命令を発した執行裁判所が異なるときは、執行裁判所は、事件を他の執行裁判所に移送することができる。

試験ではこう問われる

  1. 不動産執行は不動産の所在地を管轄する地方裁判所が管轄し、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所は管轄しない(44条1項。R3 午後 問7 ア ×)
  2. 債権執行は、債権者ではなく債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する(144条1項。R7 午後 問7 ア ×)
  3. 民事執行法に規定する裁判所の管轄は専属管轄である(19条)
  4. 財産開示手続は債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する(196条)

この用語が問われた肢

R7 問7 ア誤り

債権に対する強制執行については、債権者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

R3 問7 ア誤り

不動産に対する強制執行については,その所在地を管轄する地方裁判所のほか,債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が,執行裁判所として管轄する。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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