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差押えの登記の嘱託(仮差押えの登記との違い)さしおさえのとうきのしょくたく

民事執行法 第3章 不動産執行 過去問で4肢

差押えの登記の嘱託とは、強制競売の開始決定がされたときに、裁判所書記官が直ちに、その開始決定に係る差押えの登記を登記所に嘱託することです(48条1項)。申立てが取り下げられたときや手続が取り消されたときは、裁判所書記官が差押えの登記の抹消を嘱託します(54条1項)。

差押えの登記の嘱託は、開始決定による差押えを登記記録に公示する手続です。差押えの登記は、差押えの効力の発生時点を早める働きも持ちます(46条1項ただし書)。

書記官役の先生が登記官に差押登記嘱託書を差し出し、登記記録に差押の行が見える窓口
強制競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官が直ちに、申立てを待たずに差押えの登記を嘱託します
書記官が直ちに嘱託申立ては不要原因は強制競売開始決定
民事執行法 第48条第1項

強制競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、直ちに、その開始決定に係る差押えの登記を嘱託しなければならない。

嘱託するのは裁判所書記官で、債権者の申立ては要りません

48条1項は、強制競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、直ちに、その開始決定に係る差押えの登記を嘱託しなければならないと定めています。差押債権者が登記を申請するのではなく、嘱託について債権者の申立ても要りません。「不動産の強制競売の開始決定に係る差押えの登記の嘱託は、裁判所書記官が職権により行う」という肢(R5 午後 問7 オ)は正しい記述です。登記官は、嘱託に基づいて差押えの登記をしたときは、その登記事項証明書を執行裁判所に送付しなければなりません(48条2項)。これに対し、登記された抵当権などで担保される債権を差し押さえた場合の、その債権について差押えがされた旨の登記は、差押債権者の申立てにより裁判所書記官が嘱託します(150条)。

民事執行法 第150条第1項

登記又は登録(以下「登記等」という。)のされた先取特権、質権又は抵当権によつて担保される債権に対する差押命令が効力を生じたときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権について差押えがされた旨の登記等を嘱託しなければならない。

差押えの効力は、登記と送達の早い方で生じます

差押えの効力は開始決定が債務者に送達された時に生じますが、差押えの登記がその送達前にされたときは登記がされた時に生じます(46条1項)。「差押えの登記がされる前に不動産の強制競売の開始決定が債務者に送達された場合であっても、差押えの効力は、登記がされた時に生ずる」という肢(R5 午後 問7 ウ)は誤りです。

仮差押えの登記も裁判所書記官が嘱託しますが、根拠は民事保全法です

不動産に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は強制管理の方法により行い(民事保全法47条1項)、仮差押えの登記は裁判所書記官が嘱託します(同条3項)。どちらも裁判所書記官の嘱託による登記ですが、仮差押えは将来の強制執行に備えて債務者の処分を制限する保全処分で、仮差押えの登記がされても売却の手続は始まりません。強制競売の開始決定に係る差押えの登記の後に登記された仮差押債権者は、配当要求をすることができ(51条1項)、最初の差押えの登記より前に登記された仮差押えの債権者は、配当要求をしなくても配当等を受けるべき債権者になります(87条1項3号)。

民事保全法 第47条第3項

仮差押えの登記は、裁判所書記官が嘱託する。

取下げや取消しのときは抹消を、代金納付のときは移転と抹消を嘱託します

強制競売の申立てが取り下げられたとき、又は強制競売の手続を取り消す決定が効力を生じたときは、裁判所書記官は差押えの登記の抹消を嘱託しなければならず(54条1項)、その登録免許税その他の費用は取下げ又は取消決定に係る差押債権者の負担です(同条2項)。売却が終わり買受人が代金を納付したときは、裁判所書記官が、買受人の取得した権利の移転の登記とあわせて、差押え又は仮差押えの登記の抹消を嘱託します(82条1項3号)。

書記官役の先生が抹消嘱託書を差し出し、登記記録の差押の行に取消線、横に差押債権者
申立ての取下げや手続の取消しのときは裁判所書記官が差押えの登記の抹消を嘱託し、費用は差押債権者の負担です
取下げで抹消嘱託費用は差押債権者代金納付で移転と抹消
民事執行法 第54条第1項

強制競売の申立てが取り下げられたとき、又は強制競売の手続を取り消す決定が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その開始決定に係る差押えの登記の抹消を嘱託しなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 差押えの登記の嘱託は、裁判所書記官が申立てを待たずに行う(48条1項。R5 午後 問7 オ ○)
  2. 送達が差押えの登記より先なら、差押えの効力は送達の時に生ずる(46条1項。R5 午後 問7 ウ ×)
  3. 申立ての取下げ・手続の取消しのときは、裁判所書記官が差押えの登記の抹消を嘱託し、費用は差押債権者が負担する(54条)
  4. 代金納付のときは、裁判所書記官が差押え又は仮差押えの登記の抹消を嘱託する(82条1項3号)
  5. 仮差押えの登記も裁判所書記官が嘱託する(民事保全法47条3項)

この用語が問われた肢

R5 問7 オ正しい

不動産の強制競売の開始決定に係る差押えの登記の嘱託は、裁判所書記官が職権により行う。

R5 問7 ウ誤り

差押えの登記がされる前に不動産の強制競売の開始決定が債務者に送達された場合であっても、差押えの効力は、登記がされた時に生ずる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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