仮差押解放金かりさしおさえかいほうきん
仮差押解放金とは、仮差押えの執行の停止又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額で、裁判所は仮差押命令においてこれを定めなければなりません(22条1項)。
仮差押解放金は、債務者が仮差押えを外してもらうために供託するお金です。仮差押えは金銭債権の強制執行を守るためのものなので、債務者がその額のお金を供託すれば、債権者は供託金で同じ目的を果たせます。債務者は、押さえられた財産を自由に使えるようになります。

民事保全法 第22条第1項仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければならない。
仮差押命令では、仮差押解放金の額を定めなければなりません
22条1項は、仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を「定めなければならない」としています。「仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければならない」という肢(R4 午後 問6 ウ)は正しい記述です。定めることを要しないとした肢(H29 午後 問6 イ)は誤りでした。仮処分解放金は、裁判所が定めることが「できる」にとどまる点(25条1項)と区別します。
解放金が供託されると取り消されるのは仮差押えの執行で、仮差押命令は効力を失いません
債務者が仮差押解放金の額に相当する金銭を供託したことを証明したときは、保全執行裁判所は仮差押えの執行を取り消さなければなりません(51条1項)。取り消されるのは執行で、仮差押命令そのものが発令の時にさかのぼって効力を失うのではありません。仮差押解放金を供託すると仮差押命令が発令の時に遡って効力を失うとした肢(H25 午後 問6 エ)は誤りでした。

民事保全法 第51条第1項債務者が第二十二条第一項の規定により定められた金銭の額に相当する金銭を供託したことを証明したときは、保全執行裁判所は、仮差押えの執行を取り消さなければならない。
解放金は、仮差押命令を発した裁判所か保全執行裁判所の所在地の供託所に供託します
仮差押解放金の供託は、仮差押命令を発した裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければなりません(22条2項)。債権の仮差押えで、第三債務者が仮差押えの執行がされた金銭債権の額に相当する金銭を供託したときは、債務者が仮差押解放金を供託したものとみなされます(50条3項本文)。解放金の額を超える部分は、このみなしの対象になりません(同項ただし書)。
解放金は債務者が供託するもので、債権者が立てる保全命令の担保とは目的が逆です
保全命令の担保(14条)は、債権者が立て、違法な保全で債務者が受ける損害に備えるものです。仮差押解放金は、債務者が供託し、仮差押えの執行の停止や取消しを得て、債権者の金銭債権の執行を供託金で確保するものです。供託する者、供託の目的、供託の効果が逆になっています。
解放金の供託による執行取消しの決定は即時に効力を生じます
民事執行法では、民事執行の手続を取り消す決定に対しては執行抗告ができ、その決定は確定しなければ効力を生じません(民事執行法12条1項・2項)。これに対し、仮差押解放金の供託による仮差押えの執行の取消しの決定は、46条で準用する民事執行法12条2項の規定にかかわらず、即時に効力を生じます(51条2項)。供託金で債権者の利益は守られているので、取消しを待たせる必要がないからです。
試験ではこう問われる
- 仮差押命令では、仮差押解放金の額を定めなければならない(22条1項。R4 午後 問6 ウ ○)
- 解放金が供託されたことが証明されると、保全執行裁判所は仮差押えの執行を取り消す(51条1項)
- 解放金を供託しても、仮差押命令が発令の時にさかのぼって効力を失うのではない(51条1項。H25 午後 問6 エ ×・出題当時)
- 解放金の供託は、仮差押命令を発した裁判所又は保全執行裁判所の所在地の供託所にする(22条2項)
- 第三債務者が仮差押えされた金銭債権の額を供託すると、解放金の額の限度で債務者が解放金を供託したものとみなされる(50条3項)
この用語が問われた肢
仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。

