債権・動産に対する仮差押えの執行さいけん・どうさんにたいするかりさしおさえのしっこう
債権に対する仮差押えの執行は、保全執行裁判所が第三債務者に対し債務者への弁済を禁止する命令を発する方法により行い(50条1項)、動産に対する仮差押えの執行は、執行官が目的物を占有する方法により行います(49条1項)。
債権・動産に対する仮差押えの執行は、差押えと同じ方法で財産を押さえ、換価や取立てには進まないところに特徴があります。債権なら第三債務者に支払を止め、動産なら執行官が物を預かります。

民事保全法 第50条第1項民事執行法第百四十三条に規定する債権に対する仮差押えの執行は、保全執行裁判所が第三債務者に対し債務者への弁済を禁止する命令を発する方法により行う。
債権の仮差押えは、第三債務者に債務者への弁済を禁止する命令で執行し、仮差押命令を発した裁判所が執行します
50条1項は、民事執行法143条に規定する債権に対する仮差押えの執行は、保全執行裁判所が第三債務者に対し債務者への弁済を禁止する命令を発する方法により行うとしています。この執行は、仮差押命令を発した裁判所が保全執行裁判所として管轄します(50条2項)。差押命令に関する民事執行法145条2項から6項までが準用され(民事保全法50条5項)、仮差押えの効力は命令が第三債務者に送達された時に生じます(民事執行法145条5項)。仮差押命令は特定の債権について発しなければならないので(21条本文)、「債権の仮差押命令は、特定の債権について発しなければならない」という肢(R7 午後 問6 イ)は正しい記述です。
仮差押えでは取立てや転付命令はできず、第三債務者の供託は解放金の供託とみなされます
仮差押えは本案の判決まで財産を保存するものなので、民事保全法50条5項は、差押債権者の取立て(民事執行法155条)や転付命令(同法159条)の規定を準用していません。第三債務者は、仮差押えの執行がされた金銭債権の額に相当する金銭を供託することができ(民事保全法50条5項、民事執行法156条1項)、供託したときは、債務者が仮差押解放金を供託したものとみなされます(50条3項本文)。ただし、解放金の額を超える部分は、みなしの対象になりません(50条3項ただし書)。

動産の仮差押えは、執行官が目的物を占有して行い、金銭は供託されます
49条1項は、動産に対する仮差押えの執行は執行官が目的物を占有する方法により行うとしています。仮差押命令の段階では動産の目的物を特定しなくてよく(21条ただし書)、どの動産を占有するかは執行の段階で定まります。執行官は、仮差押えの執行に係る金銭を供託しなければなりません(49条2項)。動産に著しい価額の減少を生ずるおそれがあるときや保管に不相応な費用を要するときは、執行官は動産執行の売却の手続で売却し、その売得金を供託します(49条3項)。いずれも債権者には渡さず、供託で保存します。
民事保全法 第49条第1項動産に対する仮差押えの執行は、執行官が目的物を占有する方法により行う。
動産の仮差押えでは、執行官は債務者の住居に立ち入って目的物を捜索でき、債務者に保管させることもできます
49条4項は、民事執行法123条から129条までなどを動産に対する仮差押えの執行に準用しています。執行官は、債務者の住居その他債務者の占有する場所に立ち入り、目的物を捜索することができ、必要があれば閉鎖した戸や金庫を開くことができます(民事執行法123条2項)。相当と認めるときは、債務者に仮差押えをした動産を保管させることができ、この場合は封印その他の方法で表示をしたときに限り効力を有します(民事執行法123条3項)。債権以外の財産権(その他の財産権)に対する仮差押えの執行にも、債権の仮差押えの執行の方法が準用されます(50条4項)。
試験ではこう問われる
- 債権の仮差押えの執行は、保全執行裁判所が第三債務者に弁済を禁止する命令を発して行う(50条1項)
- 債権の仮差押えの執行は、仮差押命令を発した裁判所が保全執行裁判所として管轄する(50条2項)
- 債権の仮差押命令は特定の債権について発しなければならない(21条本文。R7 午後 問6 イ ○)
- 第三債務者が仮差押えされた金銭債権の額を供託すると、債務者が解放金を供託したものとみなされる(50条3項)
- 動産の仮差押えの執行は、執行官が目的物を占有して行い、金銭は供託する(49条1項・2項)
この用語が問われた肢
債権の仮差押命令は、特定の債権について発しなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。

