還付請求権の譲渡・差押えかんぷせいきゅうけんのじょうとさしおさえ
供託物還付請求権は被供託者の財産として譲渡や差押えの対象になり、供託規則5条により供託官が譲渡通知書や差押命令書を受け付けて記録します。譲渡通知が受諾の効果を持つこと、供託官の受付記載が確定日付になること、差押えの競合で供託官が事情届をすることが肢で突かれます。
還付請求権の譲渡・差押えは、供託所に対する供託物還付請求権が被供託者の財産として処分や強制執行の対象になる場面です。供託規則5条1項は、供託官が譲渡や質権設定の通知書、差押命令書、仮差押命令書、転付命令書などを受け取ったときに受付の年月日時分を記載して譲渡通知書等つづり込帳に編てつすると定めます。供託所は第三債務者の立場に立つので、債権譲渡の対抗要件や差押えの効力がそのまま供託所に向けて働きます。肢で突かれるのは、譲渡通知が供託の受諾を意味すること、受付記載の効果、差押えが競合したときの払渡しの流れ、仮差押債権者の地位です。
供託規則 第5条第1項供託官は、第四十七条の規定により提出された書面、供託物払渡請求権についての譲渡若しくは質権設定の通知書又は供託物払渡請求権に関する仮差押命令書、仮処分命令書、差押命令書、転付命令書若しくは譲渡命令書その他供託物払渡請求権の移転若しくは処分の制限に関する書類を受け取つたときは、これに受付の旨及びその年月日時分を記載し、受付の順序に従つて、譲渡通知書等つづり込帳に編てつしなければならない。

譲渡通知は供託の受諾になり、供託者は取り戻せなくなります
被供託者が還付請求権を譲渡して供託所に書面で通知すると、受諾する旨が書かれていなくても、供託実務では供託を受諾したものとして扱われます。「被供託者が供託所に対して供託物還付請求権の譲渡の通知をした場合であっても,その通知に供託を受諾する旨が積極的に明示されていない限り,供託者は,供託物の取戻請求をすることができる」という肢は誤りです。譲受人は供託所に対して還付請求権を取得し、譲渡人の印鑑証明書を添えた譲渡通知書や譲渡証書を権利を証する書面として還付を請求します。通知に利息の請求権の譲渡が明記されていなかったときは、譲受人には通知の送達日から払渡しの前月までの利息だけが付きます。「供託物払渡請求権の譲渡がされた場合において,債権譲渡の通知に利息請求権の譲渡について明記されていなかったときは,譲受人の請求により,元金に当該通知の送達があった日から払渡しの前月までの利息を付して払い渡される」という肢は正しい肢です。
供託官の受付記載が確定日付になり、第三者に対抗できます
債権譲渡を債務者以外の第三者に対抗するには、民法467条2項により確定日付のある証書による通知か承諾が要ります。供託官が譲渡通知書に受付の年月日時分を記載すると、官公署の記載した日付として確定日付の効力を持つので、確定日付のない通知書でも受付の記載があれば譲受人は第三者に対抗できます。「供託者が、供託物取戻請求権を譲渡し、確定日付のない譲渡通知書を供託所に送付した場合には、供託官が当該通知に受付の旨及びその年月日時分を記載した後であっても、譲受人は、当該譲渡を供託所以外の第三者に対抗することができない」という肢は誤りです。取戻請求権の譲渡も還付請求権の譲渡も同じ扱いで、競合する譲渡の優劣は確定日付のある通知の到達の先後で決まり、つづり込帳の受付記録がその時点を確かめる資料になります。
差押えが競合したら供託官の事情届と支払委託で払い渡します
還付請求権に対する差押えが一本なら、差押債権者は取立権に基づいて供託所に払渡しを請求できます。差押えが競合したときは供託所が第三債務者として供託すべき立場になりますが、供託所が自分に供託することはできません。だから供託官が執行裁判所に事情を届け出て、裁判所の配当等による支払委託で払い渡す扱いです。「供託物払渡請求権に対する差押えが競合した場合には、供託物の払渡しは、供託官による事情の届出を受けた執行裁判所の配当等の実施としての支払委託に基づいてする」という肢は正しい肢です。差押えがあっても供託者の取戻請求権は当然には消えず、「弁済供託の被供託者の債権者が供託物還付請求権を差し押さえた後は、供託者は、供託物の取戻しを請求することができない」という肢は誤りです。差押債権者が受諾して初めて取戻しが封じられます。
仮差押債権者は受諾できず、代位債権者は証明書面を添えて行使します
還付請求権を仮差押えした債権者は取立権を持たないので、供託を受諾することはできません。「供託物還付請求権の仮差押債権者は、供託所に対し、供託を受諾する旨の意思表示をすることができない」という肢は正しい肢です。被供託者の債権者が民法423条の債権者代位権で還付請求権を行使して自ら受け取るには、被供託者に対する債権を証する書面と、債権を保全する必要があることを証する書面を提出します。「被供託者の債権者が、債権者代位権に基づき、被供託者の有する供託物還付請求権を行使して自ら供託物を受領しようとする場合には、被供託者に対して債権を有する事実を証する書面及びその債権を保全する必要がある事実を証する書面を提出しなければならない」という肢は正しい肢です。代位債権者は受諾もできるので、仮差押債権者との違いが対になる論点です。
民法 第467条第2項前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。
試験ではこう問われる
- 譲渡通知に受諾の明示がなければ供託者が取り戻せるとする肢
- 確定日付のない譲渡通知書に供託官が受付記載をしても第三者に対抗できないとする肢
- 差押えの競合で差押債権者が供託所に直接払渡しを請求できるとする肢
- 差押えだけで供託者の取戻しができなくなるとする肢
- 仮差押債権者と代位債権者の受諾や行使の可否を入れ替える肢
この用語が問われた肢
供託物払渡請求権の譲渡がされた場合において,債権譲渡の通知に利息請求権の譲渡について明記されていなかったときは,譲受人の請求により,元金に当該通知の送達があった日から払渡しの前月までの利息を付して払い渡される。
供託者が、供託物取戻請求権を譲渡し、確定日付のない譲渡通知書を供託所に送付した場合には、供託官が当該通知に受付の旨及びその年月日時分を記載した後であっても、譲受人は、当該譲渡を供託所以外の第三者に対抗することができない。
供託物払渡請求権に対する差押えが競合した場合には、供託物の払渡しは、供託官による事情の届出を受けた執行裁判所の配当等の実施としての支払委託に基づいてする。
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