供託官の処分と審査請求きょうたくかんのしょぶんとしんさせいきゅう
供託官の却下などの処分や不作為に不服がある者が、供託法1条の4により監督法務局または地方法務局の長に審査請求をする制度です。請求先、供託官を経由すること、供託官自身が処分をやり直せること、処分に当たらない行為があることが肢で突かれます。
供託官の処分と審査請求は、供託の受理や却下、払渡しの認可や却下といった供託官の処分に不服がある者のための不服申立ての仕組みです。供託法1条の4は、処分に不服のある者と不作為に係る処分を申請した者が、監督法務局または地方法務局の長に審査請求をできると定め、1条の5が供託官を経由することを求めます。供託官の処分には1条の3により行政手続法2章が適用されず、却下は供託規則21条の7の却下決定書で示されます。肢で突かれるのは、審査請求の宛先と経路、供託官が自分で処分をやり直せること、何が処分に当たるかです。
供託法 第1条の4供託官ノ処分ニ不服アル者又ハ供託官ノ不作為ニ係ル処分ノ申請ヲ為シタル者ハ監督法務局又ハ地方法務局ノ長ニ審査請求ヲ為スコトヲ得

審査請求は法務局の長に宛てて供託官を経由してします
供託法1条の4は審査請求の宛先を監督法務局または地方法務局の長と定め、1条の5は供託官を経由してすることを求めます。供託官が処分をした張本人なのに経由させるのは、供託官に自分の処分を見直す機会を与えるためです。登記官の処分に対する審査請求と同じ構造で、不動産登記法や商業登記法と並べて問われます。審査請求ができるのは処分に不服のある者と、不作為に係る処分を申請した者です。
供託官は理由ありと認めれば自ら相当の処分をします
供託法1条の6第1項により、供託官は審査請求を理由があると認めるとき、または不作為に係る処分をすべきと認めるときは、相当の処分をしてその旨を審査請求人に通知します。却下した供託を受理し直したり、却下した払渡請求を認可したりする自己是正です。理由がないと認めるときは同条2項により、意見を付して審査請求があった日から5日内に監督法務局または地方法務局の長に送付する決まりです。法務局の長は1条の7により、理由ありと認めるときは供託官に相当の処分を命じ、不作為の申請を却下すべきと認めるときは却下する処分を命じます。
行政不服審査法の一部は適用されず、行政手続法2章も適用されません
供託法1条の9は、行政不服審査法の規定のうち審査請求期間や口頭意見陳述などの一部を供託官の処分への審査請求に適用しないと定めます。1条の8は弁明書に関する規定を供託官の意見に読み替える規定です。審理員による審理や裁決の方式に関する規定は適用されます。供託の手続は大量で画一的なので、簡易な手続で処理する趣旨です。1条の3により行政手続法2章の申請に対する処分の規定も適用されず、審査基準の設定や理由の提示といった行政手続法上の義務は供託官に課されません。審査請求と別に、却下処分の取消しを求める行政訴訟を提起することもできます。
供託通知書の発送は処分ではなく、審査の対象にもなりません
供託者の請求を受けて供託官が被供託者に供託通知書を発送する行為は、供託官が供託者の事務を代わって行う事実行為で、処分ではありません。「供託者が被供託者に供託の通知をしなければならない場合において、供託者からの請求を受けて供託官が行う供託通知書の発送は、行政訴訟の対象となる処分ではない」という肢は正しい肢です。通知書が届かなくても審査請求や取消訴訟の対象にならず、供託の効力にも影響しません。処分に当たるのは受理と却下、払渡しの認可と却下、保管替えの認可と却下のように、供託者や請求者の法律上の地位を左右する行為です。
供託官は書面から判断できる範囲で審査し、証明書面は求めません
供託官の審査は提出された供託書と添付書類に基づいて判断できる限りで実体的要件にも及びますが、それ以上に踏み込む権限はありません。「供託申請についての供託官の審査の対象は、手続的要件に限られるものではなく、提出された供託書及び添付書類に基づいて判断し得る限りにおいて、実体的要件にも及ぶ」という肢は正しい肢です。供託の原因たる事実に疑いがあっても証明書面の提出を求めることはできず、「供託官は、供託申請があった場合において、供託書に記載された供託の原因たる事実の存否について疑いがあるときは、申請者に対し、当該事実を証明する書面の提出を求めることができる」という肢は誤りです。審査の範囲が限られているからこそ、誤って受理された供託の効力は別に争われる関係です。
供託法 第1条の6供託官ハ処分ニ付テノ審査請求ヲ理由アリト認ムルトキ又ハ審査請求ニ係ル不作為ニ係ル処分ヲ為スベキモノト認ムルトキハ相当ノ処分ヲ為シテ其旨ヲ審査請求人ニ通知スルコトヲ要ス
供託官ハ前項ニ規定スル場合ヲ除クノ外意見ヲ付シ審査請求アリタル日ヨリ五日内ニ之ヲ監督法務局又ハ地方法務局ノ長ニ送付スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ監督法務局又ハ地方法務局ノ長ハ当該意見ヲ行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十一条第二項ニ規定スル審理員ニ送付スルモノトス
試験ではこう問われる
- 審査請求の宛先を法務大臣や裁判所にすり替える肢や、供託官の経由を不要とする肢
- 供託官が自ら処分をやり直せることや、意見を付して送付する期間を問う肢
- 供託通知書の発送を処分として審査請求や行政訴訟の対象にする肢
- 供託官の審査の範囲を手続的要件に限る肢や、証明書面を求められるとする肢
この用語が問われた肢
供託者が被供託者に供託の通知をしなければならない場合において、供託者からの請求を受けて供託官が行う供託通知書の発送は、行政訴訟の対象となる処分ではない。
供託申請についての供託官の審査の対象は、手続的要件に限られるものではなく、提出された供託書及び添付書類に基づいて判断し得る限りにおいて、実体的要件にも及ぶ。
供託官は、供託申請があった場合において、供託書に記載された供託の原因たる事実の存否について疑いがあるときは、申請者に対し、当該事実を証明する書面の提出を求めることができる。
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