司法書士試験AIブートラボ 司法書士AIブートラボ

事情届じじょうとどけ

供託 第3章 執行供託と保証供託 過去問で3肢

執行供託をした第三債務者が、供託した事情を執行裁判所に届け出る手続です。誰が、どこへ届け出るのかをすり替える肢が作られます。

事情届は、民事執行法156条に基づいて供託をした第三債務者が、供託した旨とその事情を執行裁判所に届け出る手続です。同条4項が届出の義務を定め、執行裁判所は届出を受けて配当等を実施します。供託所は供託を受け入れるだけで、誰にいくら払うかを決める権限を持たないので、執行裁判所に手続を引き継ぐための橋渡しが事情届です。肢で突かれるのは、届出をするのが誰か、届出先がどこか、滞納処分が絡んだときに届出先が変わるかという点です。

民事執行法 第156条第4項

第三債務者は、前三項の規定による供託をしたときは、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。

供託所の金庫に袋を入れ終えた会社員が書面を持って裁判所の窓口へ歩き、裁判所の職員が受け取っている
供託した第三債務者は、その事情を執行裁判所に届け出て配当を引き継ぎます
届け出るのは第三債務者届出先は執行裁判所滞納処分が先なら徴収職員等

届け出るのは第三債務者で、供託官ではありません

民事執行法156条4項は、供託をした第三債務者がその事情を執行裁判所に届け出なければならないと定めています。供託官は供託書の受理と供託金の保管をするだけで、執行裁判所に届け出る立場にありません。「金銭債権が差し押さえられた場合において、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託したときは、供託官は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない」という肢は誤りです。権利供託でも義務供託でも、供託をした以上は第三債務者が届出をします。届出には民事執行規則により供託書正本を添付します。供託所が裁判所に知らせる仕組みは置かれていないので、第三債務者が動かなければ手続は止まったままです。

届出先は差押命令を発した執行裁判所です

事情届の届出先は、差押命令を発した執行裁判所です。仮差押えの執行を受けて供託したときは、民事保全法50条5項の準用により、仮差押命令を発した裁判所が保全執行裁判所として届出先になります。差押えによる供託では届出を受けた裁判所が配当等を実施し、供託所に支払委託書を送って払渡しを進めます。仮差押えだけによる供託では、供託金は解放金の供託とみなされて保全されるにとどまり、本執行に移るまで配当等は始まりません。第三債務者が届出を怠ると配当手続が始まらず、供託金が供託所に眠ったままになります。

仮差押えと滞納処分が重なったときは執行裁判所に届け出ません

仮差押えの執行がされた金銭債権に滞納処分による差押えが重なった場合、第三債務者は全額を供託することができますが、配当を実施するのは執行裁判所ではありません。滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律により、事情届は徴収職員等に対してする扱いです。「金銭債権に対する仮差押えの執行と滞納処分による差押えが競合した場合において,第三債務者が当該金銭債権の全額に相当する金銭を供託したときは,第三債務者は,執行裁判所に事情届をしなければならない」という肢は誤りです。滞納処分が先に入り強制執行の差押えが重なった場合も、届出先は徴収職員等です。強制執行の差押えが先で滞納処分が後から重なった場合に限り、執行裁判所が配当を実施するので執行裁判所へ届け出ます。

権利供託でも義務供託でも、供託した以上は事情届が要ります

民事執行法156条4項は「前三項の規定による供託をしたとき」と定めているので、1項の権利供託をした第三債務者にも届出義務があります。供託が任意だったからといって、配当を執行裁判所に委ねる仕組みが変わるわけではないからです。差押えが一本だけで供託した場合も、事情届を受けた執行裁判所が差押債権者への配当等を実施します。一部差押えの債権の全額を供託したときは、差押金額の部分について事情届を出し、超過部分については執行債務者に供託の通知をします。供託命令を受けて供託したときも同じく届出が要ります。

払渡請求権に差押えが競合したときは供託官が届け出ます

供託された後の払渡請求権そのものに差押えが競合したときは、第三債務者の立場にあるのは供託所です。供託規則5条が差押命令などを譲渡通知書等つづり込帳に編てつすると定め、供託実務では供託官が執行裁判所に事情を届け出ます。「供託物払渡請求権に対する差押えが競合した場合には、供託物の払渡しは、供託官による事情の届出を受けた執行裁判所の配当等の実施としての支払委託に基づいてする」という肢は正しい肢です。第三債務者がする事情届と、供託官がする事情届の二つを分けて覚えます。

民事保全法 第50条第5項

民事執行法第百四十五条第二項から第六項まで、第百四十六条から第百五十三条まで、第百五十六条(第三項を除く。)、第百六十四条第五項及び第六項並びに第百六十七条の規定は、第一項の債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行について準用する。

試験ではこう問われる

  1. 事情届をするのが第三債務者か供託官かをすり替える肢
  2. 仮差押えと滞納処分の競合で届出先を執行裁判所にする肢
  3. 払渡請求権に差押えが競合したときに供託官が届け出ることを問う肢

この用語が問われた肢

R6 問10 ウ誤り

金銭債権が差し押さえられた場合において、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託したときは、供託官は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。

R7 問11 ウ正しい

供託物払渡請求権に対する差押えが競合した場合には、供託物の払渡しは、供託官による事情の届出を受けた執行裁判所の配当等の実施としての支払委託に基づいてする。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

供託を肢別で解く

この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。

関連する用語

執行供託と保証供託

執行供託

金銭債権に差押えや仮差押えの執行を受けた第三債務者が、民事執行法156条などに基づいて債務の履行地の供託所に金銭を...
執行供託と保証供託

第三債務者の義務供託

差押えが競合するなど民事執行法156条2項・3項の場面で、第三債務者が差押えに係る金銭債権の全額などを供託しなけれ...
執行供託と保証供託

滞納処分と供託

国税や地方税の滞納処分による差押えと、強制執行や仮差押えの執行が同じ金銭債権に重なったときの第三債務者の供託です。...
執行供託と保証供託

供託金の配当と執行裁判所

執行供託された金銭を執行裁判所が配当等で分け、供託規則30条の支払委託書と証明書によって供託所が払い渡す流れです。...