供託物払渡請求きょうたくぶつはらいわたしせいきゅう
供託所に預けられた供託物を、被供託者が還付として、供託者が取戻しとして受け取るために供託規則22条の供託物払渡請求書を提出する手続です。請求書の通数、一括請求、金額の訂正、代理人の権限証書の添付など手続の細部で肢が作られます。
供託物払渡請求は、供託所に保管されている供託物を受け取るための請求で、被供託者がする還付請求と供託者がする取戻請求の総称です。供託規則22条1項が供託物の種類に応じた様式の供託物払渡請求書の提出を求め、2項が供託番号・払渡請求の事由・還付か取戻しかの別・払渡方法などの記載事項を定めます。供託は預けるときより受け取るときに書類の審査が厳しく、誰が権利者かを供託官が書面だけで判断します。肢で突かれるのは、請求書の通数と記載、一括請求の可否、金額の訂正、代理人の権限を証する書面の扱いといった手続の細部です。
供託規則 第22条第1項供託物の還付を受けようとする者又は供託物の取戻しをしようとする者は、供託物の種類に従い、第二十五号から第二十六号の二までの書式による供託物払渡請求書(供託物が有価証券又は振替国債であるときは請求書二通)を提出しなければならない。

有価証券と振替国債の払渡しは請求書を2通提出します
供託金の払渡請求書は1通で足りますが、供託物が有価証券や振替国債のときは請求書を2通提出します。供託規則29条により、供託官が一通に払渡しを認可する旨を記載して請求者に交付し、他の一通を供託所に残す仕組みだからです。「供託物の払渡請求をする者は,供託物が有価証券である場合には,供託物払渡請求書2通を提出しなければならない」という肢は正しい肢です。金銭の払渡しでは供託官が請求書に認可の記載をして日本銀行への手続をするので、1通で済みます。
同一人の数個の供託は事由が同じなら一括して請求できます
供託規則23条1項により、同一人が数個の供託について同時に還付か取戻しをしようとする場合で、払渡請求の事由が同一であるときは、一括して請求することができます。家賃を毎月供託されてきた賃貸人が、受諾してまとめて還付を受ける場面が典型です。「同一人が数個の供託について同時に供託金の還付を受けようとする場合において、還付請求の事由が同一であるときは、一括してその請求をすることができる」という肢は正しい肢です。「同一人が数個の供託について同時に供託金の還付を請求しようとする場合においては,払渡請求の事由が同一であるときであっても,一括してその請求をすることができない」という肢は誤りです。事由が違えば供託ごとに請求書を分けます。
払渡請求書に記載した金額は訂正できます
供託書に記載した供託金額は訂正や加入、削除が禁じられていますが、供託物払渡請求書に記載した払渡請求金額は訂正することができます。供託書は供託の内容を確定させる書面で改変を許すと供託の同一性が崩れるのに対し、払渡請求書の金額は供託の記録と突き合わせて確かめられるからです。「供託物払渡請求書に記載した払渡請求金額については,訂正をすることができる」という肢は正しい肢です。「供託物払渡請求書に記載した払渡しを請求する供託金の額については、訂正、加入又は削除をしてはならない」という肢は誤りです。訂正は供託規則6条4項の方式に従って二線を引いて正書し、欄外に字数を記載して押印しますが、押印を要しない請求書では6条5項により訂正の押印も要りません。
委任による代理人の権限を証する書面は提示ではなく添付です
供託をするときの代理権限証書は供託規則14条4項により提示で足りますが、払渡しを請求するときは27条1項により供託物払渡請求書に添付しなければなりません。払渡しは供託物が供託所から出ていく場面なので、代理権の証拠を供託所に残す必要があるからです。「委任による代理人によって供託物の払渡請求をする場合には,代理人の権限を証する書面はこれを提示すれば足り,供託物払渡請求書にこれを添付することを要しない」という肢は誤りです。支配人その他登記のある代理人は、27条1項ただし書により代理人であることを証する登記事項証明書を提示すれば足ります。「登記されている支配人が代理人として供託金の還付を請求する場合には,供託物払渡請求書に代理人の権限を証する書面を添付することを要せず,登記所が作成した代理人であることを証する書面を提示すれば足りる」という肢は正しい肢です。
供託通知書は還付請求の添付書類ではありません
被供託者が供託官から供託通知書の送付を受けていても、還付請求のときに供託通知書を添付する必要はありません。供託通知書は供託があったことを知らせる書面で、還付を受ける権利を証する書面ではないからです。「被供託者は,供託官から供託通知書の送付を受けていた場合であっても,当該供託の供託物の還付請求をするに当たっては,供託物払渡請求書に当該供託通知書を添付することを要しない」という肢は正しい肢です。「供託官から供託通知書の送付を受けた被供託者が供託物の還付請求をするときは、供託物払渡請求書に当該供託通知書を添付しなければならない」という肢は誤りです。供託規則24条1項1号により、副本ファイルの記録から還付を受ける権利を有することが明らかなら、権利を証する書面そのものも要りません。
供託規則 第27条第1項代理人によつて供託物の払渡しを請求する場合には、代理人の権限を証する書面を供託物払渡請求書に添付しなければならない。ただし、支配人その他登記のある代理人については、代理人であることを証する登記事項証明書を提示すれば足りる。
試験ではこう問われる
- 有価証券の払渡請求書の通数を1通にする肢
- 同一事由の数個の供託を一括して請求できるかを問う肢
- 払渡請求書の金額を訂正できないとする肢
- 代理人の権限証書を提示で足りるとする肢と、支配人の登記事項証明書の提示を問う肢
- 供託通知書を還付請求書に添付させる肢
この用語が問われた肢
同一人が数個の供託について同時に供託金の還付を受けようとする場合において、還付請求の事由が同一であるときは、一括してその請求をすることができる。
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