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承認のない譲渡制限株式の譲渡の効力しょうにんのないじょうとせいげんかぶしきのじょうとのこうりょく

会社法・商法 第4章 株式の譲渡と管理 過去問で7肢

承認のない譲渡制限株式の譲渡の効力とは、会社の承認を得ないでされた譲渡制限株式の譲渡が誰との関係で効力を持つかという問題で、判例は、譲渡当事者間では有効であり、会社に対する関係では効力を生じないとしています。

譲渡制限株式の株主が会社の承認を取らずに株式を売ってしまったとき、その売買が無かったことになるのかが問題になります。譲渡制限は会社にとって好ましくない人が株主になるのを防ぐための仕組みなので、会社が譲受人を株主として扱わなければ目的は足ります。そこで判例は、承認のない譲渡は会社に対する関係では効力を生じないが、売った人と買った人の間では有効だとしています。買った人は株式取得者として改めて会社に承認を求めることができます。株主が1人しかいない会社では守るべき他の株主がいないので、承認がなくても会社に対しても有効です。

法廷の場面。先生が裁判官役(札「裁判所」)で法壇に座り、左に男性の譲渡人(札「譲渡人A」)、中央に男性の譲受人(札「譲受人B」)、右に会社の男性担当者(札「株式会社」)。AとBの間に株券の絵と「売買」の文字、2人を結ぶ線の上に深紅の文字「当

承認のない譲渡は当事者間では有効で、会社に対する関係では効力を生じません

判例は、定款による譲渡制限の目的を、会社にとって好ましくない者が株主となることを防止して他の株主の利益を守る点に求め、この目的は会社が譲受人を株主として扱わなければ達せられるから、承認を欠く譲渡は会社に対する関係では効力を生じないにとどまり、譲渡当事者間では有効であるとしました(最判昭和48年6月15日)。「株式の譲渡に係る承認手続を経ないで行われた譲渡制限株式の譲渡は、譲渡当事者間においては有効である」という肢(R7 問28 イ)は正しいです。株券発行会社では株式の譲渡に株券の交付が要りますが(128条1項)、譲渡の合意をして株券を交付していれば、承認が無くても当事者間では譲渡の効力が生じます。承認の有無は会社が誰を株主として扱うかの問題なので、自ら承認を得ずに譲渡した者が、当事者間で譲渡が無効であると主張することは許されません。譲受人は株式取得者として会社に承認を請求でき(137条1項)、承認されれば会社に対しても株主になります。承認を得ないで譲渡制限株式を譲渡担保に供した場合も同じで、譲渡担保権の設定は契約当事者間では有効です。

一人会社の唯一の株主が譲渡した場合は、承認がなくても会社に対する関係でも有効です

譲渡制限は他の株主の利益を守るための仕組みなので、株主が1人しかいない会社では、その株主が株式を譲渡しても害される他の株主がいません。判例は、株式の譲渡につき定款で取締役会の承認を要する旨を定めている会社でも、いわゆる一人会社の株主がその保有する株式を他に譲渡した場合には、定款所定の取締役会の承認がなくても、その譲渡は会社に対する関係においても有効であるとしました(最判平成5年3月30日)。「取締役会設置会社の唯一の株主がその保有する譲渡制限株式を他人に譲渡した場合には、取締役会の決議による承認がないときであっても、その譲渡は、当該会社に対する関係において有効である」という肢(R6 問28 ア)は正しいです。

会社の会議室の場面。先生が会社の社長役(札「唯一の株主 100%」)で、テーブル越しに男性(札「譲受人」)に株券の束を手渡している。壁に貼られた定款の紙に「株式の譲渡には取締役会の承認を要する」と書かれ、その横に空席の椅子が並び札「他の株主

従業員が退職時に会社の指定する者へ株式を譲渡する合意は有効です

従業員持株制度では、従業員が在職中に会社の株式を取得し、退職するときには取得価格と同額で会社の指定する者に譲渡するという合意がされることがあります。株主は株式を自由に譲渡できる(127条)ので、このような合意が譲渡の自由を侵して無効ではないかが争われました。判例は、譲渡制限に関する規定は会社と株主との間で個々に締結される契約の効力を直接規律するものではないこと、会社が相当な配当を続けて持株制度が従業員の財産形成に寄与していたこと、売渡価格が取得価格と同額でも直ちに投下資本の回収を著しく制限する不合理なものとはいえないことから、この合意は株式の譲渡自由の規定に違反せず、公序良俗にも反しないから有効であるとしました(最判平成7年4月25日)。

会社法 第127条

(株式の譲渡)
株主は、その有する株式を譲渡することができる。

最判昭和48年6月15日(譲渡制限に違反した株式譲渡の効力)

株式の譲渡性の制限を許しているが、その立法趣旨は、もっぱら会社にとって好ましくない者が株主となることを防止することにあると解される。そして、右のような譲渡制限の趣旨と、一方株式の譲渡が本来自由であるべきこととに鑑みると、定款に前述のような定めがある場合に取締役会の承認をえずになされた株式の譲渡は、会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡当事者間においては有効であると解するのが相当である。

試験ではこう問われる

  1. 承認の手続を経ないでされた譲渡制限株式の譲渡は、譲渡当事者間では有効で、会社に対する関係では効力を生じない(最判昭和48年6月15日。R7 問28 イ ○)
  2. 承認を得ずに譲渡担保に供した場合も、譲渡担保権の設定は契約当事者間では有効である
  3. 譲受人は株式取得者として会社に承認を請求できる(137条1項)
  4. 取締役会設置会社の唯一の株主が譲渡した場合は、取締役会の承認がなくても会社に対する関係でも有効である(最判平成5年3月30日。R6 問28 ア ○)
  5. 従業員が退職時に取得価格で会社の指定する者に譲渡する合意は、127条にも公序良俗にも反せず有効である(最判平成7年4月25日)

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