申請情報の訂正・補正しんせいじょうほうのていせい・ほせい
申請書の文字を直す訂正と、登記官の指摘を受けて申請の不備を直す補正の総称で、どちらにも方式があります。補正は申請した方式で行うこと、期間内は却下されないこと、取下げは完了前に限られることが肢で突かれます。
申請情報の訂正・補正は、申請書に書いた文字を書き直す訂正と、受付後に登記官が指摘した不備を直す補正を合わせた呼び名です。不動産登記規則45条は申請書の文字の訂正・加入・削除の方式を定め、字数を欄外に記すか記号で範囲を示して押印し、元の文字が読めるように残すことを求めます。電子申請では送信前にデータを直すだけなので、文字の訂正の方式は書面申請に固有のものです。不動産登記法25条ただし書は、却下事由があっても補正できる不備なら、登記官が定めた相当の期間内に補正されれば却下しないと定めます。補正は規則60条により電子申請なら電子情報処理組織で、書面申請なら書面を直すか補正の書面を提出する方法で行い、肢で突かれるのは補正の方式と期間、そして補正と取下げの違いです。
不動産登記規則 第45条(申請書等の文字)
申請書(申請情報の全部を記録した磁気ディスクを除く。以下この款(第五十三条を除く。)において同じ。)その他の登記に関する書面に記載する文字は、字画を明確にしなければならない。
前項の書面につき文字の訂正、加入又は削除をしたときは、その旨及びその字数を欄外に記載し、又は訂正、加入若しくは削除をした文字に括弧その他の記号を付して、その範囲を明らかにし、かつ、当該字数を記載した部分又は当該記号を付した部分に押印しなければならない。この場合において、訂正又は削除をした文字は、なお読むことができるようにしておかなければならない。

申請書の文字の訂正は欄外に字数を記し、押印して範囲を示します
申請書その他の登記に関する書面の文字は字画を明確にし、書き損じを直すときは規則45条2項の方式に従います。訂正・加入・削除をした旨とその字数を欄外に記載するか、直した文字に括弧などの記号を付けて範囲を明らかにし、その部分に押印します。訂正や削除をした文字は、なお読むことができるように残しておかなければなりません。令和3年の押印の見直しで多くの書面から押印義務が外れましたが、申請書の訂正印は本人の訂正であることを示す手段として残っている点に注意が要ります。
補正できる不備は期間内に直せば却下されません
申請情報の誤記や添付情報の不足のように直せる不備は、登記官が相当の期間を定めて補正を促します。規則60条1項により、登記官は補正の期間を定めたときはその期間内は補正すべき事項に係る不備を理由に却下できず、別の直せない却下事由があるときは別です。期間内に補正がされなければ、理由を付した決定で却下され、書面申請なら偽造の疑いがある書面を除いて添付書面が還付されます。管轄違いや登記事項でない事項の登記を求める申請のように、直しようのない不備には補正の余地がなく、そのまま却下の対象です。却下されても納めた登録免許税は還付の対象になり、再申請には改めて申請書を作ります。
補正は申請した方式で行います
規則60条2項は、電子申請の補正は電子情報処理組織を使用して、書面申請の補正は登記所に提出した書面を直すか補正に係る書面を提出して行うと定めます。電子申請で申請情報に誤記があったときに「当該補正に係る書面を登記所に提出する方法によってすることができる」という肢は誤りです。特例方式で書面として提出した添付情報の補正だけは、その書面を直すか補正の書面を提出する方法によります。書面申請の補正は、申請人や代理人が登記所に出向いて申請書を直すのが通例で、押印した印で訂正します。申請の方式と補正の方式をそろえるという単純なルールが、電子申請と書面申請の混同を誘う肢の種です。
取下げは完了前に限られ、印鑑証明書は要りません
申請を撤回したいときは補正ではなく取下げで、規則39条により電子申請は電子情報処理組織で、書面申請は取下書を提出して行います。取下げは登記が完了した後はできず、完了した登記を消すには抹消の申請が要ります。当事者の申請意思の撤回で取り下げるときに「当該申請を取り下げる旨の情報を記載した書面にA及びBの印鑑に関する証明書を添付することを要する」という肢は誤りで、取下書に印鑑証明書は添えません。取下げがされると申請書と添付書面は不正な申請に使われた疑いのあるものを除いて還付され、納めた登録免許税は再使用証明や還付の手続で戻ります。取下書には申請書に押した印と同じ印を押し、還付された添付書面は次の申請に使えるものです。
不動産登記法 第25条(申請の却下)
登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
一 申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。
二 申請が登記事項(他の法令の規定により登記記録として登記すべき事項を含む。)以外の事項の登記を目的とするとき。
三 申請に係る登記が既に登記されているとき。
四 申請の権限を有しない者の申請によるとき。
五 申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。
六 申請情報の内容である不動産又は登記の目的である権利が登記記録と合致しないとき。
七 申請情報の内容である登記義務者(第六十五条、第七十六条の五、第七十七条、第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)、第九十三条(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第百十条前段の場合にあっては、登記名義人)の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないとき。
八 申請情報の内容が第六十一条に規定する登記原因を証する情報の内容と合致しないとき。
九 第二十二条本文若しくは第六十一条の規定又はこの法律に基づく命令若しくはその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならないものとされている情報が提供されないとき。
十 第二十三条第一項に規定する期間内に同項の申出がないとき。
十一 表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が第二十九条の規定による登記官の調査の結果と合致しないとき。
十二 登録免許税を納付しないとき。
十三 前各号に掲げる場合のほか、登記すべきものでないときとして政令で定めるとき。
試験ではこう問われる
- 申請書の文字を訂正するにはどうするか(欄外に字数を記すか記号で範囲を示し、押印。元の文字は読めるように)
- 補正期間内に登記官は却下できるか(できない。期間を過ぎて補正がなければ却下)
- 電子申請の補正を書面でできるか(できない。申請した方式で補正する)
- 取下げはいつまでできるか、印鑑証明書は要るか(完了前まで。印鑑証明書は不要)
この用語が問われた肢
Aが所有権の登記名義人である甲土地について、AからBへの所有権の移転の登記が申請されている場合において、当該登記が完了する前に当事者の登記申請意思の撤回を理由として当該申請を取り下げるときは、当該申請を取り下げる旨の情報を記載した書面にA及びBの印鑑に関する証明書を添付することを要する。
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