相続登記・住所変更の免税そうぞくとうきじゅうしょへんこうのめんぜい
相続登記の申請義務化を後押しする登録免許税を課さない特例と、住所等の変更の登記の義務化に伴って課税されない登記の仕組みです。どの相続登記が免税か、免税を受けるために申請書に何を書くか、職権でされる登記に税がかかるかが肢で突かれます。
相続登記の免税は、租税特別措置法84条の2の3が定める、相続による所有権の移転の登記の登録免許税を課さない特例です。数次相続で亡くなった中間の相続人の名義にする相続登記と、価額が100万円以下の土地の相続登記・表題部所有者の相続人の保存登記が対象です。平成30年度の税制改正で設けられ、令和6年4月1日に施行された相続登記の申請義務化に合わせて拡充と延長を重ねてきました。相続人申告登記と、令和8年4月1日に施行された住所等変更登記の申請義務化に伴う登記官の職権による住所の変更の登記は、申請人が登録免許税を納める場面ではありません。免税の期限は延長を繰り返しているので、申請の時点の条文で確かめる必要があります。
不動産登記規則 第189条第2項登録免許税法又は租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)その他の法令の規定により登録免許税を免除されている場合には、前項の規定により申請情報の内容とする事項(以下「登録免許税額等」という。)に代えて、免除の根拠となる法令の条項を申請情報の内容としなければならない。

数次相続で亡くなった中間の相続人への相続登記は免税です
土地の所有者が死亡し、その相続人も相続登記をしないまま死亡したときは、原則として最初の相続による中間の相続人への移転の登記と、その相続人から次の相続人への移転の登記が要ります。中間の相続が単独相続なら、昭和30年12月16日民事甲第2670号通達により中間の登記を省略して最後の相続人へ1件で登記できるのが実務です。租税特別措置法84条の2の3第1項により、亡くなった中間の相続人を登記名義人にする相続登記については登録免許税が免除されます。対象は土地の相続登記で、建物には及びません。最後に生きている相続人への相続登記は1項の免税の対象ではなく、土地の価額が100万円を超えれば本則の相続の税率で課税されます。
価額100万円以下の土地の相続登記も免税です
不動産の価額が100万円以下の土地について相続による所有権の移転の登記を受けるときは、租税特別措置法84条の2の3第2項により登録免許税が免除されます。相続人申告登記をした後に相続登記をするときも同じで、表題部所有者の相続人がする所有権の保存の登記も対象です。価額は課税標準となる固定資産課税台帳の価格で判断し、共有持分の移転なら持分に応じた価額です。100万円を超える土地には適用がなく、建物の相続登記にも適用がありません。
免税を受けるには申請書に根拠条項を書きます
免税の適用を受けるには、不動産登記規則189条2項により、登録免許税額の代わりに免税の根拠となる法令の条項を申請情報の内容にします。「登録免許税 租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」のように書き、書かなければ免税は受けられず、本則の税額の納付を求められます。登記官が職権で免税を認めることはありません。免税の期限は法改正で延長されてきたので、申請の日が期限内かを条文で確かめる必要があります。
相続人申告登記と職権の住所変更の登記に登録免許税はかかりません
令和6年4月1日に始まった相続人申告登記は、相続人が自分が相続人であることを申し出て登記官が職権で付記する登記で、登録免許税はかかりません。令和8年4月1日に施行された住所等変更登記の申請義務化では、登記官が住民基本台帳などの情報から職権で住所の変更の登記をする仕組みが設けられました。職権の登記なので申請人が税を納める場面はありません。自分で申請する住所の変更の登記は原則として不動産1個につき1000円で、行政区画の変更や住居表示の実施によるものは所定の証明書を添えれば非課税です。義務化と免税をセットで押さえると、どの登記が無料で済むかが整理できるでしょう。
不動産登記法 第25条第1項第12号登録免許税を納付しないとき。
試験ではこう問われる
- 数次相続で免税になるのはどの相続登記か(亡くなった中間の相続人を名義人とする土地の相続登記)
- 価額100万円以下の免税は建物にも及ぶか(及ばない。土地の相続登記と表題部所有者の相続人の保存登記)
- 免税を受けるために申請書に何を書くか(免税の根拠条項。書かなければ免税されない)
- 相続人申告登記や職権の住所変更の登記に登録免許税はかかるか(かからない)
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