抵当権消滅請求・代価弁済ていとうけんしょうめつせいきゅうとだいかべんさい
抵当不動産の第三取得者が、代価を払って抵当権を消す二つの制度です。抵当権者の請求に応じて払う代価弁済と、第三取得者から申し出る抵当権消滅請求があり、抹消は共同申請です。
代価弁済は、抵当不動産の所有権や地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を抵当権者に弁済し、抵当権を消滅させる制度です。抵当権消滅請求は、逆に第三取得者の側から抵当権者に一定の金額を提供して抵当権の消滅を求める制度で、抵当権者が2か月以内に競売を申し立てなければ承諾したものとみなされます。主たる債務者、保証人とその承継人は消滅請求ができません。根抵当権では、元本確定後に極度額に相当する金額を払い渡すか供託して消滅請求ができます。登記の上では、いずれも抵当権が消滅した後の抹消登記の問題になり、登記原因は「代価弁済」「抵当権消滅請求」です。
民法 第379条(抵当権消滅請求)
抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。

消滅で抵当権が消えても抹消は共同申請です
消滅請求や代価弁済で抵当権が消滅しても、登記が自動的に消えるわけではなく、抹消の登記を申請します。申請人は第三取得者である所有者が登記権利者、抵当権者が登記義務者で、共同申請です。「所有権の登記名義人となったCが当該根抵当権の消滅請求をしたことにより当該根抵当権が消滅したときは、AとCは、消滅請求を登記原因として当該根抵当権の登記の抹消を申請することができる」という肢は正しい肢です。供託書正本を添えて第三取得者が単独で抹消できるとする肢は誤りで、単独申請の規定はありません。
主債務者と保証人は消滅請求ができません
抵当権消滅請求ができるのは抵当不動産の第三取得者に限られます。主たる債務者、保証人、これらの承継人は、抵当不動産を取得しても消滅請求はできません。自分が払うべき債務を、不動産の価格で値切ることを許さないためです。停止条件付きで所有権を取得した第三者も、条件の成否が未定の間は消滅請求ができません。代価弁済は抵当権者からの請求に応じる制度なので、第三取得者の側から一方的に始めることはできません。
根抵当権は確定後に極度額を払い渡すか供託して請求します
根抵当権の消滅請求は、元本の確定後に、確定した債権額が極度額を超えているときに、第三取得者などが極度額に相当する金額を払い渡すか供託して行います。根抵当権者の同意は要らず、払渡しか供託をしたうえで消滅請求の意思表示が根抵当権者に到達した日に根抵当権は消滅し、その日が登記原因の日付です。ただし抹消の登記は共同申請が原則で、供託書正本を添えて単独で申請できる規定はありません。「Cは、当該根抵当権の抹消の登記の登記原因を証する情報として、当該根抵当権の極度額に相当する金額を供託したことを証する供託書正本を添付して、単独で当該根抵当権の抹消の登記を申請することができる」という肢は誤りです。
登記原因は代価弁済か抵当権消滅請求で、日付は効力発生日です
抹消の登記原因は、代価弁済なら「代価弁済」、抵当権消滅請求なら「抵当権消滅請求」、根抵当権の消滅請求なら「消滅請求」です。日付は、代価弁済では弁済した日です。抵当権消滅請求では、登記をした全ての債権者が承諾し(承諾したものとみなされる場合を含みます)、かつ承諾された金額を払い渡すか供託した日で、両方がそろって初めて抵当権が消滅します。抵当権が消滅した後の抹消なので、添付情報は通常の抹消と同じく登記原因証明情報と抵当権者の登記識別情報です。登録免許税は不動産1個につき1,000円、同じ申請で20個を超えるときは2万円です。
民法 第398条の22(根抵当権の消滅請求)
元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権若しくは第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。この場合において、その払渡し又は供託は、弁済の効力を有する。
第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権は、一個の不動産について前項の消滅請求があったときは、消滅する。
第三百八十条及び第三百八十一条の規定は、第一項の消滅請求について準用する。
試験ではこう問われる
- 消滅請求で抵当権が消えた後の抹消は誰が申請するか(第三取得者と抵当権者の共同申請)
- 主債務者や保証人は消滅請求ができるか(できない)
- 根抵当権の消滅請求はいつどうやってするか(元本確定後、極度額相当額の払渡しか供託)
- 供託書正本を添えて第三取得者が単独で抹消できるか(できない)
- 代価弁済は誰から始める制度か(抵当権者の請求)
この用語が問われた肢
Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Bを根抵当権者とする元本が確定した根抵当権の設定の登記がされている場合において、Aから甲土地の所有権を取得し、その所有権の登記名義人となったCが、当該根抵当権の消滅請求をしたときは、Cは、当該根抵当権の抹消の登記の登記原因を証する情報として、当該根抵当権の極度額に相当する金額を供託したことを証する供託書正本を添付して、単独で当該根抵当権の抹消の登記を申請することができる。
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