抵当証券ていとうしょうけん
抵当権とその被担保債権を一体にして流通させるために、抵当権者の申請で登記所が交付する有価証券です。発行の定めが登記事項である点と、交付の登記を登記官が職権でする点が突かれます。
抵当証券は、抵当権とその被担保債権を一枚の証券に表章し、裏書で流通させるために登記所が交付する有価証券です。抵当権者が抵当証券法に基づいて登記所に交付を申請し、登記官が作成して交付します。設定契約で抵当証券発行の定めをして登記しておくのが通常ですが、定めの登記が無くても設定者や第三取得者と債務者の同意書を提出して交付を申請できます。交付された後は、抵当権と債権の移転は証券の裏書によって行われ、登記による移転はされません。肢に出ることは少ない語ですが、登記事項の並びの中で「定めがあるときに限る」事項として覚えておく必要があります。
不動産登記法 第88条第1項第5号抵当証券発行の定めがあるときは、その定め

発行の定めは任意的登記事項です
抵当証券発行の定めは、設定契約にその定めがあるときに限って登記する事項です。債権額や債務者のように必ず登記する事項ではありません。発行の定めを登記したときは、元本や利息の弁済期や支払場所の定めがあれば、それも併せて登記します。証券に記載する内容を登記記録で裏づけるためです。根抵当権には抵当証券の制度がなく、発行の定めを登記することはできません。
交付の登記は登記官が職権でします
抵当証券を交付したとき、登記官は職権で抵当証券交付の登記をします。抵当権者や設定者が申請する登記ではありません。抵当不動産が複数の登記所にまたがるときは、申請を受けた登記所の嘱託で他の登記所の登記官が証券を作成し、作成の登記を職権でします。その後に申請を受けた登記所が交付の登記を嘱託し、交付の登記の効力は作成の登記をした時にさかのぼります。
交付後の抵当権は証券の裏書で移り、登記では移りません
抵当証券が交付されると、抵当権と被担保債権は証券と一体になります。債権を譲渡するときは証券に裏書をして交付し、抵当権も一緒に移ります。登記記録上の抵当権者は交付時のままで、移転の登記はされません。抵当証券が交付されている抵当権について変更や抹消の登記を申請するときは、その証券を提供する必要があります。証券の所持人に無断で登記記録だけを動かせないようにするためです。
利息や損害金の書き方は通常の抵当権と同じです
抵当証券を発行する抵当権でも、登記事項の書き方は通常の抵当権と変わりません。利息は確定した割合で書き、損害金の定めがあればその割合を書きます。抵当証券の制度は住宅ローン債権の流動化のために使われましたが、現在は新規の発行がほとんどありません。試験では制度の骨格と登記事項の位置づけを押さえておけば足ります。
不動産登記法 第94条(抵当証券に関する登記)
登記官は、抵当証券を交付したときは、職権で、抵当証券交付の登記をしなければならない。
抵当証券法第一条第二項の申請があった場合において、同法第五条第二項の嘱託を受けた登記所の登記官が抵当証券を作成したときは、当該登記官は、職権で、抵当証券作成の登記をしなければならない。
前項の場合において、同項の申請を受けた登記所の登記官は、抵当証券を交付したときは抵当証券交付の登記を、同項の申請を却下したときは抵当証券作成の登記の抹消を同項の登記所に嘱託しなければならない。
第二項の規定による抵当証券作成の登記をした不動産について、前項の規定による嘱託により抵当証券交付の登記をしたときは、当該抵当証券交付の登記は、当該抵当証券作成の登記をした時にさかのぼってその効力を生ずる。
試験ではこう問われる
- 抵当証券発行の定めは必ず登記する事項か(定めがあるときだけ登記する)
- 抵当証券交付の登記は誰がするか(登記官の職権)
- 交付後に債権を譲渡したとき抵当権の移転の登記をするか(しない。証券の裏書で移る)
- 根抵当権に抵当証券発行の定めを登記できるか(できない)
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