根抵当権の消滅請求ねていとうけんのしょうめつせいきゅう
元本の確定後に債務額が極度額を超えるとき、物上保証人や第三取得者が極度額に相当する金額を払い渡すか供託して根抵当権を消滅させる制度です。誰が請求でき、抹消登記の原因証明情報に何が要るかが肢の軸です。
根抵当権の消滅請求は、元本の確定後に現に存する債務の額が極度額を超えるとき、極度額に相当する金額を払い渡すか供託して根抵当権を消滅させる制度です。請求できるのは、他人の債務を担保するために根抵当権を設定した者と、抵当不動産について所有権・地上権・永小作権・対抗力のある賃借権を取得した第三者です。払渡しや供託は弁済の効力を持ち、極度額いっぱいを払えば根抵当権者は担保から取れる分を全部受け取ったことになるので、不動産を担保から解放できるという考え方です。債務者自身や保証人は請求できません。肢では、請求権者の範囲と要件、抹消登記の申請の形と添付情報が問われます。
民法 第398条の22(根抵当権の消滅請求)
元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権若しくは第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。この場合において、その払渡し又は供託は、弁済の効力を有する。
第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権は、一個の不動産について前項の消滅請求があったときは、消滅する。
第三百八十条及び第三百八十一条の規定は、第一項の消滅請求について準用する。

請求できるのは物上保証人と第三取得者だけです
消滅請求ができるのは、他人の債務を担保するために根抵当権を設定した物上保証人と、抵当不動産について所有権、地上権、永小作権または第三者に対抗できる賃借権を取得した第三者です。債務者や債務者から相続で不動産を取得した人、保証人は請求できません。抵当権消滅請求の規定のうち、主たる債務者や保証人が請求できない旨の規定と、停止条件の成否が未定の間は停止条件付第三取得者が請求できない旨の規定が準用されるからです。
元本の確定後で債務額が極度額を超えていることが要件です
請求ができるのは元本の確定後で、しかも現に存する債務の額が極度額を超えているときに限られます。債務額が極度額以下なら債務全額を弁済すれば根抵当権が消滅するので、消滅請求の出番はありません。共同根抵当の登記がされている根抵当権では、一個の不動産について消滅請求があれば根抵当権全体が消滅します。抵当不動産を取得した第三者が消滅請求をして根抵当権が消えたときは、根抵当権者と第三取得者が消滅請求を登記原因として抹消の登記を申請します。「AとCは、消滅請求を登記原因として当該根抵当権の登記の抹消を申請することができる」という肢は正しい肢です。
消滅請求による抹消は単独申請できません
消滅請求によって根抵当権が消滅しても、抹消の登記は根抵当権者を登記義務者、請求した第三取得者などを登記権利者とする共同申請です。「Cは、当該根抵当権の抹消の登記の登記原因を証する情報として、当該根抵当権の極度額に相当する金額を供託したことを証する供託書正本を添付して、単独で当該根抵当権の抹消の登記を申請することができる」という肢は誤りです。登記原因証明情報は、供託の場合は供託書正本など、払渡しの場合は受領を証する書面などで、供託書に限られません。根抵当権者が協力しなければ、判決を得て請求者が単独で申請します。
登記義務者の所在不明の抹消とは別の制度です
登記義務者の所在が知れない場合に、弁済期から20年を経過して元本・利息・遅延損害金の全額を供託し単独で抹消する手続は、不動産登記法の抹消の特則です。消滅請求は根抵当権者と共同で抹消を申請する実体法上の制度で、供託するのは極度額相当額です。供託する額と申請の形が違う点で混同させる肢が作られます。
不動産登記法 第70条(除権決定による登記の抹消等)
登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が知れないためその者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第九十九条に規定する公示催告の申立てをすることができる。
前項の登記が地上権、永小作権、質権、賃借権若しくは採石権に関する登記又は買戻しの特約に関する登記であり、かつ、登記された存続期間又は買戻しの期間が満了している場合において、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、同項の規定を適用する。
前二項の場合において、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定があったときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で第一項の登記の抹消を申請することができる。
第一項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも、同様とする。
試験ではこう問われる
- 根抵当権の消滅請求ができるのは誰か(物上保証人と第三取得者。債務者・保証人は不可)
- 消滅請求の要件は何か(元本確定後で債務額が極度額を超えていること)
- 消滅請求による抹消登記の申請人は誰か(根抵当権者と請求した第三取得者の共同申請)
- 消滅請求による抹消登記は単独で申請できるか(できない。共同申請)
- 共同根抵当は何個の不動産に消滅請求すれば消えるか(一個)
この用語が問われた肢
Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Bを根抵当権者とする元本が確定した根抵当権の設定の登記がされている場合において、Aから甲土地の所有権を取得し、その所有権の登記名義人となったCが、当該根抵当権の消滅請求をしたときは、Cは、当該根抵当権の抹消の登記の登記原因を証する情報として、当該根抵当権の極度額に相当する金額を供託したことを証する供託書正本を添付して、単独で当該根抵当権の抹消の登記を申請することができる。
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