数次相続と中間省略すうじそうぞくとちゅうかんしょうりゃく
相続登記をしないうちに相続人が死亡して相続が重なった数次相続で、中間の相続が単独相続なら中間の登記を省いて最終の相続人へ直接相続登記ができる扱いです。中間が共同相続だと省略できない点が突かれます。
数次相続は、被相続人Aの相続登記をしないうちに相続人Bが死亡し、Bの相続人Cへ相続が重なる状態です。本来はAからB、BからCへと二つの相続登記が要りますが、昭和30年12月16日民事甲第2670号通達により、中間の相続が単独相続であれば、AからCへ直接相続登記を申請できます。中間省略が認められるかどうかは、中間の相続人が一人だったか、遺産分割や相続放棄などで結果として一人になったか、で決まります。相続登記の申請義務化で古い未登記が動き出したこともあり、実務でも試験でも出番が増えています。
不動産登記法 第63条第2項相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。

中間が単独相続なら最終の相続人へ直接登記できます
Aの相続人がB一人で、Bの相続登記をしないままBが死亡し、その相続人がC一人なら、AからCへ直接の相続登記ができます。中間の相続人が最初から一人の場合だけでなく、遺産分割、相続放棄、他の相続人に相続分がないことによって結果として単独相続になった場合も含まれます。最終の相続人は複数でもかまいません。BとCが協議してBが甲土地を取得した後、登記前にBが死亡してその相続人がCだけなら、AからBへの登記を経ずにAからCへ申請できるので、「申請することはできない」とする肢は誤りです。
中間が共同相続なら省略はできません
Aの相続人がBとCで、遺産分割がされないままBが死亡し、Bの相続人がCだけになった場合、中間の相続はBとCの共同相続です。Cは「平成25年4月1日相続」を登記原因としてAからCへ直接申請することはできず、まずAからBとCへの相続登記をし、次にBからCへの相続登記をします。「Cは、甲不動産について『平成25年4月1日相続』を登記原因とするAからCへの所有権の移転の登記を申請することができる」という肢は誤りです。中間が共同相続だと、途中の権利関係が登記記録に現れないままになるからです。
遺産分割で単独相続になった場合も直接登記できます
登記名義人Aの相続人が配偶者Bと子C・Dで、遺産分割をしない間にBが死亡した事例を考えます。Bの相続人がCとDなら、CとDの間でAを被相続人とする遺産分割協議ができ、甲土地をCが単独取得したときは、Cは単独でAからCへの相続登記を申請できます。「Cは、単独でAからCへの相続を登記原因とする所有権の移転の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。死亡した中間相続人Bの地位をCとDが承継しているので、CとDだけでAの遺産分割協議ができ、その結果Aからの相続は単独相続として扱われます。
登記原因には中間と最終の相続を並べて書きます
中間省略の相続登記では、登記原因を「昭和○年○月○日B相続、令和○年○月○日相続」のように、中間の相続人の氏名を入れて連記します。日付はそれぞれの被相続人の死亡日です。原因を最終の相続だけにした肢や、中間相続人の氏名を落とした肢は、書き方の誤りとして問われます。添付情報も二つの相続それぞれについて戸籍か法定相続情報一覧図の写しを揃え、中間の遺産分割があればその協議書と印鑑証明書を添えます。
相続人以外への相続分の譲渡が絡むと直接の相続登記はできません
Aの子B・C・Dのうち、Aの相続開始後にBが死亡してBの子Eが相続人になった事例を考えます。CとEがそれぞれの相続分をDに譲渡しても、相続を登記原因とするAからDへの所有権移転登記は申請できません。相続分の譲渡は相続そのものではなく、譲渡による承継が途中に挟まるからです。「相続を登記原因とするAからDへの所有権の移転の登記を申請することができない」という肢は正しい肢です。同じ被相続人の共同相続人の間で相続分を一人に集めた場合は、譲受人への直接の相続登記が認められるので、譲渡が誰から誰へのものかを見ます。
民法 第896条第1項相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
試験ではこう問われる
- 中間の相続が共同相続のとき、最終の相続人へ直接相続登記ができるか(できない)
- 遺産分割や相続放棄で結果として単独相続になった場合に中間省略ができるか(できる)
- 最終の相続人が複数でも中間省略ができるか(できる)
- 中間省略の相続登記の登記原因の書き方(中間相続人の氏名を入れて連記)
- 代襲相続人を含む相続分の譲渡が挟まるとき、相続を原因とする直接の登記ができるか(事例による。引用の事例ではできない)
この用語が問われた肢
Aの相続人がB及びCであり、Aの遺産の分割がされず、かつ、甲不動産について相続を原因とする所有権の移転の登記がされないまま、Bが死亡し、その相続人がCのみである場合には、Cは、甲不動産について「平成 25 年 4 月 1 日相続」を登記原因とするAからCへの所有権の移転の登記を申請することができる。
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