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根抵当権の共有と優先の定めねていとうけんのきょうゆうとゆうせんのさだめ

不動産登記 第7章 抵当権と根抵当権 過去問で8肢

一つの根抵当権を複数の根抵当権者が持つ状態が共有で、共有者の間で弁済を受ける割合や順序を決めたものが優先の定めです。優先の定めの登記は共有者全員の合同申請で、設定の登記とは別の申請になる点が肢の軸です。

根抵当権の共有は、設定のときから複数の根抵当権者がいる場合や、一部譲渡によって譲受人が加わった場合に、一つの根抵当権を複数の者が持つ状態です。共有者はそれぞれの債権額の割合に応じて弁済を受けるのが原則で、持分は登記しません。元本の確定前に、これと異なる割合や、ある共有者が他の共有者に先立って弁済を受ける旨を定めることができ、これが優先の定めです。優先の定めは定めがあるときの登記事項で、設定の登記の後に共有者全員が申請する付記登記でされます。肢では、申請人の形、設定の登記との関係、共有者の権利を譲渡するときの承諾が問われます。

民法 第398条の14

(根抵当権の共有)
根抵当権の共有者は、それぞれその債権額の割合に応じて弁済を受ける。ただし、元本の確定前に、これと異なる割合を定め、又はある者が他の者に先立って弁済を受けるべきことを定めたときは、その定めに従う。
根抵当権の共有者は、他の共有者の同意を得て、第三百九十八条の十二第一項の規定によりその権利を譲り渡すことができる。

2人の銀行員が1つの箱を一緒に持ち、片方が先に硬貨を取り出している場面
根抵当権の共有と優先の定めは、複数の根抵当権者の間で弁済の割合や順序を決めた定めです
持分は登記しない共有者全員の合同申請設定登記とは別申請

共有者は債権額の割合で弁済を受け、持分は登記しません

根抵当権の共有者は、優先の定めがなければ配当時の各自の被担保債権額の割合に応じて配当を受けます。所有権の共有のような持分の割合はなく、設定の登記でも一部譲渡の登記でも持分は申請情報に書きません。「根抵当権者が複数名いるときであっても、根抵当権者ごとの持分を申請情報の内容とすることを要しない」という肢は正しい肢です。共有者の一人が確定前に債権を回収して債権額が減れば、その分だけ配当の割合も下がります。

優先の定めは確定前にし、共有者全員の合同申請です

優先の定めは元本の確定前に共有者の間でする合意で、設定者は当事者ではありません。登記の申請は、定めによって利益を受ける共有者と不利益を受ける共有者を権利者・義務者に分けるのではなく、共有者全員が申請人となる合同申請です。「Aを登記権利者、Bを登記義務者として、当該根抵当権の優先の定めの登記を申請することができる」という肢は誤りで、「B及びCのみを申請人として根抵当権の優先の定めの登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。共有者が三人いれば三人全員が申請人で、「C、E及びFが共同して申請しなければならない」という肢は正しい肢です。申請人全員が、それぞれ共有者の権利を取得した登記のときに通知された登記識別情報を提供します。

設定の登記と優先の定めの登記は別の申請です

設定契約と同時に優先の定めをしても、設定の登記と優先の定めの登記を一の申請情報で申請することはできません。設定の登記は根抵当権者と設定者の共同申請、優先の定めの登記は共有者だけの合同申請で、申請人の構成が違うからです。「当該根抵当権の設定の登記及び根抵当権の共有者間の優先の定めの登記は、一の申請情報によって申請することができる」という肢は誤りです。設定の登記が済んだ後に、その根抵当権の付記登記として優先の定めを登記します。登録免許税は不動産1個につき1,000円です。

共有者の権利の譲渡は他の共有者の同意と設定者の承諾が要ります

共有者の一人が自分の権利を他人に譲るには、他の共有者の同意を得たうえで、根抵当権の譲渡と同じく設定者の承諾が要ります。登記の目的は「○番根抵当権共有者○○の権利移転」です。転抵当権者は共有者の権利が誰に移っても転抵当を失わないので、その承諾は要りません。「Aが自己の根抵当権の共有者の権利をDに全部譲渡し、その旨の登記を申請する場合には、Cの承諾があったことを証する情報を提供することを要しない」という肢は正しい肢です。共有者が権利を放棄したときは、他の共有者に権利が帰属し、放棄を登記原因とする権利移転の登記に設定者の承諾は要りません。確定の登記がされた後は、確定前の日付を登記原因の日付とする権利移転の登記はできません。

不動産登記法 第88条第2項第4号

民法第三百九十八条の十四第一項ただし書の定めがあるときは、その定め

試験ではこう問われる

  1. 根抵当権の共有者の持分は登記事項か(登記しない。債権額の割合で弁済を受ける)
  2. 優先の定めの登記は権利者・義務者に分けて申請するか(分けない。共有者全員の合同申請)
  3. 優先の定めの登記に設定者は申請人になるか(ならない)
  4. 設定の登記と優先の定めの登記を一の申請情報にできるか(できない)
  5. 共有者の権利の全部譲渡に転抵当権者の承諾は要るか(要らない。他の共有者の同意と設定者の承諾は要る)

この用語が問われた肢

R4 問13 ウ正しい

元本確定前の根抵当権の設定の登記を申請する場合には、根抵当権者が複数名いるときであっても、根抵当権者ごとの持分を申請情報の内容とすることを要しない。

R5 問24 ウ誤り

A及びBを登記名義人とする元本の確定前の根抵当権について、AがBに先立って弁済を受けるべきことを定めた場合には、Aを登記権利者、Bを登記義務者として、当該根抵当権の優先の定めの登記を申請することができる。

R8 問14 エ正しい

Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、B及びCを根抵当権の登記名義人とする元本の確定前の根抵当権の設定の登記がされている場合において、BがCに先立って弁済を受けるべきことを定めたときは、B及びCのみを申請人として根抵当権の優先の定めの登記を申請することができる。

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