表題部所有者の氏名住所変更・更正ひょうだいぶしょゆうしゃのへんこう・こうせい
表題部に記録された所有者の氏名や名称、住所を変えたり正したりする表示に関する登記です。誰が申請できるか、持分の変更が登記できるかが肢で突かれます。
表題部所有者の氏名住所変更・更正は、表題部に記録されている所有者の氏名や名称、住所について、変更があったときや誤りがあったときにする表示に関する登記です。表題部所有者は権利の登記名義人ではないので、この登記は不動産登記法31条が定め、表題部所有者以外の者は申請できません。氏名や住所は変えられますが、所有者そのものや持分の変更は登記できず、保存の登記をしてから移転の登記で表すのが32条の定めです。肢は、変更と更正の線引き、持分の扱い、法人の組織変更のような名称の変更を突いてきます。
不動産登記法 第31条(表題部所有者の氏名等の変更の登記又は更正の登記)
表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、表題部所有者以外の者は、申請することができない。

申請できるのは表題部所有者だけです
表題部所有者の氏名や名称、住所の変更の登記と更正の登記は、表題部所有者以外の者は申請できません。所有権の登記名義人の氏名や住所の変更の登記を登記名義人が単独で申請するのと同じ発想で、表題部の記録を直すのは記録された本人です。引っ越しや婚姻による氏の変更があれば変更の登記、記録の当初から誤っていれば更正の登記で、どちらも住所や氏名の変更や誤りを証する市町村長などの作成した情報を添えます。表題部所有者が死亡していれば、相続人が表題部所有者として申請できる登記を承継します。権利の登記ではないので、変更や更正の登記をしても登記識別情報は通知されません。
所有者や持分の変更は保存と移転の登記で表します
表題部所有者が誰かという記録や持分の割合は、変更の登記で直すことができません。所有者が入れ替わったり持分が動いたりしたときは、保存の登記をしたうえで移転の登記をするのが筋です。「表題部所有者A及びBの持分について変更があった場合には,表題部所有者の持分の更正の登記を申請することなく,当該変更後のA及びBの持分で,A及びBを登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる」という肢は誤りです。後から持分が変わったときは、表題部の持分のまま保存の登記をし、そのうえで持分の移転の登記で変更後の割合にします。表題部の持分が当初から誤っていた場合に限り、更正の登記で直せます。変更は保存と移転の登記で、更正は表題部の訂正で、という切り分けが肢の軸です。
法人の組織変更は名称の変更として扱います
株式会社が合同会社に組織変更しても法人としては同一で、所有者が入れ替わったわけではありません。表題部所有者の名称の変更に当たるので、組織変更があったことを証する情報を提供すれば、新しい名称で保存の登記を申請できます。「A株式会社がA合同会社へ組織変更をした場合には,当該組織変更があったことを証する情報を提供しても,「所有者 A合同会社」を申請情報の内容とする所有権の保存の登記を申請することができない」という肢は誤りです。表題部所有者の氏名や住所に変更があった個人が保存の登記をするときも、変更を証する情報を添えれば、表題部の変更の登記を経ずに現在の氏名や住所で保存の登記ができる扱いです。保存の登記で甲区に名義人が立てば表題部所有者の記録は抹消の記号が付くので、先に表題部を直す実益がないからです。
更正の登記の後は更正前の所有者に通知されます
表題部所有者の更正の登記や共有者の持分の更正の登記を完了したときは、登記官は更正前の表題部所有者のうち申請人以外の者に登記が完了した旨を通知します。更正で表題部から外れた人は自分の知らない間に記録が変わるので、通知で争う機会を確保します。通知を受けるべき者が二人以上いれば、その一人に通知すれば足ります。表示に関する登記なので登記識別情報は通知されず、登録免許税もかかりません。所有権の登記名義人の住所の変更の登記が令和8年4月1日から申請義務の対象になるのに対し、表題部所有者の変更の登記には同じ義務はありません。
不動産登記法 第32条(表題部所有者の変更等に関する登記手続)
表題部所有者又はその持分についての変更は、当該不動産について所有権の保存の登記をした後において、その所有権の移転の登記の手続をするのでなければ、登記することができない。
試験ではこう問われる
- 表題部所有者の氏名住所の変更や更正は誰が申請できるか(表題部所有者だけ。相続人は承継)
- 表題部所有者の持分の変更を登記できるか(できない。保存の登記をしてから移転の登記。当初からの誤りなら更正)
- 組織変更した法人は新しい名称で保存の登記ができるか(できる。組織変更を証する情報を添える)
- 更正の登記の完了は誰に通知されるか(更正前の表題部所有者のうち申請人以外の者)
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