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所有権保存(判決・収用)しょゆうけんほぞんはんけつしゅうよう

不動産登記 第4章 所有権の登記(売買・保存) 過去問で7肢

表題部所有者やその相続人でなくても、確定判決で所有権を確認された者と収用で取得した者は保存の登記を申請できます。判決の相手方と種類、表題登記が無い場合の扱い、収用の登記の形が肢で突かれます。

所有権保存(判決・収用)は、不動産登記法74条1項2号と3号が定める保存の登記の申請人です。2号は所有権を有することが確定判決によって確認された者、3号は土地収用法などによる収用で所有権を取得した者です。どちらも表題部所有者との間に承継の関係が無くても、自分の名義で保存の登記ができます。表題登記が無い不動産でもこの二つの申請人は保存の登記ができ、その場合は登記官が不動産の表示も登記します。肢は、判決の相手方が誰か、判決の種類、図面の要否、すでに所有権の登記がある不動産の収用との区別を突いてきます。

不動産登記法 第74条第1項第2号

所有権を有することが確定判決によって確認された者

判決書を掲げて未登記の建物の前に立つ人物と、工事現場で土地の権利書を受け取る起業者
確定判決で所有権を確認された者と収用で取得した者は、表題部所有者でなくても保存の登記ができます
判決の相手方は表題部所有者か相続人表題登記が無くても保存でき図面が要る登記済みの収用は起業者の単独移転

判決の相手方は表題部所有者かその相続人です

確定判決で所有権を確認された者が保存の登記をするには、判決の相手方が表題部所有者でなければなりません。表題部所有者が死亡していればその相続人を被告にします。「権利能力なき社団の旧代表者であるAが表題部所有者として記録されている不動産について、当該権利能力なき社団から当該不動産を買い受けたBは、Aの唯一の相続人であるCを被告として、Bが当該不動産の所有権を有することを確認する旨の確定判決を得て、これに基づき、Bを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。表題部所有者が二人なら両方を相手にする必要があり、一方だけを被告にした判決では足りません。

確認判決に限らず理由中で所有権が確認されていれば足ります

条文は「確定判決によって確認された者」と書きますが、判決の種類は確認判決に限られません。給付判決でも、理由中で申請人がその不動産の所有者であることが確認されていれば使えます。表題登記のない国有地について国に移転登記手続を命ずる判決の理由中で現在の所有者がAと説示されていれば、Aは自分を名義人とする保存の登記を申請でき、「当該判決の理由中で当該土地の現在の所有者がAである旨が説示されていたとしても,Aは,自己を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができない」という肢は誤りです。和解調書や調停調書でも同じです。処分禁止の仮処分の債権者が保存の登記の抹消と自分名義の保存の登記を認める和解調書を得たときは、仮処分に後れる仮差押えの登記の抹消まで単独で申請できる扱いです。

表題登記が無くても保存でき、建物なら図面が要ります

2号と3号の申請人は、表題登記が無い不動産についても直接保存の登記を申請できます。登記官は不動産登記法75条により、表題部所有者と登記原因に関する事項を除く不動産の表示を職権で登記します。申請人は表示の登記に要る情報を提供する必要があり、建物なら建物図面と各階平面図を添えます。「表題登記のない建物について,Aが,当該建物の所有権を有することを確認する旨の確定判決に基づいて,当該建物の表題登記の申請をすることなくAを登記名義人とする所有権の保存の登記の申請をする場合には,当該建物の建物図面及び各階平面図を提供しなければならない」という肢は正しい肢です。

収用は未登記なら保存、登記済みなら起業者の単独の移転です

収用で所有権を取得した起業者は、所有権の登記が無い不動産なら3号で保存の登記を申請します。すでに所有権の登記がある不動産なら、不動産登記法118条により起業者が単独で収用を原因とする所有権の移転の登記を申請します。「収用により所有権を取得した起業者である株式会社Bは、収用を登記原因とする所有権の移転の登記を単独で申請することができる」という肢は正しい肢です。国や地方公共団体が起業者のときは官庁や公署の嘱託です。土地の収用では、消滅した権利や失効した差押えなどの登記を申請の際に指定し、登記官が職権で抹消する仕組みです。

不動産登記法 第118条第1項

不動産の収用による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、起業者が単独で申請することができる。

試験ではこう問われる

  1. 判決の相手方は誰か(表題部所有者またはその相続人。共有なら全員)
  2. 確認判決でなければ使えないか(給付判決や和解調書でも理由中で所有権が確認されていればよい)
  3. 表題登記が無い建物を判決で保存するとき何を添えるか(建物図面と各階平面図)
  4. 登記済みの不動産を収用したときの登記は(起業者が単独で収用による所有権の移転の登記)

この用語が問われた肢

R5 問17 ア正しい

権利能力なき社団の旧代表者であるAが表題部所有者として記録されている不動産について、当該権利能力なき社団から当該不動産を買い受けたBは、Aの唯一の相続人であるCを被告として、Bが当該不動産の所有権を有することを確認する旨の確定判決を得て、これに基づき、Bを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。

R5 問17 ウ誤り

表題部所有者をA及びBとする甲建物をCが買い受けた場合において、CがAを被告として、Cが甲建物の所有権を有することを確認する旨の確定判決を得たときは、Cは、自己を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。

R8 問15 ア誤り

表題登記のない国有地について、国に対してAへの所有権の移転の登記手続をすべきことを命ずる判決が確定した場合には、当該判決の理由中で当該土地の現在の所有者がAである旨が説示されていたとしても、Aは、自己を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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