新株予約権の登記事項しんかぶよやくけんのとうきじこう
新株予約権を発行したときに会社法911条3項12号が登記すべき事項として列挙するものです。新株予約権の内容のうち登記するものとしないものを入れ替えて肢が作られます。
新株予約権の登記事項は、会社法911条3項12号が列挙する、新株予約権を発行したときに登記簿の新株予約権区に記録する事項です。新株予約権の内容は236条1項が11号まで定めていますが、そのすべてが登記されるわけではありません。登記されるのは、新株予約権の数、目的である株式の数と種類、行使価額、行使期間、行使の条件、取得条項、払込金額または払込不要の旨などです。肢は、内容として定めた事項を「登記すべき事項として記載しなければならない」と書いて、登記されない事項を混ぜる形で作られます。
会社法 第911条第3項第12号新株予約権を発行したときは、次に掲げる事項

数、目的である株式の数と種類、行使価額、行使期間を登記します
登記事項の中心は、新株予約権の数と、236条1項1号から4号までの事項です。目的である株式の数は、種類株式発行会社では種類と種類ごとの数で登記します。「当該新株予約権の目的である株式の種類及び種類ごとの数をA種類株式 1 株及びB種類株式 2 株と定めたときは,当該定めを登記することができる」という肢は正しい肢です。行使期間は初日と末日を定めるのが通常ですが、末日を定めずに無期限とすることも妨げられません。「新株予約権の行使期間の初日を特定の日として定め、末日を定めずに無期限として、募集新株予約権の発行による変更の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。
現物出資の定め、行使の条件、取得条項も登記します
金銭以外の財産を行使に際しての出資の目的とするときは、その旨と財産の内容および価額が236条1項3号の事項として登記されます。「金銭以外の財産を当該新株予約権の行使に際してする出資の目的とする定めがある場合であっても,募集新株予約権の発行による変更の登記の申請書には,登記すべき事項として当該財産の価額を記載することを要しない」という肢は誤りです。行使の条件を定めたときはその条件を、取得条項を定めたときは236条1項7号の事項を登記します。上場会社が取締役の報酬として発行する場合の236条3項の事項も、定めたときは登記事項です。
払込金額か払込不要の旨を登記し、未確定なら算定方法を登記します
募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととしたときは、その旨を登記します。払込金額を定めたときは、その払込金額を登記します。令和元年の会社法改正が令和3年3月1日に施行され、払込金額の算定方法を定めた場合に登記の申請の時までに払込金額が確定していないときは、その算定方法を登記する扱いになりました。新株予約権の発行年月日は割当日で、払込期日を定めたときもその期日ではなく割当日を記載します。
譲渡制限、端数切捨て、証券発行の定めは登記しません
236条1項6号の譲渡による取得に会社の承認を要する旨は、新株予約権の内容ではあっても登記事項ではありません。「譲渡による当該新株予約権の取得について発行会社の承認を要する旨の定めがある場合であっても、募集新株予約権の発行による変更の登記の申請書には、登記すべき事項として当該定めを記載することを要しない」という肢は正しい肢です。9号の端数切捨ての定めも登記されず、「これを切り捨てるものとする旨を定めたときは、募集新株予約権の発行による変更の登記の申請書には、登記すべき事項として当該定めを記載しなければならない」という肢は誤りです。10号の新株予約権証券を発行する旨も同じで、「登記すべき事項として当該定めを記載することを要しない」という肢は正しい肢です。5号の増加する資本金・資本準備金に関する事項と、8号の組織再編で新株予約権を交付する旨も登記しません。
会社法 第236条第1項株式会社が新株予約権を発行するときは、次に掲げる事項を当該新株予約権の内容としなければならない。
一 当該新株予約権の目的である株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法
二 当該新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法
三 金銭以外の財産を当該新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額
四 当該新株予約権を行使することができる期間
五 当該新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
六 譲渡による当該新株予約権の取得について当該株式会社の承認を要することとするときは、その旨
七 当該新株予約権について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができることとするときは、次に掲げる事項
イ 一定の事由が生じた日に当該株式会社がその新株予約権を取得する旨及びその事由
ロ 当該株式会社が別に定める日が到来することをもってイの事由とするときは、その旨
ハ イの事由が生じた日にイの新株予約権の一部を取得することとするときは、その旨及び取得する新株予約権の一部の決定の方法
ニ イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の株式を交付するときは、当該株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその算定方法
ホ イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
ヘ イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の他の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該他の新株予約権の内容及び数又はその算定方法
ト イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についてのホに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのヘに規定する事項
チ イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の株式等以外の財産を交付するときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
八 当該株式会社が次のイからホまでに掲げる行為をする場合において、当該新株予約権の新株予約権者に当該イからホまでに定める株式会社の新株予約権を交付することとするときは、その旨及びその条件
イ 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 合併後存続する株式会社又は合併により設立する株式会社
ロ 吸収分割 吸収分割をする株式会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を承継する株式会社
ハ 新設分割 新設分割により設立する株式会社
ニ 株式交換 株式交換をする株式会社の発行済株式の全部を取得する株式会社
ホ 株式移転 株式移転により設立する株式会社
九 新株予約権を行使した新株予約権者に交付する株式の数に一株に満たない端数がある場合において、これを切り捨てるものとするときは、その旨
十 当該新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)に係る新株予約権証券を発行することとするときは、その旨
十一 前号に規定する場合において、新株予約権者が第二百九十条の規定による請求の全部又は一部をすることができないこととするときは、その旨
試験ではこう問われる
- 譲渡制限の定めは登記事項か(登記事項でない)
- 現物出資の財産の価額は登記するか(登記する)
- 行使期間の末日を定めずに登記できるか(できる)
- 端数切捨ての定めと証券発行の定めは登記するか(どちらも登記しない)
- 払込金額が未確定のとき何を登記するか(算定方法。令和3年3月1日施行)
この用語が問われた肢
登記すべき事項として、新株予約権の行使期間の初日を特定の日として定め、末日を定めずに無期限として、募集新株予約権の発行による変更の登記を申請することができる。
募集新株予約権の募集事項として、金銭以外の財産を当該新株予約権の行使に際してする出資の目的とする場合には、その旨並びに当該財産の内容及び価額を登記すべき事項として、募集新株予約権の発行による変更の登記を申請しなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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