準備金・剰余金の資本組入れじゅんびきんじょうよきんのしほんくみいれ
準備金または剰余金の額を減少して、その額を資本金に組み入れる手続で、株式を発行せずに資本金の額だけが増えます。決議機関と、減少に係る額が計上されていたことを証する書面が肢で突かれます。
準備金・剰余金の資本組入れは、資本準備金・利益準備金または剰余金の額を減少し、その全部または一部を資本金の額に組み入れる手続です。会社法448条が準備金の減少を、450条が剰余金の減少による資本金の額の増加を定め、どちらも株主総会の普通決議で足ります。株式の発行を伴わないので発行済株式の総数は変わらず、資本金の額だけが増える変更の登記を申請します。肢は、決議機関と、商業登記法69条の添付書面と、債権者保護手続との関係が狙いです。
会社法 第448条(準備金の額の減少)
株式会社は、準備金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 減少する準備金の額
二 減少する準備金の額の全部又は一部を資本金とするときは、その旨及び資本金とする額
三 準備金の額の減少がその効力を生ずる日
前項第一号の額は、同項第三号の日における準備金の額を超えてはならない。
株式会社が株式の発行と同時に準備金の額を減少する場合において、当該準備金の額の減少の効力が生ずる日後の準備金の額が当該日前の準備金の額を下回らないときにおける第一項の規定の適用については、同項中「株主総会の決議」とあるのは、「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」とする。

決議は株主総会の普通決議で、定時総会に限りません
準備金の額を減少して資本金に組み入れるときは、減少する準備金の額、資本金とする額、効力発生日を株主総会の普通決議で定めます。剰余金の額を減少して資本金を増加するときも、減少する剰余金の額と効力発生日を株主総会の普通決議で定めます。どちらも定時株主総会に限られず、臨時株主総会で決議できます。「剰余金の資本組入れによる変更の登記の申請書には,臨時株主総会の議事録を添付することができない」という肢は誤りです。利益準備金を減少して一部を資本金にする場合も株主総会の決議で、「当該利益準備金の資本組入れに関する株主総会の議事録を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。
株式の発行と同時なら準備金の組入れは取締役会で決められます
株式の発行と同時に準備金の額を減少し、効力発生日後の準備金の額が日前の額を下回らないときは、株主総会の決議に代えて取締役の決定または取締役会の決議で定めます。「当該準備金の資本組入れに関する取締役の過半数の一致を証する書面又は取締役会の議事録を添付して,準備金の資本組入れによる変更の登記の申請をすることができる」という肢は正しい肢です。同じ場面で「当該準備金の資本組入れに関する株主総会の議事録を添付しなければならない」という肢は誤りです。株式の発行と同時の特則で申請するときは、その場合に該当することを証する書面も添付します。剰余金の資本組入れにはこの特則がなく、常に株主総会の決議です。
減少に係る額が計上されていたことを証する書面を添付します
準備金または剰余金の減少によってする資本金の額の増加の登記の申請書には、減少に係る準備金または剰余金の額が計上されていたことを証する書面を添付します。「剰余金の資本組入れによる変更の登記の申請書には、当該組入れに係る剰余金の額が計上されていたことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。登記の後に、組み入れるべき剰余金が実は存在しなかったことを理由に登記の更正を申請することはできず、「当該登記の更正を申請することはできない」という肢は正しい肢です。資本金の額の計上に関する証明書も別に添付します。
清算会社はできず、特例有限会社や合同会社はできます
清算株式会社には資本金の額の減少等に関する規定が適用されないので、準備金の資本組入れもできません。「清算株式会社が,準備金の資本組入れの決議をした場合には,準備金の資本組入れによる変更の登記を申請することができる」という肢は誤りです。特例有限会社は株式会社なので準備金の資本組入れができ、「特例有限会社は、準備金の資本組入れを決議した株主総会の議事録を添付して、資本金の額の変更の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。合同会社では資本剰余金の資本組入れに業務執行社員の過半数の一致を証する書面と計上証明書を添付し、その旨の肢も正しい肢です。
商業登記法 第69条(資本金の額の増加による変更の登記)
資本準備金若しくは利益準備金又は剰余金の額の減少によつてする資本金の額の増加による変更の登記の申請書には、その減少に係る資本準備金若しくは利益準備金又は剰余金の額が計上されていたことを証する書面を添付しなければならない。
試験ではこう問われる
- 剰余金の資本組入れは臨時株主総会で決議できるか(できる。普通決議)
- 株式の発行と同時に準備金を減少して下回らないとき決議機関はどこか(取締役の決定または取締役会)
- 資本組入れの登記に添付する固有の書面は何か(減少に係る額が計上されていたことを証する書面)
- 組み入れるべき剰余金がなかったことを理由に更正できるか(できない)
- 清算株式会社は準備金の資本組入れができるか(できない)
この用語が問われた肢
利益準備金の額を減少し、減少する利益準備金の一部を資本金とする資本金の額の変更の登記の申請書には、当該利益準備金の資本組入れに関する株主総会の議事録を添付しなければならない。
株式の発行と同時に準備金の額を減少する場合において、当該準備金の額の減少の効力が生ずる日後の準備金の額が当該日前の準備金の額を下回らないときは、準備金の資本組入れによる変更の登記の申請書には、当該準備金の資本組入れに関する株主総会の議事録を添付しなければならない。
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