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有限責任事業組合(LLP)ゆうげんせきにんじぎょうくみあい

商業登記 第12章 持分会社

組合員全員が有限責任を負う民法の組合の特例で、法人格はないのに組合契約を登記する仕組みです。会社ではないこと、登記事項と登記の性質、合同会社との違いが問われます。

有限責任事業組合は、有限責任事業組合契約に関する法律に基づき、組合員の全員が出資の価額を限度とする有限責任を負って共同で営利事業を営む組合です。英語の頭文字からLLPと呼ばれ、合同会社と同じ平成17年の制度改革で生まれました。民法の組合の特例なので法人格はなく、組合財産は組合員の共有で、課税は組合員の段階で行われます。会社ではないのに組合契約の効力発生と組合員などを登記し、商業登記法の規定の多くが準用されるので、商業登記の周辺として比較の形で出題されます。肢で突かれるのは、会社との違いと合同会社との対比です。

会社法 第576条

(定款の記載又は記録事項)
持分会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 社員の氏名又は名称及び住所
五 社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
六 社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る。)及びその価額又は評価の標準
設立しようとする持分会社が合名会社である場合には、前項第五号に掲げる事項として、その社員の全部を無限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。
設立しようとする持分会社が合資会社である場合には、第一項第五号に掲げる事項として、その社員の一部を無限責任社員とし、その他の社員を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。
設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、第一項第五号に掲げる事項として、その社員の全部を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。

建物のない青空の下で数人が契約書を囲んで署名し、各自が小さな硬貨の袋を持つ。職員が屋外の机で帳簿を開く
有限責任事業組合は法人格のない組合で、全員が有限責任を負い、組合契約を登記します
会社ではない効力は出資の履行と効力発生日全員が業務執行に参加合同会社との違いは法人格・課税・参加義務

会社ではなく法人格のない組合で、組合員全員が有限責任です

有限責任事業組合は会社法上の会社ではなく、商号ではなく名称を持ち、名称の中に有限責任事業組合という文字を使います。法人格がないので組合自身は権利義務の主体にならない存在です。組合財産は総組合員の共有で、組合名義で登記や登録をすることはできず、組合員全員の名義で行います。組合員は出資の価額を限度に責任を負う点で合同会社の社員と同じですが、組合員が一人になると解散します。組合員は個人でも法人でもよく、法人が組合員のときは職務を行うべき者を選任します。組合員のうち少なくとも一人は国内に住所または引き続き1年以上の居所を持つ個人か国内に本店や主たる事務所を持つ法人でなければならず、国籍の制限ではありません。

組合契約の効力は出資の履行などで生じ、登記は2週間以内です

組合契約は、組合員になろうとする者が契約書を作って全員が署名または記名押印し、出資に係る払込みや給付の全部を履行した時か契約書に記載した効力発生日のいずれか遅い時に効力を生じます。出資は金銭その他の財産に限られ、労務や信用による出資はできません。組合契約の登記は効力発生の日から2週間以内に主たる事務所の所在地でします。登記事項は組合の事業、名称、事務所の所在場所、組合員の氏名または名称と住所、存続期間、組合契約の効力発生年月日などです。登記は組合の成立要件ではなく、第三者に対抗するための公示です。

業務執行は組合員全員の同意で決め、全員が参加します

有限責任事業組合の業務執行の決定は、原則として総組合員の同意で行い、組合契約で重要でない業務について別段の定めをすることができます。組合員は業務執行に参加する権利と義務を持ち、持分会社のように業務を執行しない社員を置くことはできません。組合員の全員が有限責任なのに業務執行の参加を義務づけるのは、責任を負わない者が経営を支配する形を防ぐためです。損益の分配の割合は出資の価額によらずに組合契約で定めることができ、課税は組合に課されず組合員に直接課される仕組みです。

登記には商業登記法が準用され、組合員の変更も登記します

有限責任事業組合の登記には、商業登記法の申請手続や登記官の審査、登記事項証明書の交付に関する規定が準用され、登記簿は商業登記の登記簿と同じ仕組みで管理されます。組合員の加入や脱退、名称や事務所の変更があれば2週間以内に変更の登記をします。組合は存続期間の満了や総組合員の同意、組合員が一人になったことなどで解散し、解散や清算人、清算結了の登記は清算人が申請します。登記の申請は組合員が組合を代表してし、組合員の全員が申請人になるのではありません。合同会社との違いは法人格の有無、課税の方式、業務執行への参加義務の三点にまとめられます。株式会社や合同会社への組織変更の制度はなく、会社に移行するには組合を解散して新たに設立するしかありません。

会社法 第580条

(社員の責任)
社員は、次に掲げる場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
一 当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
二 当該持分会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合(社員が、当該持分会社に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合を除く。)
有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。

試験ではこう問われる

  1. 有限責任事業組合は会社か(会社ではなく民法の組合の特例。法人格はない)
  2. 組合契約の効力はいつ生じるか(出資の全部の履行と契約書の効力発生日のいずれか遅い時)
  3. 業務を執行しない組合員を置けるか(置けない。全員が業務執行に参加する)
  4. 合同会社との違いは何か(法人格の有無、課税方式、業務執行への参加義務)
商業登記を肢別で解く

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