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登記の申請の取下げ・補正とりさげ・ほせい

商業登記 第1章 商業登記の骨格と申請書 過去問で5肢

申請の不備を登記官が定めた期間内に直す補正と、登記が完了する前に申請そのものを引っ込める取下げです。経由申請の取下書をどの登記所に出すか、補正できない不備は何かが肢で突かれます。

取下げ・補正は、受け付けられた登記の申請を、登記が完了する前に申請人の側から動かす二つの手段です。補正は商業登記法24条ただし書にいう「申請の不備が補正することができるもの」を登記官が定めた相当の期間内に直すことで、補正すれば却下を免れます。取下げは申請を引っ込めることで、商業登記法と商業登記規則に明文はなく、登記実務では取下書を提出してします。肢で突かれるのは、補正できる不備とできない不備の線引き、経由申請で取下書をどこに出すかです。

商業登記法 第24条

(申請の却下)
登記官は、次の各号のいずれかに掲げる事由がある場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
一 申請に係る当事者の営業所の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。
二 申請が登記すべき事項以外の事項の登記を目的とするとき。
三 申請に係る登記がその登記所において既に登記されているとき。
四 申請の権限を有しない者の申請によるとき、又は申請の権限を有する者であることの証明がないとき。
五 第二十一条第三項に規定する場合において、当該申請に係る登記をすることにより同項の登記の申請書のうち他の申請書に係る登記をすることができなくなるとき。
六 申請書がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。
七 申請書に必要な書面(第十九条の二に規定する電磁的記録を含む。)を添付しないとき。
八 申請書又はその添付書面(第十九条の二に規定する電磁的記録を含む。以下同じ。)の記載又は記録が申請書の添付書面又は登記簿の記載又は記録と合致しないとき。
九 登記すべき事項につき無効又は取消しの原因があるとき。
十 申請につき経由すべき登記所を経由しないとき。
十一 同時にすべき他の登記の申請を同時にしないとき。
十二 申請が第二十七条の規定により登記することができない商号の登記を目的とするとき。
十三 申請が法令の規定により使用を禁止された商号の登記を目的とするとき。
十四 商号の登記を抹消されている会社が商号の登記をしないで他の登記を申請したとき。
十五 登録免許税を納付しないとき。

窓口で左の司法書士は書面を書き直し、右の司法書士は束を持ち帰る
補正は登記官が定めた期間内に不備を直すこと、取下げは申請を引っ込めることです
補正は相当の期間内取下げは取下書経由申請の取下げ登録免許税の還付

補正は登記官が定めた相当の期間内に不備を直すことです

商業登記法24条ただし書は、補正できる不備について登記官が定めた相当の期間内に申請人が補正したときは却下しないと定めます。補正は申請人かその代理人がし、申請書の記載の訂正や不足していた添付書面の追完が典型です。オンライン申請では補正の情報を送信し、書面申請では登記所に出向いて申請書を直すか、差し替える書面を提出します。登記官からの連絡は補正を促すもので、却下の決定とは別の段階です。補正の期間は登記官が定めるもので、法律が日数を決めているわけではありません。期間内に補正しなければ、登記官は理由を付した決定で却下します。

補正の余地がない不備は却下されます

管轄違い、登記事項以外の事項の登記、申請権限のない者の申請のように、直しようのない不備は補正の対象になりません。「株式会社の設立の登記の申請が、電子情報処理組織を使用する方法により、公証人への定款の認証の嘱託と同時にされた場合において、申請された日の当日中に定款が認証されなかったときは、当該設立の登記の申請は却下される」という肢は正しい肢です。申請の日に定款が有効になっていない以上、後から認証を受けて補正する形は認められていません。補正で済むか却下になるかは、不備が申請の時点に遡って治るものかどうかで分かれるわけです。印鑑証明書の添付を要しない添付書面の押印漏れのように、令和3年2月15日施行の押印見直しの後は審査の対象でなくなった不備もあり、補正を求められる範囲は以前より狭くなっています。

取下げは登記完了前に取下書を出してします

取下げは登記官が登記を完了する前であればでき、書面申請なら申請人かその代理人が取下書を登記所に提出し、オンライン申請なら取下書の情報を送信する形です。却下事由があると告げられたときに、却下の決定を受ける前に自ら取り下げる場面が多く、取り下げれば却下の処分は残りません。取下げは申請の全部についてするのが原則で、一つの申請書に書いた数個の登記のうち一部だけを取り下げる扱いは登記実務で限られたものです。代理人が申請の意思を撤回して取り下げるには、申請の委任とは別に取下げの権限を証する書面が登記実務で求められ、不備を直して出し直すための取下げなら申請の委任で足ります。取り下げられた申請書と添付書面は返され、納めた登録免許税は再使用証明を受けて次の申請に使うか、還付を受けます。取下げの後に同じ登記を申請し直すときは、新たな受付番号が付き、受付の順位もその時点のものになります。

経由申請の取下げは、それぞれの登記所に取下書を出します

他の登記所の管轄区域内への本店移転では、新所在地の申請書が旧所在地の登記所から新所在地の登記所へ送付されます。送付後に取り下げるときに「会社は,旧所在地を管轄する登記所に,取下書 2 通を提出しなければなりません」という答えは誤りです。登記実務では、送付の後は旧所在地分の取下書を旧所在地の登記所に、新所在地分の取下書を新所在地の登記所にそれぞれ提出する扱いです。経由申請は二つの申請が同時に進むので、取り下げるときも二つの申請をそれぞれ引っ込める形になります。送付の前であれば、申請書はまだ旧所在地の登記所にあるので、両方の取下書の提出先は旧所在地の登記所です。

商業登記法 第21条第1項

登記官は、登記の申請書を受け取つたときは、受付帳に登記の種類、申請人の氏名、会社が申請人であるときはその商号、受付の年月日及び受付番号を記載し、申請書に受付の年月日及び受付番号を記載しなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 補正の期間を定めるのが誰か、期間内に補正しなければどうなるかを問う肢
  2. 管轄違いや定款の認証の欠缺のように補正できない不備を補正させる肢
  3. 代理人が取り下げるときに取下げの権限が要るか、登録免許税をどう扱うかを問う肢
  4. 本店移転の経由申請で申請書の送付後に取下書をどこへ出すかを問う肢

この用語が問われた肢

R6 問29 オ正しい

株式会社の設立の登記の申請が、電子情報処理組織を使用する方法により、公証人への定款の認証の嘱託と同時にされた場合において、申請された日の当日中に定款が認証されなかったときは、当該設立の登記の申請は却下される。

R2 問28 オ誤り

【問】最後に,会社が本店を他の登記所の管轄区域内に移転した旨の本店移転の登記を申請した場合について,既に新所在地を管轄する登記所に申請書等が送付された後に当該登記の申請を取り下げるには,どのようにしなければなりませんか。 会社は,旧所在地を管轄する登記所に,取下書 2 通を提出しなければなりません。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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