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司法書士法の令和元年改正しほうしょしほうのれいわがんねんかいせい

司法書士法 第2章 司法書士の義務と懲戒 過去問で2肢

司法書士法の令和元年改正とは、令和元年法律第29号による改正で、使命規定の新設(1条)、懲戒権者の法務局長から法務大臣への変更、戒告にも聴聞を保障、7年の除斥期間の新設、社員が一人の司法書士法人の解禁などを内容とし、令和2年8月1日に施行されました。試験では、平成の肢のうち懲戒権者や報告先を法務局又は地方法務局の長とするものが、現行法では法務大臣に置き換わる点が問われています。

司法書士法の令和元年改正は、「司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律」(令和元年法律第29号)によるもので、令和元年6月12日に公布され、令和2年8月1日に施行されました。法務省は、専門家としての使命の明確化、懲戒手続の適正・合理化、一人法人の可能化の三つを柱として説明しています。

黒板の左右に改正前と令和2年8月からを並べ、懲戒権者や聴聞の範囲の変化を示す教室
令和元年改正で、懲戒権者は法務局又は地方法務局の長から法務大臣に変わり、戒告にも聴聞が要るようになりました
懲戒権者は法務大臣戒告にも聴聞7年の除斥期間一人法人が可能
司法書士法 第1条第1項

司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。

1条は、法律の目的を定める規定から、司法書士の使命を定める規定に改められました

改正前の1条は「この法律は、司法書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、登記、供託及び訴訟等に関する手続の適正かつ円滑な実施に資し、もつて国民の権利の保護に寄与することを目的とする。」という目的規定でした。改正後の1条は、司法書士は登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もって自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とすると定めています。主語が「この法律」から「司法書士」に変わり、司法書士自身の使命を明らかにする規定になりました。1条は司法書士法人にも準用されます(46条1項)。同じ改正で、土地家屋調査士法にも使命規定が置かれています。

司法書士法1条(令和2年7月31日までの規定)

この法律は、司法書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、登記、供託及び訴訟等に関する手続の適正かつ円滑な実施に資し、もつて国民の権利の保護に寄与することを目的とする。

経過措置で、除斥期間は施行前の事案にも及び、社員が一人になって解散した法人は継続できます

法務省の改正の概要は、経過措置として、施行の際に懲戒手続が開始されていない場合には施行前の事案にも新しい除斥期間を適用すること、施行前に社員が一人になって解散した法人についても、解散後3年以内は法人を継続することを許容することなどを挙げています。改正前の44条2項は、社員が一人になった日から引き続き6か月間社員が二人以上にならなかったときに、その6か月を経過した時に法人が解散すると定めていました。この規定で解散した法人が、改正後に一人法人として継続できる道が開かれました。

懲戒権者は、法務局又は地方法務局の長から法務大臣に変わりました

改正前の47条・48条は、事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長を懲戒権者としていました。改正後は法務大臣が懲戒権者となり、違反事実の通知先(49条1項)も、司法書士会の報告先(60条)も法務大臣になりました。「何人も、司法書士又は司法書士法人に司法書士法又は同法に基づく命令に違反する事実があると思料するときは、法務大臣に対し、当該事実を通知し、適当な措置をとることを求めることができる」という肢(R5 午後 問8 ア)は、改正後の規定に沿った正しい記述です。もっとも、通知の受理、調査、連合会への通告、司法書士会からの報告の受理は、施行規則37条の7により法務局又は地方法務局の長に委任されています(調査と通告は法務大臣が自ら行うこともできます)。現地で事実を調べるのは今も法務局で、処分を決める権限が法務大臣に移ったことになります。

戒告にも聴聞が要るようになり、7年の除斥期間が設けられました

改正前の49条3項は、聴聞を業務の停止の処分に限っていましたが、改正後は戒告の処分をしようとするときも聴聞が要ります。「法務大臣は、司法書士に対し、戒告の処分をしようとする場合には、当該司法書士の聴聞を行わなければならない」という肢(R5 午後 問8 エ)は正しい記述です。また、懲戒の事由があったときから7年を経過すると懲戒の手続を開始できない除斥期間(50条の2)と、懲戒の手続中に清算が結了した法人をなお存続するものとみなす規定(48条2項)が新設されました。同じ日に、施行規則の事件簿の保存期間も5年から7年に延びています。

社員が一人の司法書士法人を設立できるようになりました

改正前の44条2項は、社員が一人になり、そのなった日から引き続き6月間二人以上にならなかったときに法人が解散すると定めていました。改正後はこの規定が削られ、社員の欠亡、つまり社員がいなくなったことが解散事由になりました(44条1項7号)。社員の死亡で社員が欠けたときは、清算人が相続人の同意を得て新たに社員を加入させ、法人を継続できます(44条の2)。

司法書士法 第44条第1項第7号

社員の欠亡

試験ではこう問われる

  1. 何人も、違反事実を法務大臣に通知して適当な措置を求めることができる(49条1項。R5 午後 問8 ア ○)
  2. 戒告の処分をしようとするときも聴聞を行わなければならない(49条3項。R5 午後 問8 エ ○)
  3. 司法書士会は、所属の会員の違反を思料するときは報告しなければならない。出題当時の報告先は法務局又は地方法務局の長(R1 午後 問8 オ ○・出題当時)。現行法の報告先は法務大臣(60条)
  4. 法人の懲戒権者は法務大臣で、解散の処分もできる。出題当時は主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長が解散の処分をすることができた(48条1項3号。H28 午後 問8 エ ×・出題当時)
  5. 1条は目的規定から使命規定に改められ、司法書士法人にも準用される(1条・46条1項)
  6. 懲戒の事由から7年を経過すると、懲戒の手続を開始できない(50条の2)

この用語が問われた肢

R5 問8 ア正しい

何人も、司法書士又は司法書士法人に司法書士法又は同法に基づく命令に違反する事実があると思料するときは、法務大臣に対し、当該事実を通知し、適当な措置をとることを求めることができる。

R5 問8 エ正しい

法務大臣は、司法書士に対し、戒告の処分をしようとする場合には、当該司法書士の聴聞を行わなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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